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「タワマン節税防止に係る税制改正」についてランディックス業績への影響は軽微だと考えます

こんにちは。ランディックスIR責任者の松村です。

掲題の件、昨日(2023/6/26)の21時に日経新聞からこの記事が出ました。

結論から言いますと、当社ランディックス(2981)の業績に対するマイナスの影響は「相当に軽微」なレベルに留まると思っております。
本ニュースが原因ではないかもしれませんが、株価が本日5%以上下げておりましたので、その場合は「やや誤解があるかな」と思いましたので、note急ぎ書かせて頂きます。
むしろ、ややプラスの効果も一部あるかも?と思うところもありますので、そこも適正に判断頂けるように書いていきたいと思います。

※もちろん、当社は富裕層をターゲットにしており、顧客(富裕層の方々)の資産構築や周辺の意思決定への影響はあると推察されます。

・・・この記事は4分程度で読めます・・・

今回の税制の改正内容と経緯について


今回の税制改正が予定されている内容ですが、要するに国税の言うことは、こういうことです。

  1. 富裕層が”高い”マンション(高層階&高額)を購入し、脱税ともいえるほど相続税を圧縮するのは、税法の趣旨とするところと異なり、けしからんから取り締まる!

  2. 今年度中にはすぐに改訂して、なるはやで税金の網をかけるぜ、悪く思うな!

  3. 東京とか都心エリアは「路線価」と「実勢価(実際の売買価格のこと)」に乖離があるけど、税額計算の算定方法見直して、税金きっちり取るように是正するから、よろしく!

  4. ぶっちゃけ、かなりガッツリ上げます!最高裁も、この種の過度な節税は×と判決出してくれましたので!(22年4月の最高裁判決)

具体的な算定についてはここでは言及しませんが、ひとまず新聞の有識者会議による試算ベースでは下記が使われていました。

日本経済新聞(2023年6月26日 21:00)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC249180U3A420C2000000/
の画像より抜粋

要するに、税負担額はかなり跳ね上がり「富裕層が相続税対策にタワマンを使うのは、今までよりも、旨味が無くなりました。」ということは言えそうです。

そもそも何故、タワマンが節税になるの?

タワマンに限りませんが、戸数の多いマンションの場合に
「路線価と実売価格に大きな乖離が生じる」
のですが、これが今まで節税が表面上合法であり「タワマン節税」が可能になっていた理由です。

相続税を算定する場合、当然ですが、資産の評価額に「税率」をかけます。
これが現金だった場合はそのまま税率をかければいいのですが(かなり話を簡単にしているのでご容赦ください)、これが不動産の価値を算定するにあたり「路線価」というものを基準にします。

そのため、この路線価が実際の現実の世界で取引される売買価格と大きく異なることで、評価額の元となる数字が異なるため、税率をかけた結果の税額が異なるのです。
(評価額×税率=税額)

話が戻りますが、タワマンなど戸数が多いマンションの場合、敷地面積を戸数で按分していくため、1戸あたりの評価見合いが小さくなります。
また、都心部のマンションは経年に対して値崩れが起こりにくいとか、近年は特に不動産価格が上昇傾向にあるため、実際の相続税算定にあたっての不動産の評価額と、実売価格に大きな乖離が出ていました。

相続対象の現金で3億円あったとして、これに相続税算定の税率をかけられてしまうより(MAX55%!!)、手数料とか、多少値上がりがあったとしても、3億円見合いでマンションを購入した方が、相続税で持っていかれる税金はずっと小さい、ということが有り得ます。
不動産の場合は取得してから(相続前に)短期間で売買すると、短期譲渡ということで譲渡所得が大幅に高いなどもあるのですが、それを勘案したとしても、金銭的に余裕のある富裕層にとっては、相続税圧縮できる手軽な手段だったのです。

そのため、下記のことは言えそうです。

  • 高額マンション(タワマンに限らず)の、「相続税対策」目的に節税対策商品としての需要は減りそう。(どの程度かの言及は避けますが、ある程度インパクトはあるはず。)

  • 高層マンションの取得の意思決定にあたり、路線価と税額計算について、具体的な算定結果を確認するという1ステップが加わる。(特に、具体的な算定式の見解が定まり「この納税額になるね」というアタリがつけられるまでは、買いにくい。)

当社業績への影響について

結論から申し上げますと、当社の業績へのマイナスは想定していません。(少なくとも相当に軽微)
理由は下記のとおりです。

  1. 当社はもともと戸建住宅専門の仲介+売買会社

  2. 当社の顧客層は富裕層ですが、その多くは30後半~40代で、住宅については1~2次取得者が多く、今回の税制改正によって資産背景が毀損するという顧客層ではないと考えられる。(当然、節税目的で購入するタワマンは当社のメイン取扱いではない。)

  3. マンションの売買の「仲介」は一定数ありますが、多くは当社で戸建を飼って頂く際に、元々住んでいたマンションを売却されるという「買換え仲介」が多い。

  4. マンション購入の「仲介」を行うことが有りますが、上記2のように、節税対策ではなく自宅用の自家需要として購入されるため、路線価による評価差額利用による税負担圧縮という相談が多数というわけではない。(0ではないと思いますが。)

当社の売上の9割は不動産の売買によって構成されており、年によっても異なりますが、そのうち60~70%は住宅用の土地、完成物件(当社施工)となります。
マンションの「売買」は行っておりません。(少なくとも監査証明が出ている2019年の上場日以降)


2023/6/27(火)の15時時点で当社の株価5%以上下げておりますが、ここで「むしろプラスなのでは?」と思うところがありますので、現段階では確定的なことは言えませんが、誤解が無いように配慮しつつ少し書いておきます。

Google検索より当社の株価推移

当社の1棟収益(個人富裕層向け販売商品)の取組み

当社では、もともと「ランディックスで収益物件は売らないのか?」という顧客ニーズにこたえ、1棟収益ビルの開発を2022年から強化してきました。

価格は5~10億円程度の、比較的コンパクトな「ミニビル」といったイメージです。
これは、減価償却によるP/Lインパクト(減価償却)目的、純粋な資産保全、資産運用としての取得など、お客様によって目的は異なりますが、やはり目的として相続を含めた資産保全、資産整理の目的で購入検討をされる方もいらっしゃいます。

タワマンの中には数億円するものもあり、そうした資産背景のお客様のタワマン購入理由が、もし相続税対策目的での購入であったとして、今回その目的な達成しにくくなる分、一部の資金の振り分け先が1棟収益ビルに向く可能性はあるかもしれません。
都心、城南エリアではそもそも路線価と実売価格が大きく異なる場合も多く、金額も大きい1棟収益というのは資産ポートフォリオの中では重要(これは昔からですが)な検討ポジションを占めていることは事実です。

以上、現段階では実績や実際のお客様の問い合わせなど「事実」ベースでの話ではないため、想定ベースの話が多くなりましたが、少なくとも税制改正の内容から合理的に判断できる範囲でIR担当としての意見を書きました。
もし本件と異なる事象が惹起、または当社として異なる見解を持った場合には速やかに情報発信致しますが、投資判断については、各個人の責任にてお願い致します。

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