キャリアコンサルティング窓口のお仕事を選んだわけ

 こんにちは。キャリアコンサルティング窓口のランゲート岩手事業所です。

 #この仕事を選んだわけ 

 こちらのテーマで、岩手で活躍されているキャリアコンサルタントさんに記事を執筆して頂きました。
 窓口をしております事務員からも、賑やかしにひとつ記事を投稿させて頂きます。
 キャリアコンサルタントでもない事務員が、なぜ参加するのか。
 ジョブ・カード作成、職業訓練受講を経て、今の仕事に就いたからです。
 今の仕事に就くまで、失敗ばかりしてきた、と思っていた事務員が、「この仕事を選んだわけ」。及ばずながら、一花添えさせて頂きます。


1.スタート

 新卒からずっと「人と関わる仕事」を選んできました。
 子供の頃から、販売員さんになりたいと思っていたからです。たくさん「ありがとう」を言ってもらいたい。単純な動機です。憧れの仕事として挙げるには身近過ぎるかもしれませんが、しかしだからこそ身の丈に合っている気もして、自分の中でしっくりきていたのです。
 そんな経緯もあって、周りの友達がみんな「やっぱり事務は手堅いよね」というのが他人事のように聞こえていました。たしかに、やりたいことが無ければ、条件でえらぶのもありだよね。でも販売って決めてるから、私には関係ないかな。そんな風に思っていました。
 販売士などの資格を取得し、他の選択肢に目を向けず…よく言えば「わき目もふらず」、接客販売の道へ一直線でした。今にして思えば、現在に比べて職業について知る機会も少なかったことも要因としてありますが、それにしたって考え無しだったと思います。仕事への理解のなさ、視野の狭さが、就職を失敗した大きな理由だと考えます。
 失敗、とはっきり認識しています。ひとくちに接客販売といっても、しっかり仕事の内容を見て、知って、選んで応募したほうが良い。一歩俯瞰すれば当たり前のことに、失敗を経てようやく気付くのでした。

2.失敗期間

 気づいたからと言って、すぐさま正しい道を採り直せるほどの貯えもありませんでした。それでも「人と関わる仕事」を選びたかったので、レジだけでも接客できる仕事や、飲食などに勤めました。とりあえず食いつなぐだけで時間が過ぎていきました。販売士よりも当時の仕事に実用的な、サービス接遇検定のテキストを買いましたが、毎日時間に追われ、勉強は嫌いではなかったのにやる気の出し方を見失い、無為と言わざるを得ない時間を過ごしてしまいました。

 しかし勤め続けていると、新しい仕事を任されます。レジ打ちからレジ精算へ、商品補充から棚づくりへ。棚づくりというとピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。決まった場所に決まった商品を補充する仕事から、新商品や季節商品の展開など、自分でいちから計画して商品の配置を決めて商品を並べることを指します。ほかにも新人教育など、言われた仕事だけでなく、言ってみればクリエイティブな仕事が増えていきました。

 さらに勤め続けていると、責任者になりました。待遇も変わらないし、評価もされないので、「人員が足りないから私に回ってきただけだろう」と思っていました。それでも仕事への取り組みは意欲的であったと、言えると思います。
 それは意識が高いとか、そんな崇高なことではありません。ラクをするために動いたのです。但し、自分一人がズルしてラクをするのではなく、全員がラクをできる仕組みをつくり共有しました。
 新しい仕組みを受け入れて落とし込んでもらうには、コミュニケーションが大事だと考えました。第一に「指示を伝えて終了」ではなく、「伝わらなくて当然」という前提で伝えること。そのためには、何がわからないのかよく聞き取ること。自分の話を聞いてくれない人の指示なんて、伝わらなくて当然です。しかしコミュニケーションをとろうにも、接客業はいつでもどこでも人員が足りません。そこで、あるだけで機能していなかった連絡用ノートを活用しました。今日やること、気を付けること、業務に関する連絡を書き込んで、読んだら確認印を押すといったものです。(アナログですが、メールやラインではお客様についての連絡ができません)「書いたから、その通りやって」では、「業務があるのにいつ読むのか」「その通りやってと言われてもわからない」「話す時間がないから質問もできない」。そうして形骸化していった連絡用ノートを、毎日業務として読む時間を設けたスケジュールを組みました。スタッフみんな読んでくれるようになり、質問や会話も増え、みんなでラクをするための仕組みもだんだん落とし込まれて行きました。
 それによってミスやトラブルが減り、みんなの接客の質も向上していきました。心に余裕があるから、指示されずとも笑顔で接客ができます。

 そういった仕組みづくりなど裏方の仕事をしているうちに、お客様と接する時間は減っていきました。やることも多い。どうやっても時間が足りないし大変。
 でも充実している。これもまたはっきり認識していました。

3.キャリアに向き合った瞬間

 お客様に接する時間は少なくなりましたが、人には毎日接していました。自分が作った仕組みで働くスタッフが、質の良い接客をしてくれる。自分が作った棚にお客様が興味を持ってくれる。お買い物しやすいように配置を工夫した売り場でお買い物して頂ける。

 これは「人と関わる仕事」…つまり、やりたい仕事なのでは?
 事務仕事は、自分に合っているのでは?

 職業訓練というお得なものが存在することだけは知っていたので、退職後、一直線に申し込みました。
 ジョブ・カードの存在は、そこで初めて知りました。「給付金のために必要だから書かなければいけないもの」と紹介されましたが、私にとって、大きな出会いでした。もちろん調べたりまとめたり、作成するのは簡単ではありませんでした。

 中でも「キャリア・プランシート」は、応募書類とも違って、経歴や実績ではなく、「考え」を形にする、今まで書いたことのない書類でした。
 「ありがとう」を言ってもらいたい。自分にとってはモチベーションとして大切なことですが、こんなこと応募書類はおろか、面接でも言っていいものだろうか… そう思い、今までひとに言うことはありませんでしたが、キャリアプランシートには書いて良いというのです。キャリアコンサルタントのかたが、自分では幼稚だと思っていた考えを、聴きとって汲み取って、自信を持って良い、自分の目標として認めてくれたのです。目が覚めた思いでした。自分が些細と思っていることも、プロの手にかかると形になる、形になると、自信が持てる。自分はダメじゃなかったんだ、失敗じゃなかったんだ。大げさに聞こえるかもしれませんが、表現力が足りないくらい、大きな大きな出会いでした。

 また、「職務経歴シート」は、応募書類に似ていますが、「職務の中で学んだこと、得られた知識・技能等」という点に重点を置いて書くというのがポイントで、一層これまでの自分の棚卸ができたと思います。似て非なるものではありますが、応募書類の作成にはダイレクトに役立ちました。整理された経歴は清書しやすく、学んだことや得られたことはそのままアピールになりました。

 苦手で仕方なかった応募書類が、各段に書きやすくなりました。内容が整理されていることも大きいですが、なにより、失敗だと思っていた時間が本当は私のキャリアだったと、気づき受け入れられたことで、アピールすることへの抵抗が減ったからです。

 訓練を修了したタイミングで、事務として現在のお仕事・キャリアコンサルティング窓口業務が募集されていたことは、まさしく僥倖でした。
 事務として能力を発揮したい。自分の目を覚まさせてくれたキャリアコンサルタントさんのサポートする仕事をしたい。これが私の、「この仕事を選んだわけ」です。

 自信を持ってアピールできると、就職活動って苦しくないんですね。性分なので緊張はしましたが😊💦

4.再スタート

 失敗していた時間は短くありません。遠回りをしたとは思います。しかし、時間が巻き戻ってほしいとは思いません。
 いま事務仕事として取り組んでいることは、接客で心がけていたことでした。実際に勤めて遣り甲斐を実感しなければ、事務仕事の魅力には気づけなかったし、納得できなかったと思います。事務仕事は人と関わらない、安定志向のお仕事…そんなイメージ、いえ先入観が邪魔をして、なんなら積極的に避けていました。人と関わらないのも安定も、もちろん全然良いことですが、子供のころに思考をロックしてしまって、そのままになっていました。
 スタートから事務に就職できていたとしたら…、やりたいことを諦めてしまった、と負い目を感じ後悔し続けている自分が目に浮かぶようです。

 遠回りこそが私にとって最短の道だった、と今思えているのは、キャリアに向き合うことができたからです。いままでしてきたことは変わりませんが、失敗だと思った経験も「キャリア」だと気づけたら、その瞬間から宝の山になったのです。

 以上は私個人の経験であり、キャリアコンサルティングは、失敗してない方にももちろん有意義だと思います。
 支援を受ける、相談する、ということは、”足りない”ということではありません。プロのアーティストや作家さんだって、ひとつ作品を世に出すまでに、何度も打ち合わせや校閲を重ねていますし、偉い人には相談役がいます。
 ここまで失敗話をお読みいただいたので、語弊のないよう、申し上げておきます。


🔶最後に、こちらはキャリアコンサルタントさんが執筆された記事です。


■「振り返ると一直線のキャリアは稀と感じます」

 「#この仕事を選んだわけ」の募集が始まる以前に書かれた記事ですが、正にこの通りで、窓口事務員の考えもあながち遠くはないのかなと思いつつ…、以上とさせて頂きます。
 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 ジョブ・カードは、他人のそれを見る機会がないものと思いますので、私の、格好はつかない実体験が、少しでもご参考になりましたら幸いです。


🔶キャリアコンサルタントさんの「#この仕事を選んだわけ 」はこちらです。


■「選んだのではなく、選ばれたと思いたい」

■「この仕事を選んだわけ。<キャリアプラン編>」

■「この仕事を選んだわけ。<資格取得編>」


 こちらのテーマのほかにも、今後もキャリアコンサルタントさんの素敵なメッセージや情報を掲載してまいります。ぜひまたお越しくださいませ。


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