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痒みとの闘い

【入院日記3 2023年 2月8日(水) 24日目】

 今日も朝のルーティンに従って起床時間に起きてコンビニに行ってコーヒーを買って昨日はまだかなと書いたがデイルームで写経もした。毎日何かを取り戻しているようにも思える。しかしその朝のルーティンだって起床時間の一時間以上も前から向かいのジジイがゴトゴトと立てる音で起こされる。あまり気持ちの良い起き方ではない。あの部屋ではちゃんとなんて眠らせてなんかもらえない。とにかく向かいと隣が煩い。明日にでも退院してくれないかなと毎日思う。

 そんなわけで一度部屋を出たならばできるだけ戻りたくない。といってもまだ歩き回るのは早いし、結局デイルームに落ち着いてしまう。E5の患者の立場になるとW5からデイルームに来る患者はやっぱり驚異だ。自分だってついこないだまでそうだったくせに立場が変わると考えもガラリと変わる。それにしても歩いている人を見かけない。教育入院の患者はもういないのだろうか

 朝食をとりすぐにドクター一団がやって来て傷口の消毒ならびに右脇の傷と背中の爛れの治療をしてもらう。昨日と同様どえらい騒ぎようだ。背中を触られるのが大嫌いなのになんだってそんなところばかりおかしな事になってしまったのだろう。昨日は2年の筋肉痛が押し寄せ、痛みとの闘いだと書いたはずが右脇の擦過傷(と思われる)と背中のテープの爛れが痒くて痒くてたまらない。まさか痛みとの闘いはその翌日には痒みとの闘いになってしまうとは思わなかった。(もちろん痛いのも痛いのだけど。)

 日中はできるだけ部屋にいて写経や韓国語の勉強などをしていたが、あまりに隣のオッサンの独り言が煩すぎるのでデイルームに避難していた。独り言の煩い奴の脳みそはどうなっているのか、誰に話しかけているのか、遠くから電波でも届いてくるのか、静かにすることができないのか。静かにすることができない時点でもう人間として欠陥があることに自分自身気がつかないものなのだろうか。このオッサンは就寝時には寝言も煩い。言葉になっていない発声が主なモノだが早く鼾に変わってくれと思う。(鼾も煩いときているか鼾は不気味ではないのでまだ我慢できる。)

 今日はそんなわけで痒さと隣のオッサンの独り言に苦しめられる一日だった。部屋になど居ないで歩きたい。しかし歩くのにはまだ早い。杖もまだ廊下一往復程度でしか認められていない。もっと歩きたいと日々思うがそこまで焦っても仕方がない。

 もう一つの困りものが向かいのジジイ。ただの騒音メーカーならある程度は諦めもつくが、こいつはこれまでにはいなかったタイプた。というのはコイツは僕に用事があっでやって来たナースでも必ず呼び止めて話しかける。用事がなくても話しかける。その度に僕の世話は疎かになる可能性ができる。なんで他人のために働いているナースを呼び止めてあれしろこれしろと自分の用事を言いつけるのだろう。かなりの高確率で呼び止めて自分の相手をさせようとする。これがとにかく鬱陶しい。

 その人今僕の薬を持って来るところだろ、僕のバイタル測っているだろ、あんたには用はないんだよこの耄碌ジジイが。とひと言言ってやりたい。つまりナースを独り占めしたがるのだ。このいやらしさはW5で出くわしたこども返り極道ジジイだ。とにかくナースが僕のところにやって来れば時間も関係ない。それこそ真夜中に点滴を打ちに来たナースにでさえ声をかける始末だ。

 そしてもう一つおかしいのが僕の担当ナースが男性の時には声をかけないところだ。もしかしたらと思って気をつけていたが一度も声をかけなかった。もうこうなるとねえ、呆れて物も言えんよ。こいつが騒音メーカーである事などもうどうでもいいくらいに鬱陶しい。今回も残念ながら同室の患者には恵まれなかった

 こんなジジイがいるのならまだ大きな音立ててこっそり物を食うバカのほうが、と言いたいがこのジジイも何やら食べている様子でさらに腹が立つ明日こそとっとと退院しろよ、退院がダメなら手術でも受けてよその部屋に行けと思ってしまう。なので自分の所にナースが来るのもだんだんとイヤになって来る始末だ。と言うかナースも僕のところに来ると横からあれしろこれしろと必ず言われるから嫌なんじゃないかな。こんなのとあと一週間同じ部屋にいるのは耐えられない。ならデイルームにいた方がまだマシ。そうできるのならそうしたいものだが、自分も無理はできないし困ったものだ。

 今日は妻が衣類などの差し入れに来た。衣類の他にハンドクリームをお願いしたらそれも持ってきてくれた。ハンドクリームでも身体に塗っておけばそれだけでも保湿になると今日担当のナースにも言われる。まさか最後の最後に皮膚トラブルで泣かされるとは思わなかった

 事後の記録だが昨日で圧着ソックスも取れ、今日早朝の点滴を最後に抗生剤は服薬に変わった身体からチューブは全て取れた。もうこれ以上はチューブがつかないように頑張りたい。今回はリハビリはない様だが、リハビリがあればあったで生活にメリハリがつく。どちらにしても抜糸しなければ始まらないし、抜糸となるとまだ先の話だろう■

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