見出し画像

土地・建物の等価交換とは?不動産・固定資産の交換の特例と譲渡所得税申告!

今回は、等価交換についてです。土地・建物の等価交換では、下記の一定条件をクリアすると、税金が免除される法律があります。

(1)交換する資産は、業者の販売目的でない固定資産であること。
(2)土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。   借地権は土地の種類に、附属する設備は建物の種類に含まれます。(3)1年以上所有していたものであること。
(4)交換のために取得したものでないこと。
(5)交換資産を、譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。(6)交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20パーセント以内であること。

詳しくは、国税庁のサイトの現法をご確認下さい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3502.htm
No.3502 土地建物の交換をしたときの特例 [令和3年9月1日現在法令等]
概要
個人が、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。

特例の適用を受けるための要件

(1)交換により譲渡する資産および取得する資産は、いずれも固定資産であること。
不動産業者などが販売のために所有している土地などの資産(棚卸資産)は、特例の対象になりません。

(2)交換により譲渡する資産および取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。
この場合、借地権は土地の種類に含まれ、建物に附属する設備および構築物は建物の種類に含まれます。

(3)交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。
(4)交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。

(5)交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
この用途については、次のように区分されます。
土地 宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他
建物 居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用

(6)交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20パーセント以内であること。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3511.htm

『固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したとき、譲渡がなかったものとする「固定資産の交換の特例」では、交換する資産は互いに同じ種類の固定資産でなければならないとする要件があり、

土地建物と土地を交換した場合、総額が等価であっても建物部分については特例が受けられず、
建物を取得した人は建物の価額相当額の交換差金を受けたことになり、
建物を譲渡した人は建物についてこの特例は受けられない。
譲り受ける建物の価額が、譲り渡す土地の価額の20パーセントを超えるときは、土地についてもこの特例が受けらない。

土地建物と土地を等価で交換した方:具体例

Aさんの時価1800万円の土地+200万円の建物と
Bさんの時価2000万円の土地を交換した場合

Aさんは1800万円の土地で特例を受けれますが
    200万円の建物を売ったことになり
Bさんは200万円の差益を受け取ったことになりますが
200万円が、2000万円の20%の400万円より少ないので
特例が受けれます。 


3505 借地権と底地を交換したとき

地主が建物の敷地として貸している土地(底地)の一部と、その土地を借りている人の借地権の一部との交換も、土地と土地との交換になり、特例適用の対象になります。

具体例

時価1億円、面積800㎡、借地権割合60%の土地で、
地主と借地人が等価交換を行い、交換後に更地にする場合

地主は40%の320㎡の更地を所有
借地人は60%の480㎡の更地を所有

3508 交換差金を受け取ったとき

交換差金には、金銭授受だけでなく次の3ケースも含まれます。

(1)同じ用途に使用しなかった資産の価額
(2)交換資産の一部分を売買とした場合はその売買代金
(3)土地と建物を一括交換したときに、総額では等しい価額でも、
  土地と土地、建物と建物の価額が異なる場合はその差額

<注意点>交換差金の額が、譲り渡す資産と譲り受ける資産とのいずれか高い方の価額の20パーセントを超えているときは、交換した資産全体について交換の特例は受けられない。

3514 資産の一部を交換とし、一部を売買としたとき

交換で交換差金をもらったときに、交換する資産のいずれか高い方の価額の20%以内であれば、交換した部分について特例を受けることができ、その交換差金に対してだけ譲渡所得税がかかります。交換差金とは、交換資産の差を精算するための金銭です。

20%を超える場合には、交換とした部分も含めた全体に対して譲渡所得税がかかります。

しかし、この場合の「一つの資産」とは、所得税法第58条第1項各号に掲げる資産の種類の区分ごと(すなわち同一資産の種類ごと)の資産をいいますので、例えば、甲と乙との間で、甲所有のA土地と、乙所有のB土地を交換するとともに、A土地上にある甲所有のC建物を乙に売買する場合、C建物については、交換差金とはなりません。

問い合わせ先

https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/location/osaka.htm

 06-6448-1281 自動音声でご案内します
税務署へ相談でお越しになられる場合は事前に予約が必要です
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/location/oshirase_01.pdf

面接相談を希望される方は、所轄の税務署に電話で相談日時を予約してください。予約 の際、名前・住所・相談内容をお伺いし、相談日にお持ちいただく書類等をお伝えします。
※ 現在、入場整理券方式に変更: (PDF/346KB)をご覧ください。
国税局は文書回答するサービス【www.nta.go.jp】を実施しています。

https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/bunsho_besshi.pdf

AI チャットボット「税務職員ふたば」

チャットボットの利用可能期間

  • 所得税の確定申告に関するご相談は令和4年1月11日(火)から

申告要件

 適用を受けるには、確定申告書に所定の事項を記載し、譲渡所得の内訳書を添付することが必要です。』

等価交換特例の確定申告に必要な書類

確定申告の際に「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」を税務署に提出します。

譲 渡 所 得 の 内 訳 書 - 国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a029.pdf

記載上の注意事項

○ この「譲渡所得の内訳書」は、一の契約ごとに1 枚ずつ使用して 記載し、「確定申告書」 とともに 提出してください。
また、譲渡所得の特例の適用を受けるために 必要な書類 などは、この 内訳書に添付して 提出してください。

○ 長期譲渡所得又は短期譲渡所得のそれぞれごとで、二つ以上の契約がある場合には、い ずれか1枚の内訳書の譲渡所得金額の計算欄( 3面の「4」各欄の上段)に、その合計額を 二段書きで記載してください。

○ 譲渡所得の計算は、適用を受ける特例 により、記載項目が異 なります。
● 交換・買換え(代替)の特例、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例 の適用を受けない場合......1面・2面・3面
● 交換・買換え(代替)の特例の適用を受ける場合 ...... 1 面 ・ 2 面 ・ 3 面( 「 4 」 を 除 く )・ 4 面
● 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受ける場合 ......1面・2面・3面・5面

○ 土地建物等の譲渡による譲渡損失の金額については、一定の居住用財産の譲渡損失の金 額を除き、他の所得と損益通算することはできません。

○ 非業務用建物(居住用)の償却率表(省略)。

譲渡所得の内訳書(計算明細書)」の記載事項

・交換資産の種類、数量、用途、価額
・交換相手方の氏名・名称、住所、主たる事務所の所在地
・交換した年月日と、交換資産の取得年月日』


ーーーーーーココからは一般サイトの解説ですーーーーーー

不動産を別の不動産と等価交換したら申告不要って本当? 特例のしくみと注意点

河野雅人(公認会計士・税理士)2021/09/08の記事の内容

不動産の等価交換では、確定申告が必要で譲渡所得税が発生します。

土地や建物を同種の資産と交換した場合でも、資産を譲渡したことになり、個人の場合は所得税・住民税がかかり、不動産の時価の差額(交換差益)に対して、長期保有は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、短期保有は39.63%(所得税30.63%、住民税9%)の税金が発生します。

しかし、交換直前と「同じ用途」にするなど、一定の要件を満たせば、譲渡は無かったものと見なされます。
等価交換の特例を受ける条件には、下記があります。
・同じ用途の不動産を交換し、同じ用途で使うこと
・交換する土地は、どちらも1年以上所有していること
・交換する資産は固定資産で 、不動産業者の棚卸資産ではないこと
・時価の差額が「高い方の土地の時価×20%」以内であること

(1)取得する資産を、譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。「同じ用途」の「土地の用途」には宅地・田畑・山林・牧場、「建物の用途」には居住用、店舗・事務所用、工場用、倉庫用などがあります。

宅地と田畑は同じ用途の土地とはならず、居住用と工場用は同じ用途の建物とはなりません。ただし、居住兼事務所など併用の場合は、いずれの用途でも問題ありません。

(2)交換資産は、土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であることが要件ですが、借地権は土地の種類に含まれるので、地主が建物の敷地として貸している土地の一部と、その土地の借地人が有する借地権の一部との交換も、土地と土地との交換に該当します。

(3)交換により譲渡する資産は、1年以上所有、交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたもので、かつ交換のために取得したものでないこと。

(4)交換する資産は固定資産で 、不動産業者の販売目的で所有する棚卸資産ではないこと

(5)譲渡資産の時価と取得資産の時価との差額(交換差金)が、高いほうの価額の20%以内であること。特例が受けられる場合でも、交換差金に関しては所得税の課税対象になります

「注意点:納税が免除になるわけではなく、課税の繰り延べでしかない

要件を満たせば所得税は課税されませんが、その後売却した場合は、譲渡所得が発生し、所得税がかかります。

つまり、この特例を適用することで所得税が免除になるわけではなく、交換の時点では課税されないだけで、「将来の売却時点まで課税が繰り延べられたにすぎない」ということになります。

交換する資産の時価に差があり、その差額を別の資産や金銭でやりとりした場合は、交換差金分に不動産所得税が課税されます。

不動産取得税(税率:4% 取得日の3%特例あり)
登録免許税(税率:1,000分の20)などは通常の売買と同じです。

個人が不動産を交換した場合の所得税の特例の要約

『交換差金に係る税務上の留意点

(1)交換差金の範囲

 交換差金とは、当事者相互間で交換資産の時価の差額を精算するために支払われる金銭で、収受される金銭だけではなく、受渡しされる金銭以外の資産も該当。例えば、
 ①譲渡資産と同じ用途に使用しなかった資産の価額
 ②一部交換、他を売買した場合は、その売買代金
 ③土地・建物を一括交換し、総額では等しい価額であっても、
  土地と土地、建物と建物の種類ごとの時価が異なるときは、
  土地と土地、建物と建物のそれぞれの時価の差額が交換差金となる。

(2)交換差金となる場合:20%を超える場合

 例えば、土地・建物と土地の交換で、時価総額が等価でも、建物部分は時価相当額の交換差金を受けたことになります。
譲り受ける建物の価額が、譲り渡す土地の価額の20%を超えるときは、土地の交換特例の適用を受けることはできません。
建物を譲渡した人は、単に建物を譲渡したのみと扱われ、交換特例の適用を受けることはできません。


交換差金等の支払いを受けた場合の所得税の固定資産の交換の特例

山崎 信義税理士の月刊不動産2016年5月号掲載の記事の内容

交換特例の適用を受けるためには、交換する資産どうしの時価の差額が、これら資産の時価のうち、高い方の価額の20%以内であることが必要です。
また、交換により資産を譲渡する個人が、交換により取得した資産とともに時価の20%以内の交換差金等の支払いを受けた場合、譲渡資産のうち、その20%以内の交換差金等に相当する部分について譲渡があったものとして、所得税が課税されます。

1. 固定資産の交換時の所得税の特例

(1)特例の概要

 個人が資産の交換を行った場合は、交換も譲渡の一種であるため、交換により譲渡する資産の含み益について、譲渡所得の金額として所得税が課税されます。

ただし、個人が
①1年以上有していた固定資産を、
②他の者が1年以上有していた同種の固定資産と交換し、
③その交換により取得した固定資産(「交換取得資産」)をその交換により譲渡した固定資産(「交換譲渡資産」)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供する場合において、
④この特例の適用を受ける旨等の一定事項を記載した確定申告書を提出したときは、交換譲渡資産の譲渡がなかったものとされます。これが「交換特例」です(所得税法(所法)第58条)。

(2) 交換取得資産と交換譲渡資産の時価の差額の要件

 交換特例の適用を受けるためには、上記(1)①~④のほか、
⑤交換取得資産の時価と交換譲渡資産の時価の差額が、これらの時価のうち、いずれか高い方の価額の20%以内であることが必要です(所法第58条第2項)。

差額が20%超となる交換の場合、この特例の適用はなく通常の譲渡として課税されます。

その差額の調整のため交換差金等の授受が行われた場合において、交換譲渡資産を譲渡する個人が、交換取得資産とともに時価の20%以内の交換差金等を取得したときは、
その者の所得税の計算上、交換譲渡資産のうち、その20%以内の交換差金等に相当する部分について、譲渡があったものとされます(所法第58条第1項)。

2. 交換時の差額が時価の20%以内と判定する際の留意点

時価の差額が20%以内の要件における3つの留意点。

(1)2以上の種類の固定資産の交換

 土地及び建物と土地及び建物と、同種の固定資産の交換が要件であることから、土地は土地と、建物は建物とそれぞれ交換したものとします。全体として等価でも、地と土地、建物と建物との価額がそれぞれ異なるときは、それぞれの価額の差額が交換資産の差額に該当します(所得税基本通達(所基通)58-4)。

 例えば
譲渡資産が1,500万円( 土地1,000万円、建物500万円)であり、
取得資産が1,500万円(土地500万円、建物1,000万円)である場合、
土地は500万円(1,000万円-500万円)の交換差額を取得し、
建物は500万円(1,000万円-500万円)の交換差額を支払ったものとして、要件を満たすかどうかを判定します。

(2) 取得資産のうちに用途が異なる部分がある場合

2以上の資産を取得した場合に、譲渡直前の用途と同一の用途に供さなかったものがあるときは、その部分の資産は交換取得資産には該当せず、その資産は交換差金等になります(所基通58-5)。

例えば、
事務所として使用していた時価1,000万円の建物を交換譲渡し、
600万円と400万円の建物とを交換取得し
400万円の事務所建物を居住用にしたときは、
交換差金等になります。

(3) 資産の一部を交換とし他の部分を売買とした場合

 一の資産※につき、その一部分については交換とし、他の部分については売買としているときは、当該他の部分を含めて交換があったものとし、売買代金は交換差金等に該当するものとして(所基通58-9)要件を満たすかどうかの判定をします。

例えば、
Aの建物X・敷地200㎡と、Bの建物Y・敷地180㎡の交換で、
建物Xと建物Yは等価で
Aの敷地は4,000万円、Bの敷地は2,000万円の場合
Aは200㎡の敷地を100㎡ずつ分筆し(2,000万円)、
1筆についてはBの土地と交換し、
他の100㎡を、2,000万円で売買するとします。

しかし、AとBの土地交換と売買は、一つの行為と見なされ、
売買部分は交換差金に相当し、要件を満たさないため
(4,000万円-2,000万円=2,000万円>4,000万円×20%
交換特例を受けることができません

※「一の資産」とは、
交換特例が土地(所法第58条第1項第1号)、建物(同第2号)等の資産の種類の区分ごとに適用されることから、
同項各号に掲げる資産の種類の区分(すなわち、同一の資産の種類ごと)の資産をいうものと解されます。

 例えば、
Cの建物付き土地Rと、Dの土地Sの交換で、
Cの建物を、Dに売買する場合、
建物は土地Rとは別種類の資産なので、
建物の売買代金について
土地Rと土地Sとの交換契約に係る交換差金とされることはありません
(平成27年10月15日東京国税局文書回答)。

Point
交換により同じ種類の2以上の資産を取得した場合に、
取得資産のうちに譲渡資産の譲渡直前の用途と
同一の用途に供さなかったものがあるときは、
その用途に供さなかった資産は交換取得資産には該当せず、
その資産は交換差金等になります。
一の資産を交換と売買に分けて取引しても、
売買部分は交換差金等として、交換特例の適用の有無が判定されます。

https://www.tactnet.com/news/2020/No.842.html

2020.07.27 不動産と税務譲渡所得

1.【問】

千代田区に土地を保有するAと、不動産業者Xとで共同マンションを建築する、等価交換事業を行うことになりました。
マンション建築後、Aは土地譲渡の対価として
土地と同価値の2室を取得し、下図の用途に供する予定です。
土地は30年前の取得時より価値が上昇しており、
譲渡所得の金額として所得税等の課税対象となることから、
下記いずれかの特例の適用を検討しています。
それぞれのメリット・デメリットを教えて下さい。

①立体買換えの特例(措法37条の5第1項2号)
②居住用財産の譲渡にかかる3000万円の特別控除および軽減税率の特例(措法35条、31条の3)

なお、建物は耐用年数が経過しており価値はなく、
不動産業者XはAと特別な関係はありません。

(1)立体買換えの特例
(既成市街地等内における中高層耐火共同住宅建設のための買換え特例)

等価交換事業のための特例に「立体買換えの特例」があり、
Aは買換え資産を自己の居住用、自己の貸付用にしていることから、
一定要件を満たせば、所得税等の課税を繰延べることができます。

主な要件の概要は以下の通りです
(措法37条の5第1項2号、措令25条の4、措通37の5-1~5-10)。

・譲渡資産 が、三大都市圏の既成市街地・これに準ずる区域内等にあること
用途・所有期間は問わない
・買換資産が、地上3階以上の中高層耐火共同住宅で、建物の1/2以上が住宅であるもの
・取得日から1年以内に、自己又は親族の居住用、自己の事業用・貸付用、同一生計親族の事業用に供すること
・従前土地の譲渡を受けた者または譲渡者が、同一敷地内に建築したものであること
・検査済証の交付を受けていること
・取得時期は、譲渡年の12月31日までに買換え資産を取得すること
・契約の方式では、土地の譲渡・買換資産は、売買契約で、贈与や交換ではないこと

メリット:土地の譲渡益の全部にかかる所得税等の課税を繰り延べることができるため、今回の申告では納税が0になります。
デメリット:買換え資産の取得価額は、譲渡資産の取得価額を引き継ぐため、将来買換え資産を売却した際に課税を受けることになります。

(2)居住用財産の譲渡にかかる3,000万円の特別控除・軽減税率の特例

自己が居住する家や敷地を、第三者に売却した場合、
一定要件を満たせば、譲渡所得金額から最大3,000万円の控除を受けることができます(措法35条第1項、2項)。
保有期間が譲渡年の1月1日において10年超などの一定要件を満たす場合には、軽減税率の特例も受けれます(措法31条の3)。
(1)の立体買換えの特例とは併用はできません。

メリット:3,000万円までの譲渡益に対する課税が免除され、
3,000万円を超える部分も軽減税率の特例の適用があります。
取得価額は現在の時価となり将来への課税の繰り延べはありません。
デメリット:3,000万円を超える譲渡益部分は課税されるため、
現金が手許に残らない等価交換事業では、納税が難しくなります。


【コラム】土地交換における税金

https://shinnichi.co.jp/info/koukan_zeikin/

交換する土地は、通常の場合等価である事を前提としています。
他人同士が何らかの理由で土地を交換するわけですから、損も得もしたくないのが人情です。しかし、交換する両者の一方が非常に有利となる場合にはそうもいきません。

例えば、

・道路に接面していない土地の所有者が入り口の土地を交換で取得する場合
交換により道路に接面する事で、非常に価値が上がる事になります。

・民間大規模工場用地の進出対象地の中に建付け地等がある場合
工場の進出に必要な土地なので、立ち退いてもらわねばならず、価値を超える代替地を要求される事になりがちです。

一般的に、交換は等価である場合は、誰も儲けてはいないので、税金はかからないと考えがちです。

しかし、税務署は「不動産等の譲渡税は、不動産が現在の持ち主の手から離れ他の人に譲渡された際の所得に対してかかる税金で、交換で発生した所得でも譲渡税の対象となる。不動産が動けば(譲渡されれば)税が発生する」という考えです。

しかし、要件を満たしていれば、無税扱いにする固定資産税の交換の場合の譲渡所得の特例(所得税法第58条)があります・・・

https://www.tabisland.ne.jp/explain/fudousan/fudo_213.htm

13 固定資産の交換をする場合

 資産の交換が一定の要件を満たすときには、譲渡がなかったものとして課税を繰り延べる特例が設けられています。

 交換により譲渡した資産の取得時期と取得費を、交換によって取得した資産が引き継ぐことになります。

適用要件

(1)  交換譲渡資産も交換取得資産も、いずれも次に掲げる固定資産で、かつ、種類を同じくする資産の交換であること。

 (イ)  土地等
 (ロ)  建物(これに附属する設備や構築物を含みます)
 (ハ)  機械及び装置

 同種の資産の交換は、例えば次のようなものをいい、土地と建物の交換では、適用されません。

  (イ)  土地と土地の交換
  (ロ)  土地と借地権の交換
  (ニ)  地上権である借地権と賃借権である借地権の交換
  (ホ)  建物と建物の交換
  (ヘ)  建物と建物やその附属の構築物・設備の交換

(2)  それぞれの所有者が1年以上所有していたもので、交換の相手方が持っていた資産は交換の目的で取得したものでないこと。

(3)  交換で取得した資産を、譲渡した資産の譲渡直前の用途に供すること。おおむね次に掲げる区分により判定することとされています。

 土地は、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分
 建物は、居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他の用の区分

(4)  交換譲渡資産の価額と交換取得資産の価額の差額が、そのいずれか多い方の価額の20%以内であること。


借地権等の設定の対価として土地等を取得した場合

自己の所有地に借地権設定(その設定による所得が譲渡所得とされる場合に限ります)をし、その対価として相手方から土地等を取得した場合には、土地の交換があったとして、この特例の適用を受けることができます。

二以上の種類の資産を交換した場合

二以上の種類の固定資産を同時に交換した場合、
例えば、土地及び建物と土地及び建物とを交換した場合には、
土地は土地、建物は建物とそれぞれ交換したものとされます。
資産は全体としては等価であるが、土地と土地、建物と建物との価額がそれぞれ異なっているときは、その差額分は交換差金等として取り扱われます。

資産の一部分を交換として他の部分を売買とした場合

一の資産について、一部分を交換し、他の部分を売買するときは、その他の部分を含めて交換があったものとされ、売買代金は交換差金等として取り扱われます。

取得資産を譲渡直前の用途と同一の用途に供する時期

取得資産を、その交換の日の属する年分の確定申告書の提出期限までに、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したときは、この交換の特例の規定の適用があるものとされます。

譲渡所得の計算

交換の特例を適用した場合における交換差金等を取得した場合についての譲渡所得の金額の計算式は、サイトをチェック!

交換取得資産の取得費の計算

交換特例を適用し、譲渡がなかったものとみなされた部分については、交換譲渡資産の取得費がそのまま交換取得資産に引き継がれることになります。

(イ)交換取得資産とともに交換差金等を取得した場合
(ロ)交換譲渡資産とともに交換差金等の交付をして交換取得資産を取得した場合
(ハ)等価交換の場合
上記計算式は、サイトをチェック!

申告手続

交換のあった年分の確定申告書にこの特例を適用する旨を記載し、譲渡所得の内訳書(計算明細書)を添付し、税務署長に提出しなければなりません。

 (イ)  交換譲渡資産と交換取得資産の種類、数量、用途及びその価額
 (ロ)  交換の相手方の氏名又は名称及び住所もしくは居所又は本店もしくは主たる事務所の所在地
 (ハ)  交換の年月日
 (ニ)  交換譲渡資産及び交換取得資産の取得年月日
 (ホ)  その他参考となるべき事項


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?