ちょっとだけ前向きな言葉(175・176)
●弘法は眠れぬ夜を十夜に感じたという。辛いことは往々にして実際よりも多く長く感じてしまう。これを知っているだけで違う。
理由はともあれ辛いこと、つまらないことは長く感じてしまう。しかし、この傾向について知識があることで、心理的な負荷がかかっているときには自分の感覚が歪んでいることに気づくことができる。その結果、辛い状況が一時的であることや時間の経過によって和らいでいくことを理解し、より冷静に対処することができるだろう。
この現象は、主観的な感情や心理的な状態が時間の知覚に影響を及ぼすことによって生じルもので、例えば辛い経験や苦痛は我々の注意を引き心理的な負荷を増大させるため、時間がゆっくりと感じられる傾向がある。また、不快な状況に固執することで、その時間が長く感じられることもある。こういった「長く感じる」メカニズムをあらかじめ知っておくことは実際に感じる時間よりも時間は無駄にしてはいないことに気づきやすくなる。
●他人の欠点を見つけて貶したところで一時的なストレス解消以外に何が残るのだろう。人からされたくない事は自分もしないよう心がけたい。
他人の欠点を見つけて貶すことは、一時的には自分自身を優位に立たせるかも知れない。しかしそれは虚しすぎるほどの一時的な快感や優越感であり、長期的な幸福や満足感とはまるで違うものである。
寧ろ他人を貶めることは関係や信頼を損ない、周囲の人々とのつながりを弱める結果にしかならない。そんなことも一時の快感、優越感に隠されて気づきにくくなってしまうものだ。
もう一つ、自分自身が他人にされたくないことを他人に対してもしないように心がけることは、共感や思いやりの原則に基づいている。論語にも「己所不欲、勿施於人(己の欲せざる所人に施す勿れ。)」という言葉がある。
他人を尊重し寛容に接することは良好な人間関係の構築や信頼の醸成に役立つ。また、他人を貶すことによって自己満足感を得る代わりに、建設的な行動やポジティブなエネルギーを注ぎ込むことが、より充実した人生や幸福感をもたらすことにも繋がる。
他人の欠点を見つけることによる短期的な利益に焦点を当てず、長期的な幸福や倫理的な価値に重きを置いて行動をしたほうが賢明ではないだろうか■
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