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【(完全版)36歳まで英会話の勉強で失敗ばかりしていた僕が英語を話せるようになるまでに必要だった勉強方法】

はじめに

この記事は、

・英語を勉強しているのになかなか話せるようになれない
・英会話は実践!と信じてシャドーイングしたりはたまた留学までしたのに話せるようになれなかった
・そんなことをしているうちにどんどん時間だけがすぎていってしまった

などと英会話ができるようになりたいのに失敗をしてばかりしてきた人が英会話を身につけるための記事です。
なお上記の失敗は自分が経験したことです(苦笑)。

そんな僕ですが、36歳でフランスの大学院で言語学を修め、その頃ようやく問題なく日常英会話ができるようになりました。

そこで英会話ができるに至ったまでに僕が知り、活かすことのできた勉強方法の手順や流れについてまとめました。



1:英会話力を身につける前に必要な知識と理論



1-1: 大人はルールから英会話を学んだほうがよいです

英会話も含め技術を学ぶ方法は2つあります。
その2つとは

・帰納法(結果からルールを導く)
・演繹法(ルールから結果を導く)

そして

大人が英会話を学ぶ場合は圧倒的に演繹法で学ぶほうがよい

です。
なぜなら、

7歳くらいまでは帰納的に言語を身につけることができるが、それ以降は難しくなる

からです。
具体的には、

・1歳頃までに音素(簡単に説明すると発音の一種)が第一言語(いわゆる母語)に固定される
・7歳頃までに統語(簡単に説明すると文法のようなもの)の判断が固定される

ということが研究結果よりわかっているからです。
言い換えると、

・7歳頃までなら人は特別なレッスンを受けずとも自然と『聞く・話す』ができるようになる
・それ以降は自然には話せるようにならない

ということです。

というわけで7歳をはるかにすぎてしまった僕たち大人は、レッスンもなにも無しに自然に英会話を身につけることは不可能です。
よって、

・海外で英語漬けの生活を過ごす
・俳優の真似して英語をシャドーイング(聞こえてきた英語を即座に復唱)する

ことは英語力を『伸ばす』ことに役立ちますが、英語力を『身につける』ことには役立ちません。
演繹的にルールや知識を知るということが初めに必要だからです。


1-2 : 英会話力を身につけるための断捨離

さて突然ですが英会話を身につけるために断捨離をする必要があります。
断捨離の対象は英語の

・リーディング(読み)
・ライティング(書き)

です。
つまり『英会話が身についた状態』になるまで、リーディングやライティングは忘れてもよいです。
『英会話の身についた状態』というのは、

英語がカタコトじゃなくなったとき

です。

その理由を知るために、まず人間が言語を獲得するときの順序を紹介します。

人が言語を獲得する順序:
1:聞く(リスニング)
2:話す(スピーキング)

3:読む(リーディング)
4:書く(ライティング)
違い:
・聞く・話すは口頭(音声情報)で身につける
・読む・書くは教材(文字情報)を使い身につける

ここで重要なことは、

・人間は音声情報の扱い方を先に獲得する
・人間は文字情報を扱わなくても話せる

ということです。

世界には話されているのに文字の存在しない言語がたくさんあるとは聞いたことがあると思います。
『まずは[聞く・話す】がある』というのが言語です。
『読む・書く』はオプションのようなものです。

そして同じようなことが、僕たち日本人が英会話を身につける際にも大切になってきます。
つまり、先に英語の『聞く・話す』を学んだほうがいいということです。

そのため英会話に必要だからと……

・単語を何度も書いて覚えようとする
・文法書にある英文を暗記する
・英語の本を読む
・英語の映画やドラマを英語の字幕をつけて見る

というのをもし今現在やっているのならやめましょう。
リストに挙げたことは『英会話力を伸ばす』ことに役立つかもしれませんが、『英会話力を身につける』ことの妨げになります。

英会話力が身についていない状態で英会話力を伸ばすことはできません。
身についてから伸ばすようにしたほうが良いです。

・英会話力を身につける → 聞く・話す
・英会話力を伸ばす → 読む・書く

英会話を身につけると言えば、日本人がよくしてしまう英会話の勉強法として、英語の本(小説や参考書・教科書)を読んだり英語字幕つけて映画を見たりすることがあります。
僕もそうでした。

しかしここには大きな誤りが1つ潜んでいます。
それは、

英会話が身についていないときには、英語を『読むこと』と『聞くこと』には全く違う原理が働いている

ということです。

英文を読んでいるとき頭の中でカタコトの英語で読んでいないでしょうか?

この日本人がやりがちな間違い(中学の英語の授業で初めから英文の載った教科書を使うことからもわかります)について知るために、発音の説明をしなければなりません。


1-3:発音は2つの〇〇でできています

発音

・調音(口元の動き)
・プロソディ(言葉のメロディのようなもの)

の2つで構成されています。

調音の例:『fの音は下唇を上の前歯で軽く噛んだまま、鼻から息をださず口からだし、声帯は動かさない』というようなこと
プロソディの例:日本語の『ありがとうございまーす』を例えば『な』だけで言ってみると、
『り』の箇所で『あ』より音が上がる
『う』で一度音が下がる
『ざ』で再び音が上がる
『ま』の音が伸びる
『す』で音が下がる
というようなことがよくわかりますが、そういうメロディやリズム、アクセントや音の長短などのこと

この2つのなかで特にプロソディのほうが重要です。
なぜなら

英語のプロソディが身についていないとカタコトになったり、どんなに社会的に地位が高くても実際には低く見られてしまう

ことが調査によって明らかにされているからです。

さて発音で使われる音声は3種類あります。

・単音(各個人が実際に毎回作る客観的な音声)
・音素(
人が音声を聞いた時に認識する主観的な音声。意味の違いを作れる)
・異音(ひとつの音素としてまとめることのできるいくつかの音素)

です。

頑張ってイラストを描きました↓

単音、音素、異音


ちょっと専門用語っぽいのが続いて嫌になりそうな感じなので、例といっしょにわかりやすく解説していきます。

単音の例:
機嫌が良いときの「ありがとう!」の『あ』の音と機嫌が悪いときの「ありがとう……」の『あ』の音を比べると違ったり、僕の言う「あ」と女性の言う「あ」を録音して聞いたらどちらが僕の「あ」か分かったりするように、一回いっかい個々人によって発生される音(声)。
音素の例:
純粋な音としては全く違う単音の『あ』を同じ日本語の『あ』だとみなすような意識上の音声。言語によっては意味の違いを作る。
たとえば日本人的にはLもRも同じ『ラ行』の音であり“Lock”も“Rock”も同じ音素の『ロック』で音素的には意味の違いがでない(『ロック』という単語だけを聞いてもどちらの意味かわからない)。
しかし英語のネイティブにとってはLとRは音素として違うので違う意味になる。
異音の例:
『散発』の『ん』と『缶』の『ん』の音は実際は全く別物。
『散発』の『ん』のときは口を閉じているが、『缶』の『ん』のときは閉じていない。しかし日本語的にはひとつの『ん』として扱われる。
よって『ん』という音素はいくつかの異音を持っているとされる。

そして上にも書きましたが僕たち人間は

1歳頃までに音素が第一言語(いわゆる母語)に固定される

という条件があります(Rの音もLの音も『ラ行』の音として扱われるようになるのもこの時期です)。

つまり

多くの日本人は英語の音声を聞くと日本語の音素として認識する

ようになっています。

というわけで、僕たち日本人は

・英語のネイティブの発するさまざまな単音から英語の音素を意識的に導き出し整理整頓
・英語のプロソディを身につけること

が必要です。
そうしなければ

英語を読めても話せてもカタコトという状態

が発生してしまうからです。

当然ながらそのような状態のときに、英語の小説を読んだり、英語字幕を読みながら映画を見ることはおすすめできません。
いたずらに『カタコト日本語で読む・話す』習慣が蟻地獄のように定着していくだけだからです(僕のやった最大失敗です)。

というわけでまずは英語の音声情報(聞く・話す)の扱い方を身につけることが大切です。
そして何より先に『英語を聞けるようになる』ための勉強と訓練がまず必要になります。
なぜなら『聞く=インプット』、『話す=アウトプット』だからです。

インプットとは知識や技能を身につけること。
アウトプットはインプットを使うことです。

インプットである『英語を聞く』が重要なことは脳科学の面からも証明されています。
これも重要なので知っておきましょう。

こんな実験がありました。

・英語の読み書きはできるがあまり話せない日本人
・バイリンガルの日本人

英語と日本語の音声を聞かせてウェルニッケ野(や)の反応を調べるというものです。
ウェルニッケ野は耳の上のすこし後ろあたりにある脳の箇所の名前です。
ウェルニッケ野は外から入ってきた音声情報を処理して理解しているとされています。

結果は、

・英語の読み書きはできるが話せない日本人のウェルニッケ野:反応は1カ所
・バイリンガルの日本人のウェルニッケ野:反応は2カ所

というものでした(参考:植村研一『脳科学から見た効果的多言語習得のコツ』)。

この実験結果より、

・英語と日本語の『聞く・話す』の技能を持っている人は、日本語音声の理解の領域と英語音声の理解の領域を持っている
・英語の『読む・書く』の技能しかない日本人の場合は、日本語音声の理解の領域しかない英語を聞いても日本語の音として聞いてしまう)

ということがわかります。

というわけで、英語を話せるようになるには、英語を聞けるようになる必要があります
英語の『読む・書く』は後で必要ならば勉強すればよいだけです。

しかし文法や単語はどうすればよいのでしょうか?


1-4:英会話を身につけるための単語と文法を学ぶタイミングは〇〇です

英会話を身につけるのに必要なものは

・発音
・一言フレーズ
・文法
・単語

の知識と技術です。
発音に関しては前段で書いたのでここでは繰り返しません。

残り3つの中でまず初めに学ぶべきものは、

一言フレーズ

です。
“Thank you”みたいな言葉のことです。
なぜなら、

一言フレーズは文法や単語の知識が要らない

からです。
例えば“Thank you”をいちいち、他動詞(thank=感謝する)と直接目的語(you=あなた)と分析しなくても文全体として意味を覚えたほうがよいです。

つまり文法や単語を知らなくてよいので、一言フレーズを覚えつつ発音の技術を身につけていくのがおすすめです

一言フレーズの次に学ぶべきものが文法です。

文法の勉強でいちばん大切なことはルールを理解すること

です。
英語の例文を記憶することではありません。

僕たち日本語が第一言語の人にとってそのルールとは、

・言葉の順番(例:主語+動詞+目的語など)
・言葉の変形(例:過去形、複数形など)
・言葉の省略非省略(例:一般動詞の疑問文を作るときに現れるDoなど)

の3つです。
どんなことを言うときに、どんなルールを当てはめるればいいのかを確認しましょう。
そして

英会話を身につける段階で必要とされる英文法は中学英文法程度

なので、教科書や参考書の英文を読んで暗記することよりも、文法を理解することに重点を置きましょう。

文法を学んだあとでようやく学ぶべきなのが単語です。
単語は、

単語単位で勉強するより、文の一要素として記憶したほうがよい

です。
なぜなら、

記憶は物語性を伴ったものごとのほうが定着しやすい

からです。
単語帳を何度めくっても記憶に残らないのは、物語性がないからです。
文と一緒に覚えるようにしましょう。

繰り返しになりますが、文と言っても書いてある英文のことではありません。
音声情報(聞く・話す)としての文のこと
です。

ちなみに英語では

2500~3000語の単語を知っていれば90%の日常会話が理解できる

と言われています。

多過ぎると思うかもしれません。
しかしone, two, threeというようなお馴染みの単語などもそこに入っているので実際にはそんなに難しさを感じないはずです。

さて英会話を身につけるために学ぶべき具体的な項目がわかったら、少し抽象的なことについても知っておく必要があります

それは『わたしたちは会話でいったい何をしているのか』ということです。

日本語を話しているときはあたり前にしていて忘れがちなのですが、英語だとまともにできていないことがあります。
そのため、『会話とは何か』を客観的に知っておくことも英会話を身につけるのに役立ちます。


1-5:僕たちは会話で何をしているのか

『会話とは一体なんなのか』という一見哲学めいた問いのようなことを知っておいたほうがよい理由は、

・英会話の際に自分に何が足らないのかを知ることができる
・英文を和訳を越えて意識的に使える

ようになるからです。

今から2つの内容について紹介します。
その2つとは

・会話で使われる文とは何か
・会話はどう成り立っているのか

ということです。

この両方とも僕たちは日本語では当たり前のことです。
しかし英語でとなると技術面での制約といった原因でできていないことが多いです。
そのためにも知識として知っておいたほうがよいのです。


1-5-1:会話で使われる文は2種類あります

知ってのとおり会話には文が使われます。
そしてその文は

・非明示文
・明示文

に大きくわかれます。
そして僕たち人がよく使うのは

非明示文

のほうです。
でもこれだけだと何のことだかわけがわからないので具体的な例を出して解説していきます。

非明示文:そこの砂糖取って
明示文:わたしはあなたがそこに置いてある砂糖の入った入れ物を私に手渡すことをお願い(命令)する

違いがわかりましたでしょうか?
明示文は自分が最終的に何をしたいのかを明示的に述べています。

しかし非明示文である「そこの砂糖取って?」はよくよく考えると結構あいまいな文ではないでしょうか。
文だけから考えれば、『入れ物に入った砂糖を指でつまみ上げる行為』も「砂糖取って」と言われた場合に適切な反応とみなせます。
取って渡すようにとは文では言っていないからです。

しかし僕たちの多くは砂糖の入った入れ物を言われた人に渡すのではないでしょうか。
なぜでしょうか?

それは僕たちが

非明示文を文脈とのセットで理解することを社会的な慣習としている

からです。

慣習なので、慣習を知らない子どもは「砂糖取って」と言われて、砂糖の入った入れ物を持ち上げてニコニコしていることもあります。

そして僕たち英会話学習者の問題になるのもこの慣習です。
なぜなら、

慣習的に言う非明示文の型がすでにあるのに、文法と単語を駆使して明示文を作ってしまうことがある

からです。
いわゆる

単語も文法も合っているけれどそういう言う方はしない』という問題

にあたります。
日本語を勉強している外人さんの日本語を聞いてるときに抱くような違和感。
そんな違和感を僕たちが英語を話す際も相手のネイティブは抱いているということです。

こういった非明示文を理解するのに一役買っているのが、『協調の原理』『会話の原則』というものです。


1-5-2:会話は『協調の原理』と『会話の原則』で成り立っています

会話で多く使われる非明示文。
その文だけ取り出しても反応に困るのに、実際は会話が成り立ちます。
それは

・協調の原理(3つあります)
・会話の原則(4つあります)

の作用が働いているからです(グライスという言語学者の論です)。
それぞれどういうものか挙げていきます。

協調の原理:
・会話の最初でその会話の共通目的が決まる
・会話の全体の共通目的は言葉のやりとりを通じて浮かび上がってくる
・会話をしている人物は互いの非明示文の理解を促すように動く
会話の原則:
・同じ話題について話しているか
・はっきりと明確に論理的に話しているか
・話す内容量は適量か
・曖昧さや嘘が混じっていないか

これだけだと理解しがたいところもあるかと思うので、各原理原則について例を挙げつつなるべくわかりやすく解説していきます。


協調の原理

1:会話の最初でその会話の共通目的が決まる:たとえば誰かが「おはよう」と言ってきたとき、そのときの会話の共通目的は『挨拶』だと決定されます。
そのためわたしたちは「おはよう」と返します。
もし共通目的が決まらなければ、「深海2500メートル」などとちょっと何言ってるのかわからないという返しも可能になってしまいます。
2:会話の全体の共通目的は言葉のやりとりを通じて浮かび上がってくる:
会話が続くと、会話全体としての目的がうまれてきます。
そしてその目的は言葉のやりとりを通じて浮かび上がってきます。

例を挙げます。

A : こんにちは、すみません。(挨拶+依頼願い)
B : はい、なんですか?(挨拶+依頼受託)
A : この辺にトイレはありますか?(依頼)
B : うーんと、スーパーがあの角を曲がったところにありますよ(依頼完遂)
A : そうですか。ありがとうございます!(依頼完遂への感謝)

会話全体の共通目的は『依頼のやり取り』です。

そのため、単体では挨拶が目的である最初の「こんにちは」も、会話が交わされるにつれ『依頼をするための言葉』であったことが浮かび上がってきます。

3:会話をしている人物は互いの非明示文の理解を促すように動く:
いくら非明示文で理解し合う社会が築かれているとはいえ、いつもすぐ理解できるとは限りません。
というわけで、相手の理解を手助けするように話し手も動きます。

例を挙げます。

A : こんにちは、すみません。
B : はい、なんですか?
A : この辺にトイレはありますか?
B : うーんと、スーパーがあの角を曲がったところにありますよ。あそこだったら結構きれいなトイレがありましたよ。
A : そうですか。ありがとうございます!

「あそこだったら結構きれいなトイレがありましたよ」という文が「うーんと、スーパーがあの角を曲がったところにありますよ」の補完になっています。

なぜなら『近くにトイレがあるか』というAさんの問いにBさんは『スーパーがある』と答えているからです。

流れ的にはAさんは『Bさんが紹介したスーパーにトイレがあることを知っている』と察するかもしれません。
しかしAさんの理解を促すために「あそこだったら結構きれいなトイレがありましたよ」と自分がすでにそのトイレを使ったことがある=つまりトイレがそこにある』ということをBさんは付け加えているのです。

こうやって会話の目的とその目的に沿って、多くの非明示文でされる会話の理解の促しあいをするのが協調の原理です。


会話の原則
『会話の原則』は英会話の技術に強く関わってきます。

1:同じ話題について話しているか
主としてリスニングに関わってきます。
話し手が何について話しているかを聞き取り理解し、同じ話題について返事しましょう。
2:はっきりと明確に論理的に話しているか
主としてスピーキングに関わってきます。
聞き手が理解できるような英語の発音と文法を使い、意味の通じることを話しましょう。
3:話す内容量は適量か
主として英会話への慣れに関わってきます。
ずっと1人で話すような独壇場のようになっていないか(英文を読み過ぎた人がやりがち)。
YesやNoの一言でしか話していないか(初心者がやりがち)。
会話は1人でするものではありません。
多過ぎでも少な過ぎでもない量で話せる話し手になりましょう。
4:曖昧さや嘘が混じっていないか
トータルとしての英語力
が問われます。
特殊な状況(たとえば詐欺やサプライズパーティーの前など)でないかぎり、通常聞き手は話し手が嘘をついていると想定して会話しません。
わからない英語の単語や言い方に直面して曖昧にしてごまかしたり、適当なことを言ってしまわないようにしましょう。

いよいよ次が理論編最後になります。


1-6:英会話力を身につけるためには話せる範囲を絞るほうがよいです

英会話は実技です。
そのため英会話力を身につけるためには当然勉強と練習が必要になります。
スポーツと同じです。ルールだけ知っていても上手にプレーはできません。

そして勉強の前にしておきたいことが、

英会話の勉強をする範囲を絞る

ということです。

仕事で使うから、留学で使うから、旅行したいから……といきなりビジネス英会話やアカデミック英会話やトラベル英会話に手を出すのはやめましょう。

英会話を『身につける』のに必要な英会話のジャンルは日常会話

です。
自分が英語を話せる範囲を絞り、

・日常英会話
・日常英会話+ビジネス英会話
・日常英会話+アカデミック英会話
・日常英会話+トラベル英会話

と増やしていくようにしましょう。

上でも書いたとおり3000語の単語や中学英文法を使えるようになれば日常英会話の90%をカバーできます。

しかし他のジャンルの英会話にも同時に手をだすと、覚えなければならない単語数や文法が爆増します。

・英会話力を身につける=日常英会話ができるようになる
・英会話力を伸ばす=日常英会話+αができるようになる

です。
ですからまずは日常英会話ができるようになるための勉強をしましょう。

というわけでいよいよ日常英会話力を身につけるための具体的な勉強方法を紹介していきます。


2:日常英会話を身につけるための具体的な勉強方法の手順とその流れ

結論から書くと、英会話ができるようになるために必要な手順と流れは以下の3段階となります。

1:独学段階(発音[プロソディと調音]の知識と練習。一言フレーズ、英会話文法・単語を身につける。英文を作れるようにする)= 英会話のための最低限のインプットをする
2:レッスン段階(独学段階で身につけた発音と文法をネイティブの講師によって直され調整する。ベーシックな英会話を身につける。単語力を伸ばす)= ベーシックな英会話ができるようになる
3:自由段階(バラエティある英会話パターンを身につける。専門的な英語力を身につける。単語力を伸ばす)= 深い話を英会話でできるようになる


すでにリーディングやライティングができても、英会話ができない場合は独学段階からやり直す必要があります。
なぜなら、

リーディングやライティングで蓄えている英語の単語や文法を、すべて相手に伝わる音声情報へと変換しなければならない

からです。

そしてそれぞれの段階で勉強のために使う教材が以下の通りです。
ただし紹介するものは目安くらいとして考えてもらえればよく、似たものを探してもらっても問題はありません。

独学段階:
・英語のYouTube
・英語の映画
・英語のドラマ
・東京外国語大学の英語の発音ページ
・BBCの発音練習のページ
・アプリ(スタディサプリ)
・中学英文法の参考書
・英語字幕の設定ができる日本映画
レッスン段階:
・オンラインレッスン
・英語のYouTube
・英語の映画
・英語のドラマ
自由段階:
・英語のYouTube
・英語の記事
・Simple English Wikipedia
・英語の映画
・英語のドラマ
・言語学習者交流アプリ

それではそれぞれの段階での具体的な勉強の手順とその流れについて書いていきます。


2-1:独学段階(英会話を練習するための最低限のインプット)

目的:発音[プロソディと調音]の知識と実践。一言フレーズ、英会話文法・単語を身につける。

勉強方法:
なによりもまず英語のプロソディと調音を身につけ、カタコト英語からの脱却を目指します。
また初めはプロソディと調音は1つずつ勉強したほうがよいです。
なぜなら

調音に意識が行きすぎるとプロソディがおろそかになる

からです。

よくある日本人の失敗の1つは、

vやrといった1つずつの音はきちんと発音(調音のほう)できているのにカタコト英語(日本語のプロソディ)になっている

というものです。
プロソディはすべての言語の基本。
人は胎児のときからすでにプロソディに敏感になっているくらいです。
そのためまずプロソディから勉強しましょう。


2-1-1:プロソディの勉強の仕方

英語のYouTube、英語の映画、英語のドラマなどを『日本語字幕』でプロソディに集中しながら視聴します。

やりかたにはコツがあります。
それは、

日本語字幕は、一瞬だけ見て意味を把握したらすぐ目を離す

というものです。
なぜなら、

字幕を読んでしまうと音声へ集中が減ってしまう

からです。
することはプロソディシャドーイング(プロソディに集中したシャドーイング)。

シャドーイングとは、聞こえた音声を即座に復唱する練習方法です。

英会話のメロディ、リズム、アクセント、イントネーションに注目してハミングや好きな音(たとえば『ナナナナナ』など)でシャドーイングします。
fとかrといった調音は気にしなくてよいです。

音が固まって聞こえるかもしれません。
大丈夫です。
むしろ

書かれた文とは違い、音声にはきちんとした区切りがないことのほうが多い

ので固まって聞こえるほうが正解です。

プロソディが身についてくると頭の中に英語のプロソディモデルができます。どういうことでしょうか?

実はよく練習すると、使った映像教材を思い出すときに具体的に登場人物が何を言っているかはわからなくても、プロソディは再生されるようになります。
そうしたら今後はそのプロソディに沿って調音を当てはめていけばよいのです。


-プロソディの勉強の仕方のまとめ-
1:英語音声・日本語字幕で視聴
2:日本語字幕を一瞬だけ見て、意味を把握したらすぐ目を離す
3:プロソディに集中
4:プロソディを真似る(プロソディシャドーイング
5:2~4を繰り返しながら最後まで視聴


2-1-2:調音の勉強の仕方

調音方法、調音個所といった具体的な知識が必要になります。
知識に関しては東京外国語大学の英語の発音ページを一読しましょう。

知識を得たら、実際の練習に移ります。
BBCの発音練習のページを利用します。
レイアウト的に、ページの下から上に行く感じで映像教材を見つつ、学んだ知識を思い起こし実際に口元を動かし音をだして練習(調音シャドーイング)してみましょう。

またはアプリにも使えるものがあります。
発音記号、発音時の口元の図解、お手本音声、AIによる発音の判断などができます。

・English Pronunciation (iOS版android版)←オフラインでも使えます
・ELSA(iOS版android版


-調音の勉強の仕方のまとめ-
1:調音方法を知識として学ぶ
2:お手本をよく見聞き(発音している人の口元もよく注視)する
3:調音を真似る(調音シャドーイング)
4:2~3を繰り返し、調音を口もとに覚えさせる


2-1-3:プロソディ+調音の勉強の仕方

一言フレーズ(Thank youのように文法や単語を考えなくても、一つの文として意味がわかる言葉)を覚えつつ学んできたプロソディと調音を同時に身につけます。
具体的には前々段階ですでに英語のプロソディ(英語らしさ)を身につけているので、その『らしさ』を演出しつつ調音を当てていきます。

この段階では

意味と音声を結びつけて覚えることが重要

です。
書かれた英文や単語の記憶はしなくてよいです。
意味と発音(プロソディ・調音)を記憶するように心がけましょう。

練習にはアプリ(スタディサプリENGLISH日常英会話コースか新日常英会話コース)を利用します。

しかしちょっと高いかもです。
そのため、

・日常英会話のフレーズが物語調になっている
・一言フレーズがたくさんある
・日本語で意味がでている(スタディサプリだと『会話文チェック』のレッスンでできます)
・音声が簡単に聞ける

という条件を満たしていればどんなアプリでもよいです。


スタディサプリENGLISHを使う場合の具体的な勉強の仕方をまとめました。

日常英会話コースを使う場合の勉強の仕方
新日常英会話コースを使う場合の勉強の仕方

※英会話初心者(単語も文法もよくわからない)人には日常英会話コースがおすすめです。

繰り返しますが、重要なのは

英語の音声と意味を結びつける

ことです。
そのため

・日本語字幕を一瞬だけ見て意味を把握する(すぐ目を離す)
・英語の音声に耳を傾け発音シャドーイング(調音・プロソディの両方に集中しながらシャドーイング)
・英文まるごとの音声を意味と一緒に記憶する

ように心がけましょう。

一言フレーズを覚えるには、フレーズだけで覚えようとせず、フレーズが使われている場面もいっしょに覚えるようにするとよいです(例:『自己紹介の場面』で使われていた英文など)。
なぜなら物語性のある事柄のほうが脳に定着しやすいからです。

日常英会話で使われる一言フレーズをある程度覚えたら、文法の勉強の時間。
『ある程度』の基準は、

・日本語で同じような場面になったとき、『英語ならこう言うなあ』と英語の音声を思い出せる回数が増えてきた
・日常英会話の例文が長くなったり複雑になりすぎて、意味と音声を同時に記憶するのが難しくなった

というものです。
この状態になるまでは、何度も繰り返しましょう。


-プロソディ+調音の勉強の仕方のまとめ-
1:日常英会話アプリをダウンロード
2:日本訳で意味を確認
3:発音を真似る(発音シャドーイング)
4:2~3を繰り返し、英語の一言フレーズの意味と発音を覚える


2-1-4:英文法と単語の勉強の仕方

英文法には2つの用途があります。

・会話用(中学生英語レベル)
・読解用(高校~大学英語レベル)

です(正確には範囲の差です)。
日本だと主に中学校で習う英文法が英会話用にあたります。

というわけで英会話を身につけるためには中学校で学ぶ英文法の範囲を勉強し、

・英会話で使われる英文を文法的な面から分析できる
・自分で文法を操り英文を作ることができる(口頭で)

ようになる必要があります。

中学英文法を学ぶには参考書を使うのが一番です。
個人的なおすすめは、

99パターンでわかる中学英語文型の総整理
核心のイメージがわかる!英文法キャラ図鑑
マンガでおさらい中学英語
マンガでおさらい中学英語 英文法マスター編

などです。
しかし、

・うすい(辞書のような厚さがない)
・イラストがたくさんありイメージ的にわかりやすい
・解説がシンプルで分かりやすい

という条件が整っていればどんな中学英文法の参考書でも大丈夫。
本屋や図書館へ行って実際に自分に合った一冊を選びましょう。

この条件の理由は、

・うすくて途中で嫌になりにくい
・イメージがあったほうが記憶に定着しやすい
・解説がわかりやすければ記憶に定着しやすい

からです。

文法は難しく思えるかもしれません。
しかし

あることを言いたいときの:
・言葉の順番
・言葉の変形
・言葉の省略非省略

に注目して覚えていくようにすると整理も理解もしやすくなります。

同時に日常英会話で使う英単語も総覧しておきましょう。

中学3年分の英語が3週間で身につく音読

がおすすめです。
この本でなくても、

・中学校の英語で使われる英単語がすべて載っている
・CDやMP3音声など、実際の音声が付録としてついている(カタカナふりがなは厳禁です)

ならなんでもよいです。

日常英会話は中学校の英文法の知識でカバーできます。
そのため中学校の英語の時間にでてきた単語もカバーしておく必要があります。

しかし単語帳は総覧するだけで大丈夫。
単語帳の中の単語を完璧に覚える必要はありません。

なぜなら

単語の意味は文の中で使われて初めて実際の意味が定まる(多義語の内の1つの意味が定まる・非明示文的に意味が定まるなど)
・文の中だとある単語とある単語の一緒の使われやすさがわかる(日本語の単語の組み合わせとは違うことがある)

からです。
実際の例文を見たときに『あっこの単語見たことがある!』となることが目的です。
文から意味が推測できない場合は、再確認(復習)しましょう。
復習は記憶の定着によいです。

英文法と英単語を頭にいれたら文法の分析ができるのか試します。

・一言フレーズを覚えるときに使ったアプリ(スタディサプリなど)
・子どもの学習用YouTubeチャンネル

を使いましょう。

アプリで使われている文章は、すでに意味と音声が組み合わさったものとして記憶しているはずです。
そのため今回は英文字幕を見つつ、文法を解析していきましょう。
また同時に使われている単語の意味も確認するようにしましょう。


そして一言フレーズレベル以上だった例文にもチャレンジしていきます。

1:日本語字幕で意味を把握
2:音声を発音シャドーイングしつつ覚える
3:英文字幕の文法や単語を確認
4:字幕を見ないでコンテンツシャドーイング(意味に集中したシャドーイング)

という流れがよいです。

アプリの英会話文のシャドーイングや分析がすべて済んだら、子どもの学習用のYouTubeチャンネルを使って単語力をのばしていきます。

1:YouTubeのページへ行く
2:『自分の興味のある事柄のキーワード(英語で) kids learning(もしくはfor kids)』で検索
3:でてきた動画を発音シャドーイングしつつ視聴
4:英文や単語を分析しコンテンツつつシャドーイング
5:発音・コンテンツシャドーイング(意味と音声両方に注目してシャドーイング)をしつつ再度視聴

というように使います。
たとえばチャンネルとしては『Dr. Panda TotoTime』
BrainPOP』
『Peekaboo Kidz』などがおすすめです。
特に興味のある事柄がわかないという方にはSesame Streetがおすすめです。

子ども用の学習動画が独学段階におすすめな理由は、

・子どもが聞いて理解できるようになっている
・台本が基本英単語やシンプルな文法で作られている
・速度が速すぎない
・オート英語字幕が比較的正確に機能する(正式な英語字幕があるのもある)
・自分が興味ある分野について話しているのでモチベーションが保てる

からです。

いきなり普通の映画やドラマの英語字幕に挑戦しないほうがよいです。
なぜなら使われている単語が難しすぎるからです。
たった1つの文に使われている単語の9割が分からない状態とかになると、モチベーションが無くなり勉強が続きません。

しかしおそらくここである問題が現れるかと思います。
それは、

・知っている単語なのに聞き取れない
・音が繋がって聞こえる

といった問題です。

こういった場合、3つのコツを知っておくと役に立ちます。
3つのコツとは、

・日本語に訳さないこと
・1単語1単語聞こえてくるとは期待しないこと
・英単語の英文内での音の変化を知ること

です。

英単語をいちいち日本語に訳してから意味を理解しようとすると、脳の処理速度に時間がかかります。
訳している間につぎの単語が聞こえてきて、その単語を訳しているうちに更にその次の次の次の……というように音声を見失っていきます。

そして単語と単語の間が分かれて書かれる英文とは違い、話されている英文には区切りがありません。
そのため、音の位置、単語の位置、話者の感情などに影響され音が変化することが多いです。

その変化の代表的なものは4つあります。

リンキング:前後の音が合体する(check it outのkとiが一体化してチェキと聞こえる感じ)
リダクション:単語の前後で子音(特にp,t,k,b,d,g,f,l,s)が重なると先の子音が消失する(good morningのdが消えてグッ・モーニングのように聞こえる感じ)
フラッピング:母音に挟まれたtがdやlになる(waterがワラのように聞こえる感じ)
弱化:文的に重要じゃない単語(前置詞や冠詞など)が弱く発音される(forがフェのように聞こえる感じ)

                   

知っている単語が聞き取れない場合はこれらの音の変化が関わっている可能性が高いので、知識として入れておきましょう。

子ども学習用動画の英文分析や単語にも慣れて来たら、短編の英語ドラマなどに挑戦してみましょう。
おすすめは日常コメディ(代表例は『Friends』)です。
下手にSFドラマや法廷ドラマなどを見ると、わからない単語だらけで挫折します。

選ぶべき基準は、

・何回も見れるくらいおもしろい作品
・好きな役者がでていて何回も見れる作品
・一話30分ぐらいの作品

です。

視聴方法は、

同じ動画を最低3度は見る

です。
具体的には

1度目:日本語字幕(一瞬だけ見て意味を把握)で発音シャドーイング
2度目:英語字幕(英文分析、単語力増加)でコンテンツシャドーイング
3度目:字幕無し
(意味と音声の融合)で発音・コンテンツシャドーイング

と勉強するようにしましょう。

1度目と2度目で意味を理解しているので、3度目では音声と意味が結びついている状態が理想的です。

もし結びついていない場合は、英日字幕を一時的に復活させ確認しましょう。

だいたいの英文の文法と音声が分析ができるようになってきたら作文に挑戦します。

-英文法と単語の勉強の仕方のまとめ-
1:英文法を知識として学ぶ
2:単語を知識として学ぶ
3:一言フレーズの勉強で使ったアプリの例文の文法や単語を分析(シャドーイングもする)
4:子ども用YouTubeチャンネルを1作品につき最低3回視聴(文法や単語を分析、シャドーイング)
5:短編ドラマ1話につき最低3回視聴(文法や単語を分析、シャドーイング)


2-1-5:英作文の勉強の仕方

レッスン段階へ移る前に英作文ができるようになっておく必要があります。
ここまでに文法や単語の知識、数々の英語の例文やセリフをインプットしている状態です。
しかし、まだ自由に英文を作ることが難しい状態でもあります。

なぜなら、アプリや英語圏で作られたドラマやYouTubeは日本とは生活様式や文化が違うので、日本的な考えや表現や気持ちをどうやって英文にしたらいいのかわからないからです。

そういうときにおすすめなのが、

日本映画を英語字幕で見る

ことです。
ふだん使い慣れている日本語を英語ではどういうのかが英語字幕を通じてわかるようになります。

英語字幕の付けられる日本映画のDVDのリストはこのページにまとめました。


- 独学段階の学習方法のまとめ -
1:プロソディを身につける:
好きな英語動画でプロソディシャドーイング
2:調音を学習する:東京外国語大学の英語の発音ページを読む
3:調音を練習する:BBCの発音練習のページ、アプリ(English pronunciation, ELSA)などで調音シャドーイング
4:プロソディ+調音・一言フレーズを身につける:アプリ(スタディサプリENGLISHなど)で発音シャドーイング
5:英文法と単語を身につける:
・中学英文法の参考書を読む
・単語帳を使う
・一言フレーズを身につけるときに使ったアプリ、YouTubeの子どもの学習チャンネルなどで文法・単語分析とシャドーイング(慣れて来たら短編ドラマでも挑戦)
5:英文を作れるようにする:日本映画を映画字幕で見て、日本語的な発想、表現をどう英語で言うのかを学ぶ


2-2:レッスン段階(ベーシックな英会話ができるようになる

目的:独学段階で身につけたことをネイティブの講師によって修正され自己調整する。ベーシックな英会話を身につける。単語力を伸ばす。

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フランスの大学院で言語学を修める。 卒論は『日仏訳における疑問代名詞の位置と文の形の関連性』について。 これまでにない外国語学習法を模索中。
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