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眩い世界

【入院日記3 2023年1月19日(木) 四日目】

 今日も目覚めたら起床時間15分前くらい。夜半まで眠れないが一度眠ればそこそこぐっすりと眠れるようだ。入院中はスマートウォッチを常に身につけているので睡眠の測定もできる。これまでそれほど役に立っていないなと思っていたスマートウォッチは入院中大活躍だ。ウォーキングの計測にも使える。歩数もカウントしてくれる、消費カロリー数も大体ではあるが教えてくれる。

 さらに正確かどうかはわからないが体温も定期的に測定してグラフを作ってくれるし、血中酸素濃度もだいだいは正確に計測し、こちらもグラフを作ってくれる。日頃の生活ではいかにこれらの数値が生活とは無関係なのかが入院して初めてわかる。

 今日も朝のルーティンを写経まで含めて全て終える。8時からはR2の「まいにちハングル講座」が始まるが朝食が8時からなのでいつもハングル講座を聞いてから食事。

 食事が終わるとビデオ学習を前倒しにして先に行う。と言うのも午前中に眼科検診があり散瞳(さんどう)が必須だからだ。一度散瞳すると4時間近くは物が見えにくくなってしまう。なので目を使う作業は散瞳する前にやっておきたかった。

 散瞳と言うものをご存知ない方に簡単に説明すると眼底や網膜などの検査をするときに光を直接目に当てる。当たり前だが目に光があたれば瞳孔は絞られる。検査で光を当てるだけならまだいいが、レーザーを当てて網膜治療をするときに瞳孔にレーザーが当たったら大変危険だ。この瞳孔の動きを止めるのが散瞳だ。瞳孔の筋肉を弛緩させて瞳孔を閉じないようにさせる。これで検査は何の滞りもなく行われるが、検査が終わっても瞳孔はすぐには元には戻らない。それがだいたい4時間くらいだと以前眼科医から教えてもらったことがある。たった5分要するかどうかという作業のために残り4時間は目がまともに働かない。まともに働かないのか働きすぎちゃってたくさん光が目に入るのか、とにかく散瞳の後は眩しいったらない。

 今日は担当の実習生、Mさんが朝からつきっきりで世話してくれ、眼科検診の際も立ち会ってくれた(と言うか、それが実習だ)。散瞳の経験はあるのでその辛さはわかるようだった。今日はその眼科検診のあと個別栄養相談もあって二度も病棟を離れなければならず、散瞳後はまともに歩くこともままならなかったので本当に助かった。

 今日はそれにしても昨日までとは大違いで良く晴れた1日だった。散瞳をするには一番マズい日。晴れた空が真っ白。何を見ても白レイヤーがかかって人の顔も何もわからない。標識や案内の文字も読めない。とにかく鬱陶しいしそのおかげで頭痛もする。自分の場合散瞳するとその後必ず頭痛がやってくる。

 こうして個別栄養相談も終わってお昼前に戻ってくるとしばらくの間は横になっていた。いい天気すぎてカーテンを閉めざるを得なかった。

 散瞳の薬の効き目を大体4時間くらいと見てだんだん目が見え始めてくるのが2時過ぎくらいかなと思ったのに薬が思った以上によく効いてくれて夕方になってもまともに物が見えない。今日はそのせいもあって廊下でウォーキングもできなかった。

 陽も沈んで5時くらいになりようやくウォーキングができるようになると今度は病棟でCovid-19罹患者が出たとかでウォーキングは控えてくれと止められる。それよりもその話自体が洒落になっていない。クラスターが出るのかどうか今の段階ではわからないがもし出たら冗談になっていない事態だ。

 この日記はデイルームで書いているが書き終わったら部屋に直行して消灯時間を待つより他ない。それにしても病棟スタッフの落ち着き払った応対を見ると過去に何度か同じことがあったんじゃないのかと思うくらいだ。

 明日は追加の血液検査が安静時採血という面倒臭いもので起床時から30分は動くことができない。入院も明日で5日目となり面倒なビデオ学習などはほとんど消化したが、どうにもCovid-19と甘ったれ極道ジジイだけは受け入れられない■

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