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僕がTABIPPOのCMOだったらBPFをこう設計してた

こんにちは。野口一馬です。
今回はちょっと偉そうな題名ですが(笑)TABIPPOとBPFを分析して行きたいと思う。
めちゃめちゃ素敵なイベントなのにもったいないと感じた。

当事者の方が読んでくださった場合、どんな意見でも受け付けます。


前提

前提として
・僕はタビッポという会社を先日知った人間のため、内情は特段詳しくない。
・タビッポを批判したいわけではなく、東京バックパクフェスタに初参加した一大学生の客観的な意見である
・僕は特段マーケティングに詳しくない

上記の前提を理解して上で読み進めて頂きたい。

僕は2月19日に株式会社TABIPPOが主催する東京バックパックフェスタに参加してきた。

理由としては、友人が上記イベントにDREAMのファイナリストとして出場すると想定し、応援しに行きたかったからだ。(結局彼はセミファイナルで落選してしまったため、出場はできなかった)


TABIPPOはたまに炎上するイメージがある。ので気になっていたのだが、今回バックパックフェスタに参加してみて感じた違和感と、僕ならこうする、を考えてみた。

結論

結論から述べよう。
僕なら

・ロビーコンテンツの廃止
・会場のキャパを小さくする
・データを蓄積する

ここの話の詳細を話す前に、TABIPPOのことを理解することが必要なので、そこから考察する。

TABIPPOを紐解く

まずTABIPPOの理念から確認する。
「旅で世界を、もっと素敵に。」
なるほど、旅の文化を日本(特に若者)に浸透させたいらしい。

ではそれを元にどんな事業を展開しているのか。

キーワードを発見した。

「旅界隈コミュニティーの形成と最大化」


これを軸に5つの事業を展開している。その5つとは、
・イベント事業
・メディア事業
・プロダクト事業
・キャリア事業
・マーケティング事業


この5つを見たとき、事業の目的を大きく二つに分解できると考えた。
①コミュニティーを形成するための事業
②そのコミュニティーのリソースを活用する事業

ではイベント事業はどちらの色が強いのか。

BPFの目的

東京BPFの参加費は2000円だった。高校生は無料だったり、紹介割もあるので、平均すると1500円くらいになるのかなと推測。
キャパの2500席が満杯になったと言っていたので、単純計算で375万円の売上である。
協賛もついているだろう。100万くらいで推定しよう。
会場は神奈川県民ホールを半日近く貸切で70~80万円、野口健さんの講演依頼費で100万円、人件費で100万円、DREAMの旅行券50万円、ロビーゲスト招待費50万円、その他景品やグッズ、雑費等含めて50万
合計でかかっているコストは420万〜430万ということになる。
つまり、東京BPFでは475万円-430万円=45万円しか利益が出ていない。

すなわちイベント事業でマネタイズする気はないということがここから読み取れる。
(45万の利益は企業のイベントとしては少ないのではないかという感覚)


次に、
BPFのコンセプトを確認してみる。
一言でまとめると
「まだ旅をしたことがないけどしてみたい→旅をしよう」
つまり旅素人を旅初心者にしたい!というのがあるようだ。


以上2点を踏まえると、BPF含むイベント事業は
①のコミュニティーを形成するための事業
とみなすことができる。

コミュニティー形成にはいくつかフェーズがある。
①旅コミュニティー=TABIPPOという認知
②コミュニティーへの興味
③コミュニティーへの帰属意識
④コミュニティーの運営

だんだんとエンゲージメントが高まってくる。
BPFの目的はなにか。

要するにブランディングだ。

旅のきっかけがBPFになることで、TABIPPOのファンになり、旅コミュニティ=TABIPPOとなる。つまり、①や②といったところだろう。

まとめよう。

BPFの目的は、

「若者に旅という選択肢を提示し、実際に行動してもらうことでTABIPPOのコミュニティーに興味を抱かせる」

であると推察した。


前提が長くなった。

ここからが本題である。

BPFの効果を最大化するために

では旅素人に対して、どういった事をすれば旅初心者となるべく行動してくれるのかを考える。
つまるところ、どうしたらBPFが終わった後に旅をしようと決断し、実際に行動するかだ。

まず、旅素人が最初にする旅を想像しよう。
おそらく最初から1人というのはハードルが高いため、複数人での旅を希望するだろう。
旅と旅行の違いとして、「バックパック的な要素」やら「格安感(贅沢しない)」を想定するだろう。

これらを踏まえると、旅前の準備として
・仲間探し
・インタラクティブな情報交換
を求めると考える。

これらが得られるコンテンツは何か。

交流会である。

交流会ではゲストや既に旅をしている人と、相互的な情報交換ができ、不安を解消できる。さらに話を聞くことでもモチベーションも上がる。
一緒のタイミングで旅に行きたくなった仲間も見つかる。

つまり、いかに交流会を丁寧に設計し、そこまでの導線を敷くかが鍵となるのだ。

交流会に参加する時点で、参加者はある程度旅への興味を持たせないといけない。
旅に興味があって、旅に出たい!と思った状態で、交流会に参加すると、行動に繋がると推察する。

そうした場合、交流会の前に旅に行ってみたい!と思わせる必要があるのだ。
逆にその状態で交流会に参加すると、交流会の効果は最大化する


そこでBPFは現在どの様に設計されているかを確認する。

13時〜16時 ロビーコンテンツ
16時〜20時 舞台コンテンツ
20時〜   交流会

ロビーコンテンツはゲストが会場のロビーの至る所で旅に関する講演をしたり、海外旅の情報を発信しているというものだ。
舞台コンテンツでは、世界一周コンテストDreamに始まり、世界一周を終えた人の講演や、ゲスト講演、豪華商品抽選会などだ。
交流会ではゲストやTABIPPOスタッフ含め参加者全員の交流会である。これは追加で三千円払えば参加できるといったもののため、強制参加ではない。

なるほど、理想の参加者の感情を追うと

参加前:旅か〜面白そうだな、友達を行くし、行ってみるかー
13時〜20時:え、旅ってめっちゃ素敵!!行きたい!!でも不安だなあ
20時〜:なるほど、旅についてよく知れた!繋がりもできたし、今度の休みは旅に行こう!

一見綺麗な導線に見える。

ここで結論の話に移ろう。

結論1:ロビーコンテンツの廃止

僕はロビーコンテンツをなくすと結論づけた。
その理由は2つある。

「1つ目」1番大事な交流会までの導線設計が綺麗ではない

現在の設計では
13時〜20時まで、ひたすらinputの時間だ。旅の魅力をシャワーのように浴びせられる。それが終わってからの交流会である。
しかしどうだろう。

長すぎではないか?

旅の魅力って7時間もかけないと伝わらないものなのか。
そして参加者には旅の魅力が伝わるであろうが、舞台が終わる頃には疲れてしまい、交流会のモチベーションが薄れてしまう。
事実として、僕の周りの多くの人が、「疲れたから帰る」といった声は多かった。そして僕も疲れたので帰った。
基本的にこの7時間は一方通行のコンテンツで、受け身である。受け身が7時間は疲れる。そしてこの疲れを癒すコンテンツはなかった。

「ちょっとまだ情報物足りないな、、めっちゃ行きたくなったけど、まだまだ旅について知りたい!!」
交流会前の参加者の感情のゴール設定としてこれが適切だ。これで交流会までの導線が綺麗になる。

となった時にやるべき設計は「時短」である。長くダラダラと魅力を伝えるのではなく、短く濃く魅了を伝え、「ちょっと物足りない感」を出すのが理想である

つまりコンテンツ充実しすぎ問題だ。

「2つ目」投資の配分の問題

さて、時短となったら方向性は3つある
①ロビーコンテンツの縮小またはカット
②舞台コンテンツの縮小またはカット
③ロビーコンテンツ、舞台コンテンツ、双方の縮小

ここからは主観であるが、
①がベストだと思う。

まず、ロビーコンテンツのクヲリティーが舞台コンテンツと比べて高くない割に、そこそこのコストがかかっていそうだからだ。
中途半端にやるくらいなら無くしたほうがいい。

次に舞台コンテンツのクヲリティーに関してだが、
「あ、学生クヲリティーだな」と感じたのが本音だ。

・司会者のテンションと登壇者のテンションにギャップがある。
・スライドがあっていない
・照明のタイミング
・登壇者の話す内容

他にも細かく気になることはあったが、完璧な状態でなかった。
実際にスタッフも、もっとやれたと言っていた。

これの問題はスタッフの問題では決してない。かなりの準備をしていたと聞いている。
つまりこれ以上のクヲリティーにするには、今よりリソースを割くしかないのだ。

ロビーコンテンツ、舞台コンテンツ、
どっちも80%のクヲリティーで提供するくらいなら、
全てを舞台コンテンツに投資して、150%の状態で届けるのがベストだろう。リハーサルもしてない(予算的にできなかった?)ってのを聞いたら、そりゃいくら準備してもあのクヲリティーだわなって感じる。

スタッフにお給料を出していれば、バイトの時間が削られ、もっとコミットできただろうし。

そして問題はもう一個ある。交流会のクヲリティー問題である。
おそらくロビーコンテンツ、舞台コンテンツ、どちらも大変なので、一番後回しになっているのだろう。

逆だ。一番力を入れるべきなのが交流会だ。一つのコンテンツとして組みれてもいいくらいだと思っている。


まとめよう。

ロビーコンテンツをカットすることで、浮いたリソースやコストを、舞台コンテンツと交流会に回して完璧なクヲリティーに仕上げて、実際の旅までの導線設計を綺麗にする。

これが僕の推察する改善案。

結論2:会場のキャパの縮小


次に結論付けたのは、会場のキャパを小さくすることだ。

理由は2つある
「1つ目」
一人当たりの満足度を上げるためである。
ゴールが「行動」であるため、1人あたりの満足度の高さがかなり求められる。人数が少ない方が一人当たりの満足度が高まるのは必然だ。
盛り上がってる感も出るし、交流会の密度も上がる。

単価が安いため、
またコスト面でも大幅にカットできて、コンテンツやら、交流会に投資できるだろう。

「2つ目」
BPFスタッフはずっと集客しているイメージがある。
目的がキャパを埋めることになっており、必死感がある。参加者の立場になってみよう。
集客に手こずっているイベントへの参加モチベーションは上がるだろうか。しかもターゲットはTABIPPOを知らないか人たちだ。

参加者としては、自分が応募したイベントがすぐに満員になったら、そのイベントが楽しみになるものだ。

そしてさらに、コミュニティー化を目的としているイベントとしては、運営が必死になって集客するイベントはいいイベントとは言えない。

満足度を最大化すれば、前回参加者が勝手に集客してくれる。いわゆる紹介だ。今どのくらいの割合かはわからないが、
1回もイベントに参加したことない僕にですら、友人の紹介を頼まれたので、そこまでうまく行っていないように感じる。


まとめよう。

会場のキャパを小さくすることで
満足度を高める→紹介したくなる→運営の集客コストが削減される→すぐ満員になる→参加する前から楽しみなる→満足度が上がる→…
のループに突入することができる。


いやはや、とっても長くなってしまっているが、次で最後だ。

結論3:データの蓄積

最後の結論付けがデータの蓄積である。
僕がデータサイエンスが好きだったりする背景もあるので、おまけ的な施策だが、


①TABIPPO IDを付与する
②参加者管理や、Dreamの投票、抽選会もそこで行う
③参加者のアンケートを取る

一回のイベントで結構なお客さんが集まる。
どういった属性の人が来てて、新規はどれくらいでリピートはどれくらいで、Dreamは誰に投票してて、どういった感想を持っているのか。

これは継続的にやっていく上では大変貴重なデータだ。
目標達成したかどうかも定量的にわかる。

TABIPPOもそこそこの規模になって来ていると思っている。そのためにこの成長を進めるためにはデータ化を進める必要があると思う。
感覚的にやっていたらいづれ成長が鈍化するだろう。

データドリブンでPDCAでがっつり回したくなっちゃうのは僕の嗜好性かもしれませんが、、笑

以上が、僕が「TABIPPOのCMOだったらBPFをこう設計してた」です。


スポンサーやら、組織やら、
色々な課題や内部事情があると思うので、これが正解ではない。

あくまで客観的に初めてBPFに参加して、参加者やスタッフに話を聞いていた中で生まれた違和感から解決策までもなるべく論理的に考察することを意識してみただけだ。

Twitterで見てもバックパックフェスタで変わったという人は何人も見かけるし、最高だったという感想も多い。

BPFは素敵なイベントだと思いますし、TABIPPOも素敵な会社だと思うので、これからの発展を期待してます。


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