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非財務開示情報開示基準の乱立

2022年6月、ISSBにより非財務情報の開示基準が統一される。
非財務情報とは、企業の価値は今はもはや金銭で表せるものだけではない(人材や社会への貢献度など)から、そこも加味して株主などは評価していかなければならないのでは…?という考え。

統一たって2~3組織がまとまる程度でしょ~と楽観的に見ていた私。
調べてみると、かなりの大規模統合らしいことが分かった。…革命かもしれない。

過去数十年にわたり非財務情報の重要性は世界でどんどん浸透してきているが、まだその概念がマイナーな頃、様々な地域でその基準を作っては公表をしてきた。

例えばGRI、SASB、IIRC、TCFD、CDSBなどなどの組織。このほかにも細かいものを合わせると沢山あるだろうけれど。一つ一つ内容を説明すると長くなってしまうので、勘弁してほしい。そういう基準があるんだーくらいに思ってほしい…(SASB、IIRCは2021年6月に統合しVRF(価値報告財団)¹に。さらに2022年6月にはVRFとCDSB(気候開示基準委員会)²が統合予定)

こんなにも乱立されていたら、一目見ただけだとなんのこっちゃわからないし、適応してほしいはずの企業は混乱するし、それって本来の目的からそれている。

じゃあ統一しようよというのはとてもよくわかる。
2022年6月にIFRS財団傘下にあるISSBが新基準をどーんと打ち上げる。

要するにISSBという大きなバケツの中に、メイン組織・基準をすべて突っ込んで、各々が出していた基準を混ぜ込んで、まとめ上げた最高のものを世界基準にしようぜ…!ということらしい。(大きなベースとなっているものはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)³とSASB(サステナビリティ会計基準委員会)⁴のやり方の様子。)

着々と準備が進んでいく。この前、組織の代表がダノン社の元CEO・エマニュエル・ファーベル氏に決まった。
気候変動やサステナビリティに力を入れすぎて、短期的な収益を確保できず解雇されてしまったファーベル氏が代表に…
まさに、捨てる神あれば拾う神ありの具体例。まるで映画のような人生。

そして今各国が躍起になっているのはその拠点をどこに設置するのかということ。
もちろん日本もアジア・オセアニアの代表として、拠点が欲しい。北京と東京の2択らしいがどちらになるだろうか。
とても個人的な見解だが、アジアに関してはこれからの中国の情勢次第であるような気もする。

このように最近、非財務情報もグローバルスタンダード化されていることをひしひしと感じる。

2022年これから、東証改変が起こった2か月後にはこの新基準の設立予定。しかも6月は大体、株主総会の月。多くの企業は普段の業務でさえ忙しいのに…そんなことやってられないわ!!私だったらそう叫んでいるかもしれない。

絶対大変だと思う。なにも、そんなにバッティングさせなくてもいいのにとも思ってしまう。
でも、今のうちは出されるものには乗っておいた方が得策だとも思う。
頑張れ日本企業の人たち…!


<脚注>
1 VRF:価値報告財団。統合思考原則、統合報告フレームワーク、SASB標準を使用して、ビジネスと投資家の意思決定をサポート

2 CDSB:気候開示基準委員会。統一されたフレームワークを作ることを目的に活動

3 TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース。企業に対し、気候変動に関連するガバナンス、戦略、リスクと機会、指標と目標を開示することを推奨している。

4 SASB:サステナビリティ会計基準委員会。アメリカの非営利団体でESG要素に関する開示基準を設定することを目標にしている。現在の開示基準では5つの局面と、それに紐づいた26の課題カテゴリーを設定している。

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