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朝倉いずみとの再会


【入院日記3 2023年2月13日(月) 29日目2本目】

 今日夕方からの担当ナースは前回の入院の時にもいたナース。「以前もいらっしゃいましたよね」と訊くと「やっぱり覚えてますよね」と返ってきた。ナースも多すぎて名前で覚えているのがやっとだが、そのナースは僕のことをしっかりと覚えていた。そんな話を聞くとなんだか嬉しくなってくるのだが、やっぱりって何だと疑問に思っていると、

 「点滴の残り回数を数え間違えちゃって、抜いちゃいけない点滴抜いちゃってまた付け直さなければならなくなっちゃって、あれ、私のせいなんです。」

 と思わぬ白状。こいつ、あの時の朝倉いずみ(「ナースのお仕事」という昔のドラマに登場したダメナースの名前。観月ありさが演じていた)か。それでもそんな話も笑い話でできるようになっていてそれはそれで幸せを感じる。前回、前々回の入院の時にE5には3〜4人朝倉いずみがいた。 

「あの失敗以来同じ失敗はもうしなくなりました。なのでよく覚えているんです。」


 だとのことらしい(あたりまえだ)。なんとも複雑な心境。でも失敗を忘れないでナースとして成長している様子は見ていて本当に頼もしかった

 この事件は言われなければ思い出せなかったと思うが、他にも食前のインシュリンを打たれた後、部屋の電気をつけてもらえず食事ができなくて数時間後低血糖状態で発見されたことだの(あの時個室だったことと手術直後で身体が動かせずナースコールにも手が届かなかった)。他のナースでは点滴のカテーテルが全く入らないのに何度も自分にやらせてくれと同じ失敗を3度まで繰り返したなんてのもいた。全部今となっては笑い話…にはならないよ。今になって思い返しても重大インシデントじゃないか。特に低血糖事件、発見がもっと遅かったら確実に死んでいたぞ。そんな強烈な思い出も幾つかある。

 それでも今はそんなこともあったねと懐かしく思い出すくらいにまでなっていた。もう今の病気を引きずるのも残り僅かなことだ。あの時お世話になった(り、お世話した)数多くの朝倉いずみ達とこうして再会していることも再入院をしたからできたことで、そんな機会には感謝しなければならない。あの時に較べると今回の入院では朝倉いずみが少なくてちょっと寂しいかも。教育入院の時の看護実習生でさえもあまりにもしっかりし過ぎていた。

 こういった再会ももうこの次はないということも認識して感謝の気持ちを伝えておかなければ。ただのクズ患者で退院はしたくないもんな■

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