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深読み:たけのこ掘りに思う

春なので、たけのこ掘りをしました。昨年まではイノシシが数頭いたらしく、たけのこの収穫量が激減していました。今年は、土地の所有者が協力してイノシシの駆除したらしく、タケノコへの影響がなく、豊作です。
大阪で環境保全の勉強をしていたとき、農作物に害を与える動物の駆除はすべきでないと考えたこともありました。
孟宗竹自体が、害のある植物で、日本本来の広葉樹林の生態系を脅かしているとも言われます。日本の里山というのは、人々の生活と密接な関係の上で成り立ってきました。薪や木炭、山菜を得るために、まめに管理がされてきたのです。近所の山を大切にしながらも、その恵みを享受してきたのが、日本の伝統的な里山です。自然に任せる、すなわち放棄すると植生の遷移が進み、陰樹を中心とした森林(極相)になります。里山林・薪炭林というのは、人の手が入った二次林です。
孟宗竹が生い茂る竹林は、いわゆる「伝統的な里山の風景」とは言われません。竹は広葉樹ではなく、放置された竹林は、密になって荒れると同時に、周囲の放置されている里山や休耕田などに広がります。いわゆる環境問題を引き起こします。
しかし、個人的には思います。管理された竹林は、50年後、100年後は、日本の典型的な里山の風景と言われるようになることを。1年中、間引きや通路の確保、土砂の処理といった管理を行いながら、少なからず竹を農業用の杭や祭りの神事、七夕様の笹として利用し、竹箒も作ったりします。春には地産地消として、朝堀りのタケノコを出荷する。これを里山利用といわずして、なんというのだろうと。もしかすれば学者は里山の定義には含めてくれないかもしれません。大学の講義では、孟宗竹の環境問題の事例として挙げられているかもしれません。
でも、きっと将来は、エネルギー利用の大変革(薪や木炭利用が激減した)後の、近現代の里山利用の事例として語られるだろうと思います。そう信じています。
イノシシさん、ごめんなさい。

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