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かかる世に影も変らず澄む月を

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2022年3月の記事一覧

2022年3月16日(水)|かかる世に影も変らず澄む月を

2022年3月16日(水)|かかる世に影も変らず澄む月を

 保元元年(1156年)、戦がおこった。その後の日本の歴史の流れを決定づけてしまうような戦であった。

 「治天の君」たる皇位の継承をめぐり崇徳上皇(兄)と後白河天皇(弟)が衝突。また藤原摂関家では「氏長者」の位をめぐり忠道(兄)と頼長(弟)が対立した。

 崇徳は頼長と組み、後白河は忠道と結託。それぞれが平家や源氏ら武士団の力を借り、武力衝突へと発展していく。

 平家は一丸となって戦いに臨んだ

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2022年3月12日(土)|典型的な春の夜

2022年3月12日(土)|典型的な春の夜

 深夜。そんなに寒くない。外に出てみた。なんならすこしあったかい。見上げると、霞がかった空に月がぼんやりと照っている。典型的な朧月。澄みわたった寒空にするどく輝く冬の月と同一事物だとは信じがたい。春の月はどうもさえない。

 感覚由来の情報(=あたたかい夜)と視覚由来の情報(=空に照る朧月)がくみあわさり、全身全霊で「春の夜」を認識している。「めっちゃ春の夜やな〜」とつぶやかずにはいられない。つぶ

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2022年3月10日(木)|教授

2022年3月10日(木)|教授

 学部生時代・院生時代と大変お世話になった教授がご退官されるということで、最終講義に出席させていただいた。ほんとうに先生らしい最終講義で、その一貫したご姿勢にほれぼれとした。教授からは、テクストを精読することの大切さと面白さを教えていただいた。音韻に注目し、どんな音が繰り返し使われているか、またその音の多用によってどんな効果が意図されているかを分析したり、類義語・対義語との関係を念頭において読むこ

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2022年3月4日(金)|この時期

2022年3月4日(金)|この時期

 この時期になると、いつも決まって憂うつを経験する。この時期に過去の日記を振り返ると、まったく同じ日付に、まったく同じようなことを書いているということに毎年気づく。気だるく、いつも眠く、集中力もつづかない。「この時期」は、妙な魔力をもって襲いかかってくる。

 「この時期」がなぜそれほどの力を持っているかを考えるに、どうも「年度の変わり目」という要因が大きく作用しているらしい。古い年度が終わりかけ

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