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【英語X年目】ダウントン・アビーで英語を勉強する。



以前の記事で、英語を映画やドラマで勉強するならば、見た後で、セリフをググって読むまでした方が絶対いい!」と書きました。

何度も見返す好きな作品であっても、「ただ見るだけ」と「きちんとセリフを文字で読み直した」では、英語の定着率が段違いだからです。

今回のは、私の好きなドラマシリーズ「ダウントン・アビー」が今年の4月から再放送していたことに、ほとんど二か月遅れで気が付いたので(←)
この作品が、単に見て面白いだけでなく、英語の勉強という観点からしてもいかに役立つかについて、少し語ってみようと思います。


1、ダウントン・アビーとは・・・?

まずは「ダウントン・アビー」を一度も見たことがない人に向けて、どんな作品かをご説明しましょう。

舞台は、20世紀初頭のイギリス
「ダウントン」とは、ある貴族が治める土地の名前で、
その土地で暮らす貴族一家と、彼らに仕える使用人達をめぐって、様々なドラマが起こっていく、というものです。

このように書いてしまえばそれまでなのですが、

一人一人の登場キャラクターの魅力
テンポがよくて、飽きさせないストーリー展開
衣装建物に、めちゃくちゃ凝っているらしい

など、なかなか一言では説明し切れないほどの良さがあるのです。



特に素晴らしいのは「登場人物同士の人間関係が、絶妙に絡み合いつつ、時間とともに変化していく過程」とでもいいましょうか。
人と人との関係を、第三者の立場からニヤニヤと観察するのが好きな人がハマる系のドラマだと思います。

たとえば、貴族と使用人といえば、「雇う側」「雇われる側」なわけで、どうにも覆せない力関係があるのは事実ですが、
その実、必ずしも一方的な関係というわけではないのです。

使用人の方でも、
『○○様の懐に取り入って、昇進させてもらって給料をあげてやる』とか
『××様は嫌いだが、△△様は好きだ』とか
『◇◇様は腹が立つから、嫌がらせしてやろう』とか

「今のこの立場なりに出来ること」を決して諦めていないんですよね。
もちろん、表では恭しく振る舞いながらですが。

そしてこのドラマ、全6シリーズもあって相当長いので、
その時点ごとに、誰が誰をどう思っているか、とか、誰の立場がどう変わる、とか少しずつ変化していくんです。
それを見るのがたまらなく面白い・・・!



とまあ、私の思うダウントン・アビーの魅力を書いてみました。
私の言葉でどれだけ伝えられたか定かではありませんが、
NHKのBSプレミアム103chでやっているので、BSが見れる人はぜひ一度見てみてください。
毎週土曜日午前8時45分からやっていますよ。

全6シーズンあるうち、現在再放送しているのはシーズン5ですが、話の途中からでも、全然楽しめますよ!

通常は日本語吹き替え版ですが、ドラマを見ながら英語を勉強したい方は、
リモコンの「音声ボタン」を押すことで「英語音声」に、
また「字幕ボタン」を押すことで「日本語の字幕」をつけることができます。



2、ダウントン・アビーで英語を勉強してよかったこと


私は以前、この「ダウントン・アビー」にものすごくはまった時期があり、
毎週の放送を録画して、

・一回目見る
・セリフ一覧を検索し、全部読む
・セリフを頭に入れた状態で、二回目を見る

という一連の作業を、通算5シーズン分くらいやりました。


一度見たあとで、セリフ一覧を読み返すと、
『あのとき、こう言っていたのか!』
『あの言葉は、知らない単語だったのか!意味を調べよう!』
といったように、
一度見ただけではすぐに流れて行ってしまうものを、きちんと自分のものにすることが出来るので、すごくオススメの勉強法なのです。

ちなみにセリフを探すときは「downton abbey script season 5 episode 3」などと検索するとたいてい出て来ます。

私の場合、セリフを全部読み返すのに、だいたい作品の時間の1.5~2倍くらいの時間かかかるので、
毎週ドラマ一話分の台本を英語で読むのは、時間的にも気力的にもなかなか堪えましたが、
とにかく「好き」という気持ちをばねに続けました。

そして、そのような方法でダウントン・アビーで英語を勉強したことで、何が得られたかを次に紹介したいと思います。

<その一、イギリス英語の発音に少し慣れる>

まずは当たり前ですが、イギリス英語に慣れることができます。

日本の英語教育では、基本的にアメリカ的な発音が基準となっているので、
イギリス英語特有の「息が漏れる感じ」とでも言いましょうか、そういったものに違和感を感じる人が多いのではないでしょうか。


そんな「耳の違和感」を解消するには、とにかく聞き流して耳を慣らしてしまうのが一番です!
何も考えずに見ているだけでも効果があるので、試してみてください。

作品に影響されると『気付いたらイギリス風の発音になっていた!』なんてこともあるかもしれません。
(私は少しそうなりました)



<その二、上下関係が重んじられる会話で守るべきルールが学べる>

英語には、日本語の丁寧語や尊敬語にあたるものはあまりありませんが、
相手に敬意を示す表現というのは、きちんと存在します。

「would」や「could」を使って、なんとなく遠回しに言うと上品になるというのはよく知られていますが、案外知られていないのは、

"Yes, milady"
"No, Mrs. Hughes"

というように、返事をするときなど「相手の名前や肩書きをつけることで、相手に敬意を示す表現になる」ということです。
(こういうの、中高の英語で教えてほしかった)

使用人から女性の主人に言うときは、「milady(お嬢様、奥様)」をつけて言い、
またミセス・ヒューズは使用人をまとめるトップという立場ですので、
使用人たちが上司である彼女に返事をするときには、「Mrs. Hughes」をつけて言うのですね。


これは簡単に応用できます。

学校で先生に返事をするときは
"Yes, Professor Snape."
と言うのが普通みたいですし、

高級なショップや一流ホテルでお客さん相手に話すときは
"Yes, ma'am."
"No, sir."

のように対応するようです。


そしてもう一つ、これは小ネタみたいなものですが、
メイドのオブライエンさんが、主人であるコーラに
"Well done, milady"(やりましたね、奥様)
と言ったことがありました。

"Well done"といえば「よくやった」という思い込みで、
てっきり、目上の人からしか言わない表現だと思っていたのですが、
下の立場の人からも、普通に使える表現らしい、とわかった、なんてこともありました・・・!


というわけで、ダウントン・アビーの登場人物の立場を考えながら英語を読み解くことで、TPOにあった英語を学ぶことができます。
これは登場人物の上下関係がきめ細かく描かれるダウントン・アビーならではと言えるのではないでしょうか。


<その三、優雅な英語表現に唸らされる>

イギリスらしい英語ということなのか、セリフの一つ一つが優雅で遠回しで、それでいてきちんと自己主張をする、そんなものが多いように思います。


たとえば最も印象に残っているのは、
シーズン1の第一話か二話くらいで、執事長であるカーソンさんが、一家の長女であるメアリーに
"Even a butler has his own favorite."
と言うセリフでしょうか。

メアリーが落ち込んでいるときにカーソンさんが優しく言葉をかけてあげるシーンで、
メアリーが「あなたはいつも私に優しくしてくれるのね・・・」と礼を言うと、
「私は執事だから一家全員を敬っていますが、中でもメアリーお嬢様は特別に思っているんですよ」という意味を込めて、カーソンさんがこう返すのです。

「a butler」「his」など、第三者のように言っていますが、それは自分のことをさしており、
そして「favorite」とはもちろん、メアリーのことです。

「I」や「You」と言わず、敢えて遠回しに表現するんですね。
どうです?しびれませんか?


といってもまあ、自分が実際にそんな英語表現を使いこなせるようになるかはわかりませんが、
(というかドラマのセリフなので、そのまま現実に流用するとちょっと気取った人と思われるかもしれません)

いずれにせよ、読んで英語表現の肥やしとするには、とてもいい題材だと思います。

<その四、イギリスという社会が少しわかってきた気がする>

よく「言語を学ぶということは、文化を学ぶことだ」といいます。

言語と文化とはあまりにも密接に結びついているので、その国の文化を学ぶ姿勢なくして、その国の言語を習得するなんて、不可能だ、ということです。

そこへくると「ダウントン・アビー」は、およそ100年前イギリスという社会がとても細やかに描かれています。
いわば「『現在』のイギリスが成り立つ前の社会がどうであったか」を知ることができるといえるでしょう。


たとえば、今でも「イギリスは身分社会だ」と言われますが、このドラマを見ることで、その根深い意識というものを読み取ることができます。

ダウントンのお屋敷では、使用人達は主に地下で働いて暮らし地上は貴族が優雅に過ごす場所、というように、そこに一つの分断があるのです。
(一方でそんな身分差を覆そうという、左派寄りのキャラもいて、それがまた物語のスパイスとなるのですが)

いずれにせよ私はこのドラマを見て、「イギリスが身分社会だ」といわれる所以が、肌身の感覚として、初めてわかった気がしました。


といっても、私のようにイギリスに行ったことすらない人間が、「ドラマを見ただけで、イギリスについてわかった気がする」と口走るのは、軽率かもしれません。

しかしながら、「このドラマを見ることで『イギリス人の考えるイギリス人らしさ』を窺い知ることが出来る」ということは、出来るのではないかと思います。


というわけで、長々と書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ダウントン・アビーの魅力が少しでも伝わったでしょうか。

では今回の記事をまとめます。
今(2020年春)、BSでダウントン・アビーの再放送をやっている!
・この作品を通じて、上下関係の場における英語表現イギリス英語、そしてイギリスという社会を知ることができる!
・ドラマで勉強するなら、「台本・セリフ一覧を探して、読む」までやる方が絶対いい!

ということでした。

英語の勉強というのは、結局「自分の好きなもの」でやるのが一番いいとは思っているのですが、
もし興味がある方は、ダウントン・アビーで英語を勉強するのは非常にオススメです。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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