見出し画像

雨②

その朝、私の人生が一変する。


いつもの休日、少しゆったりとした時間にふと目が覚めた。

前日、彼へ「おやすみ」すらメッセージを送っていなかったわたしは、ここでようやくスタンプ1つだけ送った。

すぐに既読にならないことを、その時は(まだ寝ているのかな)くらいに思っていたが、その時間は丁度、彼が倒れた時かもしくはその少し後だった。

一時間ほどして、”まだ寝ていたいな、でもそろそろ起きようかな”そんなおやすみモードの空間に、突然知らない番号から電話が鳴る。

知らない番号からの電話は一度番号を調べて折り返すことにしていたので、いつも通りその電話には出なかった。

だが間髪入れずに違う番号から電話が鳴る。

この時少しだけ変に思う。

一人目の電話の主から留守番電話が入った。

いつもと様子が違う気がしたのは、ここら辺からだったかもしれない。

「〇〇会社のSです。〇〇さん(旦那の下の名前)に関して緊急のお電話です。至急ご連絡ください」

喉が締まる感覚がした。

わたしはその人にかけ直さずに先に旦那のLINE電話にかけた。出ないのでスマホの番号へかけた。出ない。

事故にでもあったのだろうか。考えられないが何かして捕まったのか。もしくは実は今日仕事だったことを忘れているとかだろうか。

「〇〇さんが突然倒れて病院へ搬送されました。」

おそるおそるかけ直して聞いた言葉は、様々な予想を超えて私を突き落としてきた。

今思うと自分を褒めてあげたいが、この後病院の名前を聞いて、旦那のご家族へ全員連絡して、2時間近くかかる病院まで一人で向かった。

「命に別条はない」その言葉をずっと待っていたのに、病院につくまで複数人と連絡をとったが誰も言ってはくれなかった。

何が起きているかわからない、怖くて怖くて吐きそうだった。

最初に旦那の弟と連絡が取れて、本当に初めてくらいに電話をかけたので驚かせてごめんねと思った。旦那の母の泣きそうな声を聞いて、よくわからないけどしっかりしなくちゃと思った。旦那の父の声を聞いて、一人じゃないから落ち着こうと思った。自分の母の声を聞いて、何故か申し訳ない気持ちになった。

訳がわからないまま病院について、まだ彼に会うことはできなくて、主治医の方から状況説明をされて、検査が終わるまで待たされた。

この時まだ、彼は大丈夫だと思ってた。

彼が私を置いていくわけがないと。

彼も私を置いていきたくはなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?