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テクノロジーとトラディショナルが同居。パルマハムの美味しさの秘密

イタリアの生ハムの王様といえば「パルマの生ハム Prosciutto di Parma」。同じくパルマには「パルミジャーノ・レッジャーノ」もある。なぜパルマなのか?
クオルス・リストランテで提供しているCLAI(クライ)の生ハムは、原材料は肉と塩のみ。それでいて豊かな味わい。その鍵はパルマの気候風土 (ミクロクリマ)と伝統の技だ。近代的でクリーンな工場には活躍するのは熟練のマエストロがいて、途中、「パルマの風にあてる」という過程も。LaPassione!編集部は、テクノロジーとトラディショナルが同居するCLAI(クライ)の製造工程を見せてもらった。

クオルス・リストランテが現地で出会い、彼らの情熱(Passione)や人柄、品質に共感し、提携しているスクアドラ・クオルス(チーム・クオルス)の作り手達。どの提携先も、伝統的な製法と技術でクオリティの高い本物を作り続けています。スクアドラ・クオルスの一員で、クオルスが提携しているパルマの生ハム工場「クライ(CLAI)をご紹介します。

クリーンな工場で、一貫した製造管理

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パルマ中心部から車で30分ほどの「ランギラーノ地区」。ここは、イタリア北部を東西に二分するアペニン山脈からの風が生ハム作りに適していることから、生ハム工場がひしめいている地域だ。ここで作られ、厳しい規格基準をクリアした生ハムだけが「プロシュット・ディ・パルマ=パルマの生ハム」を名乗ることができ、原産地呼称制度であるD.O.Pを与えられる。 訪れたのはクオルス・リストランテで提供される生ハムを製造している1860年創業の「CLAI」。原料となる豚の生育から製品まで一貫した品質管理を行なっている。写真は肉質をチェックしながら、余分な部位をそぎ落として形を整えているところ。

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生ハムの原料となるパルマ豚。肉の表面は美しいピンク色をしている。良質な豚の生育や管理もCLAIが行なっている。

パルマには、生ハム作りに最高の条件が揃っている

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「パルマはもともと畜産業が盛んで、生ハムに適した良質な豚、豚を育てる良い飼料、そして何より、地形がもたらす最適な湿度と温度、さらには独特な風といった、生ハム作りにはこの上ない条件が揃っているんです。言い換えればこの環境を最大限生かした作り方が伝統になったともいえます」と工場を案内してくれたマルチェロ・バリッリさん。

原料となる豚にパルミジャーノ・レッジャーノの製造過程でできるホエーと呼ばれる乳清を与えるなど、美食の土地ならではのつながりも興味深い。「パルマ公国」として宮廷文化が花開いたこの地には今も、現在も劇場、教会、街並みに優雅な雰囲気が残っている。そんな文化的な土壌に花開いた「美食の街の食文化」の花形、「プロシュット・ディ・パルマ」の製造工程を見てみよう。

“マエストロ・サラトーレ”と呼ばれる熟練の職人が手作業で塩を擦り込む

生ハムづくりは「豚の後ろ脚に塩を擦り込み、熟成させる」これが工程の全てと言っても過言ではない。そのため、“マエストロ・サラトーレ”と呼ばれる、塩を刷り込むための専門の職人もいる。できあがるまでには湿度、温度を含む細心の環境整備と18ヶ月に及ぶ熟成期間が必須だ。

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まずは塩の擦り込み。指定のイタリア海塩のみを“マエストロ・サラトーレ”と呼ばれる熟練の職人が擦り込んでいく。最初の擦り込みの後、1週間後に肉をマッサージ。柔らかくして塩の浸透を促したら、2回目の擦り込みを行い、1℃前後の低温と適度に保たれた湿度のもとで4ヶ月程度保存。

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塩のすり込みに使われている、イタリアの海塩。

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湿度と塩分を適度に保つために、ももの切り口に豚の脂と米、塩を練ったものを塗りつける作業を行う。

パルマの風を当てないと美味しく仕上がらない。

その後、長い乾燥熟成期間に入る。面白いのはこの間に「パルマの風に当てる」工程があること。近代的で密閉された保存室の一つに両側に窓のある部屋があり、夏の涼しく湿度も最適なパルマの風にハムを晒すという。

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「パルマの風」に当てる工程。電動で開く窓から最適な条件の風がハムの間を通り抜ける。

芳醇な香りに包まれた熟成室

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熟成室に足を踏み入れると、あの芳醇な香りに包まれた。そこでマルチェロさんが取り出したのは小さな指揮棒のようなステッキ。馬の骨でできたそれを熟成中の肉に刺して匂いを嗅ぐことで熟成の進行具合をチェックするという。嗅がせてもらうと確かに、熟成の進行具合や肉の部位により香りが違う!

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最後に大腿骨を抜いたら縄できつく縛り上げて整形する。ソフトプレスと言われるこの工程も柔らかなハム作りに重要。

王冠マークの焼印が栄誉ある「プロシュット・ディ・パルマ」の印

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その後も厳しいチェックを経てパルマハム品質協会(IPQ)の検査員が確認し、晴れて「プロシュット・ディ・パルマ」として名誉ある王冠のマークを焼印される。

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生ハム工房「CLAI」
生ハムの聖地、パルマの生ハム工房。最新の設備環境を駆使しながらも、工房の窓を開け、パルマの風を当てて乾燥/熟成させるなど、人の手とパルマの気候風土が欠かせない。日本で食べられるのはクオルス・リストランテのみ。

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