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【ラオス生薬】山岳民族の胃薬「黒生姜」とは?①
※今回は学術的で真面目な投稿になっております。ご了承ください。
ラオスには私たちがまだまだ知らない生薬が山ほどある。
だから「生薬(ヤータマサー・直訳:自然の薬)を教えてほしい」という質問は非常に野暮だ。それを言うとたいていは相手は答えに困る。それでも何度も聞いていると、これもあれもと足元にある草をさしながら教えてくれる。
それくらいあちこちが生薬なのだ。
だから一朝一夕で調べられるものではない。じっくり腰を据え、時々発見されるその生薬を自分で試すことでしか知る方法はない。
ラオスに渡り4年、日本に帰らずに2年かれらとひざを突き合わせ食を共にするなかで少しづつ分かってきたいくつかの有効な生薬。
その内容を調べたものを忘記録的に記載してみたいと思う。
調査はインターネットに掲載されている効能ばかりをやたら強調したいい加減なものではなく、国際論文に掲載されているものをもとに調べてみたいと思う。本日第一回目は黒生姜
黒生姜とは?
黒生姜(学名Kaempferiaparvifora) は東北タイやラオスで発見されたショウガ科に属する地下茎。
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黒生姜のラオスでの使用方法
ラオスでは主に山岳民族が使用する伝統的な生薬の一つ。特に山に行く際には必ず携帯すると言われるほど愛用されていた。
私が確認できた現地の主な利用は
① 胃薬 (そのままかじる)
② 解毒 (すり潰したものを患部に塗布する)
③ 滋養強壮・精力剤 (お酒に漬け込み飲む)
の3種類。あくまで薬としての使用に限られ料理用には使われない。
それもそのはず、非常に苦みが強く本当に胃薬のような味がするため料理には向かない。
しかし、私が農場でこの黒生姜を干していると、たまたま訪問してきたラオス人がみんな勝手にかじっていったところをみると、結構すきなんだろうと想像する
なお、論文上では
健康増進のためのハーブとして人気があり,炎症,潰瘍,痛風,疝痛性疾患,膿瘍, アレルギー,変形性関節症など,さまざまな疾患の管理に民間薬として伝統的に使用されてきた。
と記載されている。
黒生姜の主な効果と有効成分
黒生姜の主な有効成分はメトキシフラボンであり、細胞代謝調節活性、抗癌活性、血管弛緩・心筋保護活性、性機能向上活性、神経保護活性、抗アレルギー・抗炎症・抗酸化活性、抗変形性関節症活性、抗微生物活性、経皮吸収 活性など、様々な効果があると薬理学的に言われている。
これらは、ミトコンドリア機能の亢進やcGMP-NOシグ ナル経路の活性化と関連しているのではないかと考えられている。
しかし、黒生姜およびそのメトキシフラボンの基礎となる分子メカニズムはまだ解明されていない
黒生姜の適切な摂取量および毒性
現在のところ、最適な摂取量を明らかにする十分 な科学的根拠はありません。しかしタイ伝統医学研究所の勧告では、黒生姜の1日の投与量は1.2gとされています。なお1日1.35gを投与しても、副作用は生じない とされています
黒生姜およびメトキシフラボンの急性および慢性毒性試験では、黒生姜を経口投与しても、体重や内臓器官の組織学的変化に異常をきたさないことが証明されている。毒性試験では、KPのエタノール抽出物(60, 120, 240 mg/kg, 60日間)は、ヘモグロビン、白血球、鑑別細胞数に著しい変化を引き起こさないことが示されました。また、腎機能および肝機能への悪影響も認められなかった。
効果1 細胞の代謝調整作用(肥満抑制)
黒生姜抽出物は,脂肪分解を制御するATGLおよびHSLの発現を活性化することがわかっています。
これにより成熟脂肪細胞の脂肪分解 を促進し,脂質の蓄積を抑制し,肥大化を抑制するこも確認されています。
高脂肪食(HFD)投与マウスにおいて 、KP抽出物は褐色脂肪組織(BAT)の活性化とBATに 特異的に発現している非結合タンパク質1(UCP1)の発 現の増加を通じて、エネルギー消費を有意に促進しま した。
adipocyte hypertrophy by polymethoxyflavonoids isolated
from Kaempferia parviflora," Phytomedicine, vol.21, no.6,
pp.800-806, 2014.
効果2 抗がん作用
黒生姜のエタノール抽出物は、
HL-60細胞において、細胞増殖を抑制し、細胞生存率を低下させ、アポトーシスを誘導する。
細胞形態の変化、ホスフ ァチジルセリンの外部化、ミトコンドリアのMTP(trans-membrane potential)の低下、カスパーゼ 3の活性化などが挙げられる。
ヒト前駆細胞 性白血病U937細胞株において、凝縮した核やアポト ーシス小体、MTPの低下などにより、細胞の増殖と 生存率を阻害し、細胞のアポトーシスを促進が確認されている。
その他にもB16メラノーマ4A5 細胞のメラニン生成を阻害する活性を示すことが明らかになっている。
子宮頸がんのHeLa細胞においても、PI3K/AKTおよびMAPKのシグナル伝達経 路を抑制することで、細胞のアポトーシスを促進し、HeLa細胞の移動と浸潤を抑制する 。
などいくつかの要因で抗ガン作用に有効と思われる事例が確認されている。
効果3 血管弛緩剤と 心血管保護作用
黒生姜はフェニレフリン(PE)また はアセチルコリン(ACH)誘発の単離組織において,用量依存的に大動脈輪および回腸の弛緩を誘導することも示されている
そのためのいくつかの実験がありますが、一例として
黒生姜のエタノール抽出物がスーパーオキシドの生成を有意に減少させ、STZ誘発大動脈輪の内皮機能障害を改善することを示しました
またラット大動脈輪部において,cGMP-NOの活 性化,カルシウム流入の抑制,および活性酸素に対す る防御を通じて,I/R傷害に対する心筋保護作用を示 すことが示されている。
"Effects of Kaempferia parviflora Wall.Ex Baker on endothelial
dysfunction in streptozotocin-induced diabetic rats," Journal of
Ethnopharmacology, vol.133, no.2, pp.371-377, 2011
他にも
性的向上のための活動、神経保護作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用 、抗酸化作用、抗変形性関節症活性、抗菌活性、. 経皮吸収型の活性
などが調べられていますが、本日はこの辺にて
調べれば調べるほど効果が調査されている黒生姜。
第一回に黒生姜をピックアップしたのは失敗でした💦
色々とありすぎです。
流石は山岳民族の伝統的な万能薬。
気になる作用が発見されたら是非お試しください。
ご一報いただければ今年の収穫分を確保しておきます。
本記事は下記記事をもとに記載しています。
Kaempferia parviflora and Its Methoxyflavones:
Chemistry and Biological Activities
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