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6ヶ月で実ったバナナを通じて風土と農を考える

食べる森から見事バナナが実りました!
食べる森とは・・・こちらをご覧ください。

わずか6ヶ月で実ったバナナ

今年5月にバナナを植えたんですが、先日雨の隙間に散策していたら見事バナが実っていました。
バナナを植えたと言っても、文字通り植えただけで自然に放置したバナナです。(植えた時の様子はこちらをご覧ください。↓)

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それが、10月末に実をつけたのです。わずか6ヶ月でです。

土壌改良?
肥料たっぷり入れないと?
農薬まかないと??

はっきり言って、そんなことは一切必要ありません。

風土に合えば、
密植しなければ、
バナナは何もしなくても元気に育ちます。

もし農薬や肥料が必要なのだとしたら、
かなり密植しちゃってるんじゃないでしょうか?
それか風土にあっていない改良されたバナナ?
もしくは慣例に流されて?
大量生産したかったから?
実が大きくなると思ったから?

日本の農とラオスの農の違い

最初に言っておきますと、私はどちらがいいと言うつもりはありません。
それぞれの考え方があり、それぞれいいポイントがあります。

ただ私も衝撃を受けた、考え方の一つとして頭の隅にでも入れてもらうといいかな〜って思っています。

農薬については、みなさん危険だと思われていると思いますが、肥料を与えない農作物なんて・・・と思っていませんか?
そんな状態で作れるものなんて
・小さい
・美味しくない
・量が少ない
・そもそも育たない

なんて思っているのではないでしょうか?

ところが、少なくともこの何もしないバナナにおいては、格段に日本のものより美味しいです!

土を作らなくても、
いや、土を作らない方が
美味しくヘルシーな植物ができる可能性はあるのです!

ちなみに肥料については有機肥料であろうと個人的には使いません。
その理由は、有機肥料の元となる鶏糞・牛糞の鶏や牛が何を食べたかわからないからです。まぁラオスの牛は放牧されているのでそこまでではありませんが、飼料の中には何が入っているかわからないのです。

鶏舎の場合は特にストレスを減らすように抗生物質を入れていると聞いたことがあります。
それが農作物にどのような影響を与えるか?
私は化学者じゃないのでわからないですが、感覚的に使わなくていいかな?と思っています。なお、現地のウォンさんもそんなものを使わないし、使ったものを食べません。

土を作らないことのメリット

「農業が一番最初の自然破壊だ。」
なんて言葉を聞いたことがあるでしょうか?
また、「稲作が始まって、人は稲の奴隷になった」
なんて言葉もありますね。
「棃(すき)やトラクターが土を衰退させる」
どれも少し過剰で過激な言葉だと思いますが個人的には一理あると思ってます。

土を作らずに自然のまま育つものを作ることは、
・自然や土を守ることになります。
・人の手をかけないので労働時間が減り自由な時間が増えます

そこの勤勉なあなた!
時間をかける=いいこと
手間暇を惜しまない=いいこと
とは限りませんよ。

土を作らないと強い植物が育つ?

これはいくつかの文献で読んだこともあるのですが、ソースを忘れてしまったので少し感覚的なお話。
私は現地でいくつかの実験をしました。

①現地で受けつがれている種
②現地で買える種(F1種)
③海外の種(F1種)
④海外の種(原種)

②〜④は見事に虫に食べられました。
自作の燻炭は使用したりと手を変えたのですが、やはり概ねイマイチな育ちでした。そしてそのままにはしておけず、水やりをしたりと手を加えなければいけませんでした。

ところが、①は全く手を加えなくてもなぜか虫に食われません。ラオスは日本に比べて虫の種類も数も段違いに多いのにです。
そして紫外線も大層強いのにです。

植物は虫に食べられるなど外敵と遭遇した時に、対抗するための物質を作ります。それが、人の体にもいいと言われる、カロチノイドフラボノイドカテキンといったものです。

②〜③は自衛の力が薄れていて、虫へ対抗する物質の生成が弱いのじゃないかな?と推測されます。④ですら虫にやられましたから風土に合うことの大切さを実感します。

比べて①は何もしなくても紫外線にも虫にも対抗できる。強い力を持っているような気がします。それがそのまま体にもいいと感じるのはただの気のせいでしょうか?

また施肥をしないので、植物が自ら土壌微生物の餌を作る必要が出てきます。人が働かない分植物が動き回ってくれているようです。

土を作らないことのデメリット

もちろん、デメリットもあります。
それは何でも育つわけではないと言うことです。
そしていつでも育つわけではないと言うことです。

特に日本人の好きな糖度たっぷりの植物は向きません。
ラオスでは一年草も育ちにくい環境です。

野菜類は日本で食べる野菜などほとんどが無理です。
一部育つものもありますが、やはり小さいのがほとんどです。
なのでやっぱり日本の野菜が羨ましくもあります。

日本が、世界が、研究した農産物の多様性はやはり素晴らしいものです。(ただ少し画一化されすぎ始めたような危惧はありますが)

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温室の甘いバナナとビタミンたっぷりの自然のバナナ
あなたはどちらを食べますか?

選択できる環境というのは素晴らしいものです。
どちらがいいといっているわけではありません。

放牧で雑草を食べたグラスフェッド牛は脂肪分なんてほとんどない赤身の肉肉しい味がして美味しいです。
黒毛和牛は霜降りの脂ののった甘く柔らかく美味しいです。

その感覚に近いでしょうか?
どちらも選べる環境は素晴らしいですが、どちらかを食べるとしたらみなさんはどちらを選びますか?

サポート頂いた場合は、食べれる森作りを中心に、南ラオスの自然を大切にする農場スタッフのための何かに還元させてもらいます。