電子図書館 状況2023
本記事では、日本国内の自治体が運営する電子図書館の状況について記載する。
現在、電子図書館の知名度は「誰でも知っている」レベルには到達していない。よって、全国的に利用者もまだ少ないと言える。
筆者(LangDicLab)は図書館関係者ではない。 よって、部外者・利用者目線でネット上の情報や利用して感じたことを記載する。
電子図書館システム
2023年12月はじめごろにX (旧Twitter) にて以下のようなツイートをした。
上記を補足する。
書籍の貸し借りを管理するシステムを提供している業者は複数ある。自治体図書館はまずシステムを選定して各自治体の図書館利用カードに紐づく番号によって管理するのが一般的らしい。
電子書籍を購入しているのはもちろん自治体図書館である。ただし、物理的なデータを購入しているというより、「電子書籍の使用権」を購入していることに近いと思われる。言い換えると、図書館が当該自治体の在住者や通勤通学している人が無料で読むことができる本を事前に購入していると言える。
たとえば、市販書籍の電子書籍版を蔵書する場合、当該電子書籍の2年間の使用権または48回貸し出し可能な使用権のような形で出版社から購入していると思われる。
ネット上に公開されている電子データと取り扱い方が異なるのは、電子書籍(電子データ)単位でアクセスできる人数に制限を設けている点である。ほとんどの図書館では誰かが電子書籍を借りていたり閲覧している時に、他の人は同電子書籍を閲覧したり借りたりできない。これは使用権を購入しているからだと思われる。
システム(アプリ)の種類としては、LibrariE, OverDrive, KinoDen, EBSCO などが見られる。
上記のうち、市町村レベル以下の自治体の図書館で採用率が高いのは、LibrariE, OverDrive のいずれかの場合が多い。
ここで注目したいのは、LibrariE, OverDrive は、ログインせずに(誰でも)蔵書検索可能ということである。この点については、後述する。
利用者目線
図書館利用者の視点では、
✔ 居住地、通勤通学地によってどの図書館が利用できるか決まる。
✔ 地域によって都道府県と市町村のW利用が可能。
という特徴がある。
特に重要なのが、自治体毎に選書傾向や蔵書数に大きな違いがあるということである。
従来の紙の本の蔵書数(= 借りることができる本の冊数)に比べて電子図書館で借りたり閲覧できる電子書籍の蔵書数は圧倒的に少ないことが多い。よって、利用者は、ログインして蔵書検索したけど読みたい本がほとんど見つからないということもよくある。
また、利用者によっては、「読みたい本が電子図書館にたくさんある」と感じられる場合もあり、住んでいる場所と通勤通学している場所によって、当たり外れがあるという状況がありそうだ。
蔵書を一般公開したほうが良いか?
前述したLibrariE, OverDriveの(誰でも)蔵書検索可能なことについて記す。蔵書を一般公開するとは、当該電子図書館を利用できない人にも蔵書検索を可能にすることである。
個人的には、地域の情報を透明化するという点でもシステムにログイン不要で誰でも蔵書検索できるほうが良いと考える。場合によっては、蔵書が充実している自治体に引っ越ししたい。通勤通学したいと思う人が出てくるかもしれない。
一方自治体(特に図書購入費用の予算が低い自治体)にとっては悩ましいことかもしれない。蔵書数や選書傾向によって、他の自治体と比較評価されることは好ましくないと思う人もいるだろう。誰にとっても悪い噂をたてられる要素はできるだけ減らしておきたいのだと思われる。
図書館利用カードについて
現時点で図書館利用カードを持ってない人は必ず1回は図書館に出向いてカードを作るなどの手続きが必要と思われる。(最近は、マイナンバーカードがあれば特に図書館に出向いて手続き不要で電子図書館を利用開始可能なケースもあるらしいが、事例は少ない)
すでに図書館利用カードを持っている場合は、既存の利用者IDに紐づくパスワードを設定(または再設定)すれば良いので、ほとんどの場合、自宅からすぐに利用開始できると思われる。
紙の本の行方
紙の本の利用は減少傾向であり、利用者も今後減少していくと想像している。(最近は、podcastなどラジオっぽい音声データの情報発信・流通も増加傾向にあるようだ。)
昨今アナログレコード人気が示すように手触りとか温もりを感じる人によって、紙の本は根強くサポートされていくと思われる。
紙の本はそれ自体歴史的な価値があるので貴重な品であるが、家の本棚に多くの本を並べる風習は今後減っていくような気がしている。
近年、独立系書店やブックカフェ、特色ある古書店などが増えているようにも見えるが、紙の本を売買することをメインとしたビジネスは困難になると思われる。優良な本の情報をどうやって共有するかという模索は今後色んな分野や地域で必要になってくると思われる。
まとめ
図書館利用者や本を多く購入する人にとって、電子図書館制度は「知らなければ損」と言えそうだ。
読みたい本を無料で電子書籍で読めるなら、本の買い控えが起きると思われる。しかし、多くの場合電子図書館ラインナップ上の人気の本は予約待ちしないと借りたり閲覧できないという状況が多く発生するようになると思われる。
よって、今すぐ読みたい人はネットで電子書籍を購入し、後でも、いつでも良い人は電子図書館への入荷や予約を待つということになっていきそうな予感がする。
改訂(Revisions)
2023 1228 初版
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