和の色名 初夏の色~皐月・自然豊かなころ~
こんにちは、カラープランナーの かわべ みえ です。
5月に入り、爽やかなお天気が続いています。
今日はこの時期にそぐう、和の色名をご紹介したいと思います。
5月は皐月と呼ばれます。 由来は、「耕作」を意味する古語の「さ」。 稲作の月の事を指して「さつき」になった、とか。
また、早苗を植える月「早苗月(さなえづき)」 から「さつき」になったという説も。
さつきの「皐」という字には「神にささげる稲」 という意味があるそうです。 また、英語の「May」の語源はローマ神話の 「豊穣を司る女神 Maia(マイア)」。 自然豊かな、農業においてとても大事な月のようです。
母の日
母の日は5月第二日曜日。 普段は感謝の気持ちを表すのが照れくさかったりしますが、 この日はそういう気持ちなく感謝の気持ちを表せたらいいですね。
母の日は、母親を亡くした一人のアメリカ人女性が、 追悼の会で列席者に白いカーネショーンを配り、 始まったと言われています。 のちにアメリカでは1914年に国の記念日に定められ、 母親が健在な人は赤いカーネーションを飾り、 母親が亡くなっている人はお墓に白いカーネーションを 捧げるようになりました。
また、世界各地で母の日は存在しますが、日はバラバラです。 日本やアメリカのように、〇月 第〇 〇曜日、と 決まっている国もあれば、日付で決まっているところも。
色で語る
平安時代に行われていた賀茂祭り。 京都の下鴨(賀茂御祖 かもみおや)神社と 上賀茂(賀茂別雷 かもわけいかづち)神社の例祭で、 毎年5月15日に行われます。
路頭(ろとう)の儀と呼ばれる大行列は、 平安貴族の装束や牛車が並びます。 江戸時代にお祭りが再興され、賀茂神社の神紋である 葵の葉が飾られるようになり、葵祭と呼ばれるようになりました。
源氏物語ではこのお祭りを舞台にした「車争い」があります。 とても人気で、能の演目「野宮(ののみや)」などにもあります。 また、この時代は美しく着飾っても本人は御簾(みす)の外には 姿は見せず、衣裳の端を外に出して存在をアピールし、 中にはどんな高貴な美しいお方がいらっしゃるのだろう? と人々は推測するのでした。 なので、かさねの色めがとても大事でした。
葵色(あおいいろ)
葵の花は白や紅、白と赤系の斑など様々ですが、 平安人の好みが反映され、明るい紫の色となっています。
葵緑(あおいみどり)
実物の葵の葉の色より明るい黄緑色です。
和の色名
浅緑(あさき みどり)
次緑(つぎのみどり)
これらは「延喜式」で決められた官位を表す色名です。
浅緑より青みに寄った濃い緑。 これより深い緑は、中緑(なかのみどり)、 深緑(ふかき みどり)です。
白百合色(しらゆりいろ)
色名は明治時代以降の訳語です。 白百合は聖母マリアのシンボルで処女性を表しています。 百合は夏を代表する花。 名前の由来は、細い茎に大輪の花をつけ、 風にゆらゆら揺れるので「揺り」だとか。
卯の花色(うのはないろ)
卯の花の色。 卯の花は、初夏に小さな白い花が枝いっぱいに咲く空木です。 花が卯月(旧暦4月)に咲くことから「卯(う)の花」と呼ばれます。 平安時代には、白さと美しさから「雪かとまごう」と形容されました。
萱草色(かんぞういろ)
百合の仲間である、萱草の花のような色。 この色は紅花(べにばな)と支子(くちなし)、 または茜と支子で染められています。
中国原産のユリ科の多年草で、古代中国では、 身につけると憂いを忘れさせてくれると言われました。 そこから、別名「忘れ草」と言われる萱草。
平安時代には、この色は忌色で、喪に服す時に纏う色と されていました。 現代では「ん?喪服に?」と思ってしまうほど 明るい黄橙色ですが、いわれをきくと納得します。 また「今昔物語」には父親の死に際しての兄弟のことを 「萱草色」と「紫苑色」が使って記された興味深い話があるそうです。
向日葵色(ひまわりいろ)
向日葵の花のような色。 向日葵は北米原産で、花自体は江戸時代中期に 日本に伝わりました。
そして、色名が誕生したのは19世紀後半。 化学染料によって、それまでの天然染料では 難しかった鮮やかな発色が可能となり、生まれた色の一つです。 比較的新しい色と言えます。
今日は5月らしさを感じられる和の色名をご紹介しました。
爽やかな薫風を感じながら、自然に目をむけると たくさんの色を感じられると思います。 リラックスのためにもお散歩のときなどに、自然の色を感じることで癒されることもあると思います。 ぜひ、色を感じてみてくださいね。 最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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