見出し画像

和の色名 夏の色~水無月・雨の季節~

こんにちは、カラープランナーの かわべ みえ です。
6月がスタートしました。 梅雨で雨が多くなる時期ですが、自然の中には、雨の恵みとも言える、この時期ならではの美しい色がいっぱいです。

この季節の代名詞のような紫陽花もお花の色が、 土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、 「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になる、 と言われています。 自然に色が変わる、不思議で面白いですよね。 ぜひ雨の季節の色を楽しんでいただければと思います。

青時雨(あおしぐれ)

冬の季語「時雨」に青葉の青をつけた夏の季語です。 木々の葉に降り溜まった雨が、下を通ったときに パラパラと落ちてくる、そんな様を表しています。 傘にあたると可愛らしい音がしますよね。 瑞々しさや透明感を表現しています。

そして、梅雨入りは栗花落(ついり)とも呼ばれる、とか。 梅雨の季節に咲く花の一つに、栗の花があり、 降り続く雨の中、栗の花の咲き散るさまから、 栗花落(ついり)とも呼ばれたそうです。

集小藍~あずさあい~

紫陽花の語源となったのは、集小藍(あずさあい)という言葉で、 小さな藍の集まった花、という意味です。

江戸時代に日本に来た医師シーボルトは、 オランダで発行された書籍の中で、 紫陽花を日本の美しい花として紹介しています。 また18世紀には、英国王立植物園にも植えられました。 紫陽花もまた、桜のように、日本を代表する花、 と言ってもいいのではないでしょうか?

ajisaiao

紫陽花青(あじさいあお)
その名の通り、紫陽花の花の青をあらわしています。

稽古はじめ

昔から芸事の世界では、「稽古はじめを6歳の6月6日にすると 上手になる」と言われています。 これは指を折って数を数える時に、6はちょうど小指が立つところから、 「子が立つ」のは縁起がいいとされているからです。

一年の折り返し 夏越の祓

6月と12月には、罪や穢れを落とす祓えの行事があります。 6月の大祓は「夏越の祓(なごしのはらえ)」と呼ばれ、 多くの神社に茅草で作った輪が立てられ、茅の輪くぐりが行われます。 茅の輪くぐりは、病気や禍をお祓いし、神様に感謝し、 残りの半年を無事に過ごすための神事です。 また12月の大祓は「年越しの祓」と呼ばれます。

和の色名

雨の季節にまつわる和の色名を紹介していきます。

ouchiiro

楝色(おうちいろ)
楝は栴檀の古名で、初夏に淡い紫色の花を咲かせます。

mukugeiro

槿花色(むくげいろ)
平安時代からの色名で、槿花の花のような色です。

niwaumeiro

唐棣色(にわうめいろ)
この色はいくつか説があり、特定されていません。 庭梅は淡い紅色の花を咲かせるバラ科の低木です。

sekichikuiro

石竹色(せきちくいろ)
撫子の花のような色です。 石竹は中国原産で、日本の大和撫子に対して 唐撫子とも言われます。

asagiiro

浅葱色(あさぎいろ)
涼やかな明るい青緑です。 水色よりも濃い、青みがちの緑。 新鮮組の羽織の色としても知られています。 浅葱はネギの薄い葉の色。 「葱」という文字は「青」を示す色名に使われます。

mizuasagi

水浅葱(みずあさぎ)
藍染の薄い浅葱色。 後述する瓶覗の次に淡い藍染です。
水浅葱の「水」は、「水で薄めた」という意味。 江戸時代の川柳に「親分は水浅葱まで着た男」とあり、 水浅葱は罪人のお仕着せにも使われていたようです。

usuasagi

薄浅葱(うすあさぎ)
浅葱色のさらに薄い色です。 涼しげで爽やかな色。

hanaasagi

花浅葱(はなあさぎ)
花色(縹色のこと)がかかった浅葱色です。
平安時代からの色名ですが、当時の色は詳しいことが わかっていません。 現在の「花浅葱」とされている緑みの青は、 江戸時代後期に誕生しました。

asaginezu

浅葱鼠(あさぎねず)
浅葱色に鼠色を混ぜたもの。

kamenozoki

瓶覗(かめのぞき)
濃淡の違いで様々な色名をもつ藍染で もっとも薄い色をあらわします。
江戸時代に誕生した色名で、別名「白殺し」とも。 藍染は染料の入った瓶(かめ)に布を浸します。 回数が多いほど濃く染まるのですが、 瓶覗は「瓶を覗いたくらい短い一瞬の染め」 という意味で名づけられています。


雨の季節の色、紫や青緑など爽やかな色が多くありました。
ジメジメした季節、少しでも快適に過ごせるように お洋服やインテリアの色で工夫できたらいいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?