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偶然

先週の月曜日は海の日だった。

海の日はもともと明治天皇が東北御巡幸から無事横浜にご帰着された日である7月20日を「海の記念日」として祝したことに由来する。

そんな海の日に横浜を訪れた。偶然である。
おそらく横浜にいる大半は海の日の由来など気にしたこともないだろう。ぼくもその1人であった。

横浜に来たのは父と野球を観に行くためである。しかし、その前に母がフカヒレを食べたいと言い出したので、家族で中華街にフカヒレを食べに行った。フカヒレの姿煮を食べるのは初めてだ。美味しかった。人生でフカヒレを食べたいと衝動的に思ったことはない。今後も一度あるかないかだろう。中華街は連日の暑さのためか少し空いていた。たしかにこんな暑い日に外を出歩く方がおかしいのかもしれない。栗の押し売りも少なかった。規制のためか、暑さのためか。それでも屋台で甘栗を一袋買った。それとあとで合流する弟のために肉まんを買った。

朝陽門を出て、ハマスタへ向かう。母は帰宅し、代わりに弟と合流した。ぼくは佐野選手のユニフォームに着替え、応援モード。弟は山﨑選手の復刻版ユニフォームを買っていた。

なぜぼくが横浜DeNAベイスターズを応援するか。それはただ横浜に生まれたからとしか言いようがない。大阪ー父の実家は大阪で祖父は根っからの虎党であるーに生まれていれば阪神を応援していたであろう。偶然である。物心着く頃には横浜を応援していた。DeNAが球団を買う前の横浜はいつも負けていた。年に数回は試合を観に行ったが勝った覚えがない。ぼくが行くから負けるのか、横浜が弱いから負けるのか。当時の横浜は上位5チームの優勝争いを尻目に不動の6位(最下位)を守っていた。だから横浜が弱いからと言う言い訳が成立した。いつしか負けることが当たり前になっていた。

しかし、今年は違った。少し前まで阪神と首位争いをしており、優勝を狙えるチームになっていた。これで負けたらぼくのせいかもしれない。そんな緊張感があった。

先発は今年アメリカから鳴物入りで入団したトレバー・バウアー選手。今年の成績は6勝2敗。舞台は整った。

結果は1-2で敗戦。

今日も負けた。ぼくが行く試合は全て負けている。それでも横浜ファンは死んでもやめない。横浜が勝つところを見たいから。負ければ負けるだけ1回の勝利の価値が上がる。これは負け犬の遠吠えである。

人生は偶然の連続だ。海の日に横浜に来たことも、横浜ファンであることも。人生においては我々がコントロールできることの方が少ないかもしれない。しかし、偶然でも必然でも、勝とうが負けようが、我々は生きねばならない。生きている限り、必死にならなければならない。必死になれるなにかを見つけなければならない。今は見つけられなくても見つけようとしなければならない。

この前、母校を訪ねて担任に就活の報告をした際、担任に「結局どうなりたい?」と聞かれて答えに詰まった。残りの人生でぼくは何を成したいのか。ぼくもまだ必死になれるなにかを見つけれていない。

為せば成る 為さねば成らぬ 何事も
成らぬは人の 為さぬなりけり

やるっきゃない。

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