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Oasis 心を救い続ける音楽の泉



前期Oasisのメンバー。
NoelとLiam Gallagher兄弟を中心に、Liamの隣がベーシストの Paul ”Gwigzee”McGuigan、ドラムのTony McCarrolls、そしてギタリストのPaul ”Bonehead”Arthurs

Oasisといえば、その楽曲は日本でも有名で、映画やCMに使われているので知名度が高いバンドであると思う。
私はまさかOasisを聴くとは思ってもいなかった。
というのも、Oasisに対して、ああ「whatever」が有名なバンド?くらいの認識で、なぜこのバンドの素晴らしさに気付かなかったんだろうと後悔した。
まず、Oasisの成り立ちであるが、弟のLiamが地元マンチェスターで開催されたチャリティーライブを見て音楽に目覚め、「The Rain」というバンドで活動していた。
そしてこのバンドに兄のNoelが加わり、名前も「Oasis」となった。
というのがはじまりである。
驚いたのが、今でこそロックンロールスターのLiamであるが、18歳の頃まで音楽に興味がなかったという点である。
Liamはロックンロールスターになる宿命があって産まれてきたのではないかと思う。
そして実は三兄弟であり、母のペギーもまた、こんな面白いエピソードがある。
Noelによると、子供の頃母とLiamの三人でクリスマスにテレビを見ていたらペギーが「なぜこのテレビ局は去年の録画したチャートを流すの?」と言ったそうで、これだけでもOasisはなぜ魅力があるのかわかる。
Oasisは当初、地元の小さなクラブに出演しても観客が二人しかおらず、あの名曲の一つ『Rock 'n' Roll Star』を演奏してもあまりうけない事もあった。

そして1994年、ついにOasisは『Definitely Maybe』でデビューを果たす。
これには『Rock 'n' Roll Star』、『Live Forever』、『Columbia』、『Supersonic』などの数々の名曲が収録されており、特に『Live Forever』のMVのTony McCarrollsが土葬されるのは未だにネタにされている。
そしてその一年後にはあの名盤の『(What's the Story) Morning Glory?』が発売される事になる。
ちなみにこの年はあのRideのAndy BellがPaul ”Bonehead”Arthursが脱退し、バンドに加入している。
このアルバムと私は縁が深く、昨年のクリスマスに、酷く傷心した出来事があり、酒に溺れかけていた時なぜか私はOasisを聴こうと思い、一番最初に聴いたのは『Don't Look Back in Ange』だった。
ふと聴こうと思っただけのに、聴いているうちに号泣して、嗚咽になる程だった。
なぜだろう?と疑問に思い歌詞の意味を調べると納得した。
「くよくよするなよ、そんな事忘れて前を向けよ」という励ましの歌だったのだ。
あまにもその時の私が求めていた励ましの言葉だった。
そして私はOasisが気になり、もっと聴くようになった。

しかし不思議な事にOasisは2008年発売の『The Shock of the Lightning』がテレビで流れており、YouTubeで聴いた事があった。
その時はなんとも思っていなかったが、不再議と懐かしい、という気持ちになったのを昨年のOasisとの「再会」で覚えている。
Oasisの特徴はその数々の暴言とは裏腹にNoelの書く繊細な歌詞である。
Oasisに興味を持てなかった理由はそのビッグマウスから、どうせ女とヤりたいだとか、そういう歌詞だろうと偏見があったのだ。
しかし、いい意味で裏切られた。
ここでもまたThe Smithsとの縁があるのだが、Noelがギターに目覚めたきっかけがあのThe Smithsの名曲『This charming man』を聴いたからで、更にはデビューアルバムのレコーディングの時にはギターを買う金もなかったNoelにあのJohnny Marrがギターをプレゼントしている。
その中にも、あのQueen is Deadのレコーディングで使用した高価なギターも含まれいる。
(Johnnyが言うには、酔っ払っていたからだとこのことだが、Morrisseyが怒りそうである…)
そういえばNoelのギターの弾き方も、曲によってはLiamの歌声を引き立てるように無駄のない弾き方をしているのがわかる。
喧嘩のイメージの強いGallagher兄弟ではあるが、Oasis時代にはNoelが「LiamがOasisの一番のファンだ。あいつが踊ってくれる曲は「これはいい曲だ」って分かるんだ」と話していた。

確かに、裏ベストと呼ばれる『The Masterplan』にはいくつか自然とリズムに乗れる曲がある。
そしてここでもっとも面白いのは、『Acquiesce』の歌詞である。
「ベッドに連れて行って、子守唄を歌って」とNoelは言っているのに対して、先輩のThe Smithsは「Asleep」で「僕をひとりにして、目覚めた時はきっと素晴らしい別の世界にいるはずだから」と歌っている点である。
The Smithsは知っての通り内向的で、孤独、疎外感の印象だが孤独な者に寄り添い、その背中を時には蹴り励ますのがOasisである。
Noelは子供の時、アルコール依存症の父親の家庭内暴力により吃音症になった事もある。
そうした経験からなのか、彼の歌詞は文学性を重視するMorrisseyと比較すると、Beatlesを兄弟そろって尊敬しているだけあり、より自分の内面の「ありのまま」の弱い部分をさらけ出している気がする。
たとえば現在でも最も再生回数の多い『Wonderwall』では「僕は君と話したいけど、上手く話せない。君は救世主だから」と好きな女性と話す事ができないシャイな主人公が書かれている。
Don't Believe the Truth』収録の『Love Like a Bomb』はタイトルからThe Smithの『Ask』 を彷彿とさせる。

そしてもっとも、Oasisの魅力は兄弟が本当に日本が好きだと分かる事だろう。
Noelが韓国でジャケットが空港で押し寄せたファンからレザージャケットを汚された話をしている動画を見たが日本で買った高いジャケットだと言っており、「ロンドンのクリーニング屋は高い」と言っていた。
Oscarのミシェル・ヨーの一件もあり、Oasisのバンド内ルールとして「言語が共通で通じない国には人種差別のジョークなどはしないこと」というのがあるとYouTubeのコメントで見たのだが母ペギーの教育の甲斐だろうと思う。
Noelは日本が好きな理由を福岡は「Fuck」が入っているからで、もう一つはNoel曰く背が引くいので日本製のジーンズや服の方がサイズがちょうどいいからだそうで、Liamはファッションでも有名だが読み方は分からないが、日本でお気に入りのブランドはいくつもある、とのこと。

Gallagher兄弟は飾らない性格なのが、ある意味The Smithsチルドレンと言えよう。
サッカーチームで喧嘩になり、ロックンロールとはなにかで喧嘩になり、音楽イベントにも出ないというレベルにまでなってしまうのがOasisがロックンロールにかける情熱を感じるし、結局のところ、Oasisが解散してしまったのはNoelはBeatlesのようにサウンドの研究と進化を追求し、Oasisをより良いバンドにしたかったが、Liamはブリットポップがよかったというところだろうと思う。
皮肉にも、Gallagher兄弟が尊敬してやまないBeatlesのようにOasis版サージェントペパーといえる『Dig Out Your Soul』を最後に解散してしまったが、Oasisの音楽は今もなお、悲しむ人々が「Oasis」という泉に彷徨い、辿りついた時に音楽という泉で癒し続ける。
そしてその歌声、音色、Liamのあの独特のポーズはまさに『Supersonic』のように記憶に残り続けるだろう。
最後に、Liamの立ち上げたファッションブランドPretty Greenのミリタリーコートが欲しいと思う。



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