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こころとからだが喜ぶ山猫軒のディナー

私は眠れずにいた。
暑い中エアコンをつけずに作業していたせいなのか、最近再開したトレーニングで足が筋肉痛なせいだろうか?
眠れぬまま、翌日のディナーを思い浮かべた。
そして気づく

あ、これ、遠足の前の日のあれだ(笑)

いや、真相は定かではないけれど、少なからず私は翌日のディナーが楽しみで仕方がないのは確かだった。

そんな翌朝、結局たいして眠れない割に早く目覚めてしまった私は、朝ごはんを作り始めるが頭がぼーっとする。
昨夜眠れてないからだ、、、
鬱蒼とつぶやいたが、そのつぶやきはどうにも嘘くさかった。
いや、正確には嘘ではないのだけれど、今までの経験からディナーを終えれば回復することを知ってるのだ。

そう、今日の夜は山猫軒のディナー。

山猫軒は名古屋にある知る人ぞ知る予約のみのレストラン
ディナーは夜の18時45分一斉スタート。それからおよそ22時(場合によっては23時ごろ)になるまで、あらゆる料理とお酒がでてくるという、他のレストランでは見ないスタイルで成り立っている。

3~4時間の長丁場のディナーである。
疲れた頭と体では行くのを躊躇してしまいそうになるが、私はむしろ早く行きたいと思っている。

それが山猫軒なのだ。

食べて飲んでいるうちに回復するという経験を今までに何度もしているから、むしろ
「早く食べて回復したい!」
という気持ちが増していく。
焦れるように夜になるのを待ちわびた

しかも、今夜は名古屋出店10周年記念。というのだ。
楽しみにならざるを得ない。

と、前置きが長くなってしまった。

時計を見ると18時半を指していた
いよいよ開演の時間が近づいてきた

山猫軒は名古屋市の丸の内にあるビルの2階に、ひっそりとたたずんでいる。
知らずにフラッと入ることのないお店。知る人ぞ知るお店なのに、満席の日が続く不思議なお店。

いや、一度食べてしまえば、その美味しさに虜になるのは理解できるから、不思議ではないのだけれど。

そんなビルの入り口についたのは18時44分。

知らなければあがらない階段をあがり、知らなければ開けない扉を開ける

超満席のコの字のカウンターが目に入る。
さすが10周年。いつもより超満席だ。

「あ、山本さん、ありがとうございます。こちらのお席どうぞ」
と、席に案内してもらう。

席に着くと、スタッフが一人づつ飲み物を聞いていく。
ここでは「とりあえず生で」などという言葉も、
「ワインリスト見せてください」という言葉も聴くことはない。

その代わりに常連さんから発せられる言葉は
「1番」「1番」「2番」・・・
という番号
初めての人は奇妙に思うかもしれない。

その番号は何かというと、
1番は3000円台(正確な金額を失念)で一通り料理に合わせた日本酒とワインのペアリングが出てくるコース。しかもお代わり自由なのだから驚くほどお得だ。全品に一杯づつ出てくるのでそれだけで破格の値段。とりあえずこのコースを頼んでおけば間違いはない。

2番はたしか5500円。個人的におすすめのこのコース。お代わりはできないけれど、かなりいいワインがグラスで順番に出てくる。日本酒は1番と同じ内容。

3番は確か12000円くらいだったかな?2番よりヤバいワインがでてくるらしいけど、こちらは私はまだ未体験。次回こちらにチャレンジしてみたい。

ということで、私は「2番」を宣言。

さて、まずはフランスのスパークリングワインが注がれてコースがスタートする。

「いいカニが入ったので、追加でサービスです」

といきなりのカニから始まった。サービスで超おいしいカニが出てくるのがイかれてる。

続いては、前菜盛り合わせ(?)

カレイの縁側とか、タスマニアサーモンとか、どれもどれも美味しくて、これだけですでに満足度がぐんと高くなる。タスマニアサーモンの上の胡椒は絶品。ところでシイタケってこんなにおいしいの?

・・・いや、これ全部書いてたらきりがない。

でも続いて出たのが、久しぶりに食べることができた

「いくら」

なのだから書かせてほしい。

なにせこれが出ただけで、客席から歓声があがるくらいの美味しいのがここのイクラなのだ。
なるほど、さすが常連ばかりの今夜。おいしいのをみんな分かっているようだ。

イクラ

実はこのイクラ、私のイクラへの価値観を変えてくれた一品。
「いくらって何が美味しいの?」
なんて言ってた私の頭をガツンと叩いてくれたのがこの一品。しかもその時は、お土産で持ってきてくれた持ち帰りのイクラだった。
「何このうまいイクラ!?」と驚き、すぐにお店を予約したのを思い出す。
そんなイクラが今宵も出たのだ。テンションが上がらないわけがない

そこからはパスタ3種


原価でひと箱最低7000円らしいウニを3箱ふんだんに使ったウニのパスタ(ウニ対パスタ=1:2)とか、太刀魚のパスタとか、やっぱりトマトパスタは絶品
どれも濃厚なのにサラッとしていて、うまみ爆発。ワインとも相性ぴったり。


ウニのパスタ

いや、ほんと書いてたらきりがない。

その後、チーズの盛り合わせ。

どれもおいしすぎて言うことはない。


無いのだけれど、これだけはいいたい
このリースリングヤバイ!

以前別のワインショップで同じ銘柄のリースリングを買って飲んだことがあり、かなり美味しいワインだと思っていたのだけれど、なんとこちらは1990年代。個人的に少しハチミツのような絶妙な香りと甘みを覚え、チーズと合わせるのには最高のペアリングを演出してくれた。


お次はかぼちゃのスープ。


かぼちゃのスープ

もうこうなったら全部書いてやるw
このかぼちゃのスープ。だしもとらず基本かぼちゃで味を作っているのだそうだけれど、これが絶品。
シンプルイズベストとはこのことだろう!
今回食べた中で一番感動を覚えたといっても過言ではない。
どうやったらかぼちゃだけでこんなおいしい味が出せるのか!!???
料理教室お願いします!

そして最後の一品を前にサラッと出されたこの一品。
今回のコースは出ないかなーって思ってたら不意に訪れた、最高のお肉。

三島牛のハラミ。

油ののった美味しいお肉・・・・というと、拒否反応を示す人もいるだろう。確かにわかる。40代を超える胃では厳しいのが霜降り肉なのだ。

ところがこの霜降りは全く油の質が違う。
全然胃もたれしない油なのだ。
空気に触れているだけで、一瞬でとろけてしまうため、出されたらすぐに食べてくださいとアナウンスが飛ぶ。
口に含むと瞬時に油と赤みの競演が口の中でなされて、何とも言えない旨味が広がる。ずっと食べてたいけれど、すぐ溶けるから、一瞬でなくなってしまう。

三島牛のはらみはとろけるうまさ

ちなみに三島牛は欧米種の影響を受けていない日本の固定種で、年間3~4頭程度しか市場に出ないらしい・・・頭数も今でこそ増えたが、それでも日本に200頭ほどしかいないという。

さぁいよいよラストの一品

マカロニグラタンとお肉盛り合わせ

タンも肉も絶品だけれど、やっぱりマカロニグラタンは最高。
濃厚な味なのに、超優しい。

締めのデザートとコーヒー(このコーヒーでも1記事かけるくらい注ぎ方も特長的で、美味しいのだけれど、写真を失念)を頼んで今夜のディナーは終演を迎える。

いや、迎えない。。。
せっかくなので、最後に世界最高峰のグラッパを注文。

このグラッパ、世界最高峰と言われる理由があるんだけれど、これはまた次回。

ということで、結局、ただたんに、山猫軒最高!ってだけの記事でした(笑)

さて、不思議なのは、これだけ長丁場でたくさんのものを食べ、多くのお酒を飲んだのに関わらず、胃腸がスッキリしているということ
これはきっと自然のものを安全にいただくのが料理というシェフの考えが料理に本当に浸透しているからなのだと思う

心も体も満足した1日
最高の饗宴を堪能させていただきました

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