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SWIM GRACEFULLY

隣の席に座った男性ににっこり微笑みかけられ、私もくっと口角を上げて返した。ちゃんと笑ったように見えていただろうか。なんで笑ったのかな、とすこし考えるけど、わからない。なんとなくうれしい。ありがとう。

旅行から東京に帰ってきて、地元から友達が会いに来てくれて、東京の友達と遊んで、また地元の幼馴染がうちに泊まりに来て、まだ旅行先にいるみたいな気分のままで、少しの間一人になる。同じ道を歩くたびに、前いっしょに歩いた人のこととか、もしかしたらここを歩いたかもしれない人の現在とかを考える。もしかしたらここでいつか会えるかもしれないと思う。あたしに笑いかけてくれた人のこととか。

羊文学の「ロマンス」に〈この街の真ん中で叫んだら誰か見つけてくれるんじゃないかって思う〉という歌詞があるけど、まさにそれとしか言いようがないような感覚がずっとある。友達と韓国料理を食べた帰りとか、一人になったときにそういうアンテナがぐぐぐって伸びる。渋谷は人が多いから、こんなにたくさん人がいるのに私と通じる人はここにはいなくて、なんなんだろうって。電車の中とかも。みんなはこういうこと考えないのか気になる。今同じ場所にいるのに、もう二度と会うことはなくて、視界に入っても記憶に残らなくて、存在してるのに誰の記憶にも残らない時間が怖いしさみしい。

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ぼんやり生きているつもりはないけど、これだ!って瞬間はたまにしか来なくて、焦る。コンビニで買えるお菓子みたいに、終わっちゃっても再開できたらいいのにな。最近はずっと焦っているような気がする。もう夏休みに入っちゃって、みんな忙しいから滅多に会えないし、ほぼ毎日大学で顔を合わせてたのが懐かしく感じる。いっぱい人と話したけど、ぐるぐる回っていく君のなかで私はどんどん沈んでいっちゃって、大切にしてた頃がうっすらとしか思い出せなくなった未来がもうすぐそこに来ていると思う。別れも一つあった。どこにいるのか知っているのにもう目を合わせることがない。それはとても切ない。
春からの毎日はとってもキラキラしていた。そういうことも忘れて、楽しい思い出が重要じゃなくなる日が来るのが怖い。誰と会っても喋っても、合わなくなった後のことをかんがえる。君と会っている間ずっと焦っている。いなくなってほしくない。
高校を辞めたときは気づいてなかったけど、あのこと一緒に喫茶店に行って休日を潰せる日は後何回かしかないんだな。旬の果物を食べられるのは人生で何十回くらいだから高くてもいっぱい買う、とかと同じで、友達なんて一緒に過ごせる時間はほんの少ししかない。君に費やした人生の1/nが、生きていくだけで、どんどん小さくなっていってしまうのが嫌だ。
なんでこんなに数直線みたいにさみしくなっちゃうんだろう?そんな暇はないはず。

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近況…

先輩の映画に出た。

爪がうんと長くなった。真っ白のアーモンド型で、ぎゅっと纏めたら歯みたいに見えるので、会う人みんなにそういって自慢している。長い爪はフォトジェニック。しかし今回のは長すぎていささか不自然。おかげでタイピングがすごくやりづらい。慣れたけど、たくさん文字を打つと手が凝る。

風邪をひいた……もらい事故なので気にしないことにした。前風邪を引いた時の薬が残っていたので、それを飲んだ。たくさん市販薬を飲んだ日もあった。

目が悪くなった。嘘の視力でしかあなたの顔が見れなくてかなしい。

いろんな人の思惑を知った。生きてるって感じがする。

地元の友達や遠くに住んでいる人が会いに来てくれた/来てくれる。ありがとうね。

久しぶりに一眼レフを持ち出して写真を撮ったり撮られたりした。あり得ない顔で写ってるのもあったけど、かなり可愛いやつもあった。そのほとんどが知らない間に撮られたもので、私が中央に据えられていたりすると、写したいと思ってくれたのかなあって嬉しい。

いつもなんでか疲れてて、やらなきゃならないことに着手できない。ずっと焦ってる。

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もっと身軽に空を飛んでいるところを見せてあげたいと思うよ。

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