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療養日記 2022年7月7日 『昼下がりの昭和ノスタルジー』

 鎌倉、小町通りに「ひら乃」という40年以上続いた店があった。長年小町通りの観光客を相手に営業していた。ちょっとした歴史の長さと小町通りというロケーションで有名だった。

 我が家から比較的近い大船界隈にある50年以上続くラーメン屋がある。その店が今年10月いっぱいで閉店するというので今のうちに行っておくことにした。歴史からしたら「ひら乃」よりも長い。

 店の名前は「でぶそば」。街の隅にひっそりと建っている。テーブルが4つ程の狭さで中に入ればいかにも街中華と言う雰囲気満点。このタイプの店は確かにこのところ減りつつある。この店にはこれまでに数回来ている。車を駐める場所もなく駅からも遠いのでなかなか行く機会もないが、この店のラーメンはいかにも昔のラーメンという感じで好きだ。

でぶそばの外見

でぶそば店内

 この店に行くには大船駅笠間口からちょっとわかりにくい道をひたすら歩かなければいけない。真夏日の午後、急に陽が照り始めた道を500mほど歩く。普段なら歩かないが今日は歩いた。

 店に入ると先客が一人、食い入るように政見放送を観ていたが、それは店とは関係ないだろう。その先客も僕が注文したものが着丼する頃には帰り、あとはずっと僕一人しか客はいなかった。写真でもわかるが店内は昭和だ。昭和の時代から続いてきた店、昼下がりのノスタルジーに浸りながらテレビだけが律儀に現代の時間を刻んでいた。

 食べるもの食べると元来た道を戻って駅まで帰る。駅に近づけば近づくにつれ現在に戻るかのような気分だった⬛︎


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