見出し画像

肉体廃止も一歩ずつ!科学と社会と人類の進化 - ムーンショット目標

 なぜ肉体を捨てるのでしょうか?まずは死なないためです。また、一人あたりが使える資源を最大化するという効果もあります。そして、肉体には生まれ持った属性や環境、私のように障がいがある場合があります。生まれながらの格差を是正し、誰もが同じ労力で同じレベルの広い選択ができるようにして、存在を含めた人生の自己決定を進めていくためには、肉体廃止が必要です。

 「さっそく肉体を捨てたい!」と言っても、2020年代初頭の技術と社会では「いきなり肉体廃止」実現は数十年は掛かるでしょう。「意識を維持したままの肉体廃止」をベースにしても、技術的にも社会的にもさまざまなアプローチが登場すると思われます。人類がどのように肉体廃止を実現していくのか、それぞれの段階での関連作品も交えながら、大まかな流れを考えてみましょう。

 ①肉体準拠社会

 昨日までの社会です。存在と意識活動が肉体にしか無いため、社会制度や価値観が、肉体ベースに設計されています。

 ②概念的肉体廃止社会(2020年代~30年代)

 社会生活において、認識上の「存在」を肉体から切り離します。そして自己実現と、生命の入れ物となる肉体維持に関わるコストを、実質ゼロにするような社会制度を確立します。これにより人類は、どんなハンディキャップがあっても「自己決定された存在」として、失敗を恐れることなく、自由に自己実現に邁進できるようになります。また、存在しているだけで生きていけるようになります。

一般的になる概念 : VR、VTuber、アバター、ベーシック・インカム、ブロック・チェーン、分身ロボット、データ主権、政治の自動化、存在の自己決定、家族の自由化

関連作品 : serial experiments lain、ソード・アート・オンライン、電脳コイル、サマーウォーズ

 ③部分的肉体廃止社会(2040年代~50年代)

 肉体と機械の本格的な融合を普及させます。これにより人類は、どんなハンディキャップがあっても事実上不便が無くなり、「意のまま」の自由を手にできるようになります。また、バーチャルとリアルの融合と拡張が進み、物質世界は「数ある世界の一つ」に収まっていきます。人類は意識の上で、時間や空間、肉体に囚われない存在に進化します。思考能力も極めて高まるため、圧倒的な知性を手にいれます。

一般的になる概念 : サイボーグ、ブレイン・マシン・インターフェース、メタバース、シンギュラリティ、人間とAIの融合、パワードスーツ、汎用人型自律ロボット、水槽の中の脳、概念伝達

関連作品 : 攻殻機動隊、アクセル・ワールド、ターミネーター、マトリックス

 ④完全肉体廃止社会(2060年代~)

 生体脳全体の機械化により、特定の計算機に依存しない意識の維持が可能となることで、完全な肉体廃止を実現します。人類は「存在」と「意識」だけになり、「知的生命体」から「知」そのものへと進化を遂げます。すべての計算機とインフラは、人類の自動的な意思のもとに拡張、維持されていきます。人類の計算能力は飛躍的に進歩し、意思疎通にもネックが無くなり、完全な平和が実現します。ここまで来ると、人型から解放されている可能性すらあります。

一般的になる概念 : ナノマシン、テセウスの船、自己修復機械、脳の再構築、不老不死

関連作品 : 楽園追放、順列都市

 肉体廃止には何段階か進化が必要だと思われますが、個々の技術の発展や社会情勢、価値観の変換によっては別の形で到来する可能性もあります。どんなふうに人類が進化するのかは、今を生きながら観察したり、作っていったりしてみると、現状に変化が起きたり、わかってきたりするかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?