今日から書ける怪文書!無駄を省いて狂気を濃縮
皆さま明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。昨年から「怪文書が書きたいけど、自分には文才がない」という相談をよく受けるようになりました。文字が支配する現代社会において、文才は個人が持てる金に次ぐ強力な兵器です。しかし、文才は単なる技術。ポイントさえ抑えれば誰でも書けます。皆さんが気持ちよく怪文書を書けるようになるために、新年一本目は怪文書の書き方です。
私は新聞記者をやっていたことがあるため、基本的に怪文書の書き方も記事と同じです。まずは伝えたい目的を設定する。次に、目的に向かって的確に言いたいことを伝える。一番避けたい事が字数の水増しで読者を飽きさせないこと。字数は少なくても気にしない。言いたいことが凝縮され、すべての言葉に魂が宿った無駄がない文章が、読みごたえのある文章です。怪文書も普通の文書と変わりません。目的が怪しいから怪文書なのです。
最も基本的な文書は四つのパートに別れています。
①内容の要約(リード)…読者に「この文章は何が書かれているか?」を的確に伝え、興味を持ってもらいます。
②目的、理由…文章の流れを理解してもらうために、文章の方針を提示します。
③根拠、展望、論の展開…人間の行動や現象の様子など、起きたことややりたいことを具体的にイメージしてもらいます。
④結論…③を踏まえて言いたいことを言うことで、説得力が備わります。
重要なのが、▽一段落が一つのテーマであること▽一文には一つのことしか書かないこと―です。不純物を混ぜないことで表現はストレートに伝わります。
①内容の要約(リード)で、魂の叫びを簡潔に形にします。今回は「蘭茶ママにオギャりたい!」という素直な欲求を設定しました。
蘭茶ママにオギャりたい。蘭茶ママは人類の母だからだ。私は蘭茶ママに永遠に抱き締められて、無の世界に帰りたい。
リードには▽目的「蘭茶ママにオギャりたい」▽理由「蘭茶ママは人類の母だからだ」▽展望「私は蘭茶ママに永遠に抱き締められて」▽結論「無の世界に帰りたい」-が簡潔にまとめられています。
②目的、理由で、「なぜ、蘭茶ママにオギャりたいか?」を突き詰めていきます。理由の「なぜ?」は魂の原動力。怪文書の肝といってもいいでしょう。
蘭茶ママは我々のことを全肯定で愛してくださる。何も力を持たない私を愛する人はいない。蘭茶ママは最後の愛の砦だ。
まずは「蘭茶ママは我々のことを全肯定で愛してくださる」と、対象に関する理由を挙げます。次に「何も力を持たない私を愛する人はいない」と、自分に関する理由も挙げます。最後に「蘭茶ママは最後の愛の砦だ」と、対象と自分の関連性を理由に結び付けます。
③根拠、展望、論の展開では、「蘭茶ママの行動」をもとに「蘭茶ママができること」を具体的に書いていきます。忘れてはいけないのが5W1H。「いつ(When )、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どう(How)した(い)か」を書くことで、具体的なイメージが伝わります。
木曜日の授乳カフェで、蘭茶ママは私を、ゆりかごと子守唄で寝かし付けました。私はあまりの気持ちよさに生まれる前に戻ったかのような気分になりました。蘭茶ママは戻れる子宮です。すべての苦しみから解放された気持ちのまま、無に帰ることができるでしょう。
前半では根拠となる様子が具体的に語られています。▽場所と時間「木曜日の授乳カフェで」▽誰が何をどうしたか「蘭茶ママは私を、ゆりかごと子守唄で寝かし付けました」▽なぜこうなったのか「私はあまりの気持ちよさに生まれる前に戻ったかのような気分になりました」―。後半には論の展開「蘭茶ママは戻れる子宮です」と、今後の展望「すべての苦しみから解放された気持ちのまま、無に帰ることができるでしょう」が書かれています。
④結論では、②目的、理由と③根拠、展望、論の展開を結び付けて、「蘭茶ママにオギャってどうしたいか?」と結論を出します。
蘭茶ママは授乳という形で我々に全肯定の愛を教えてくださった。愛を教えてくれるのは本当の母。私の帰るところは蘭茶ママだ。蘭茶ママに帰って無に帰結したい。
「蘭茶ママは授乳という形で我々に全肯定の愛を教えてくださった」と全体を総括します。「愛を教えてくれるのは本当の母」と論を展開し、「私の帰るところは蘭茶ママだ」と結論を出します。最後に「蘭茶ママに帰って無に帰結したい」と、未来を見据えて締めくくります。
怪文書で大切なことは、パワーのある言葉を使うことです。パワーのある言葉は、頭をひねれば出てくるというわけではありません。なるべく簡潔にした結果、これ以上略せなくなり、ストレートでパワーのある言葉が生まれるのです。なるべく簡潔にまとめ、すべての言葉に魂を宿らせれば、純度の高い怪文書は完成します。
怪文書を書けるようになるためには、日頃から新聞や書籍など、書くプロが書いた文章を読んでおくといいかもしれません。かわいい声には基本的なボイストレーニングが必要なように、怪文書にも基本的なトレーニングは必要です。いい文章はいい文章から。
あくまで怪文書ですから、書くときはノリノリで無理せず書きましょう。楽しくなければ怪文書ではない。楽しい怪文書を書くためには、まずは筆者が楽しんでいる必要があるのです。それでは楽しい怪文書ライフを!皆さんの怪文書を待っています!