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音楽: 鉛の飛行船

高尚なイメージがつきまとうバンドがあります。Led Zeppelinです。いまでこそ、ロック好きで知らない人はいないほどの伝説的バンドですが、当時イギリスでは、受けがよくなく、アメリカで大成功したバンドです。

ここでの高尚と言うのは、「難しい」、「とっつきにくい」という意味と、「達観している」、「神秘的」という意味です。

ギタリストのジミー・ペイジが、バンドのリーダーでした。バンドのイメージ戦略からか、彼の元々の性格からか、シングルでヒットを狙うというビートルズがやっていたような大衆受けは狙わず、アルバムをコンスタントに発表するやり方をとっていました。時には、アルバムのジャケットに、バンド名もアルバム名も入れずに発売されたものもあります。4枚目のアルバム通称「Led Zeppelin IV」です。

こう言う言い方すると、スタジオミュージシャンのように聞こえてしましますが、根っからのライブバンドでした。ツアーにツアーを重ねる精力的なバンドでした。飛行機が嫌いなジミー・ペイジには苦痛だったそうですが。また、各地のホテルで暴れるドラマーのジョン・ボーナム(ボンゾー)の弁償金を払うのもお決まりになっていたとか...

何が高尚かというと、世俗のことにメッセージを発信しなかったところです。歌詞にメッセージを託すというわけでもありません。彼らの音楽は、黒人ブルーズをベースに、音量を思いっきり大きくしたようなところがあり、それを技術力の高いスタジオ・ミュージシャンが演奏したように、かなり洗練されていました。一方、ライヴでは、ジャズのような即興演奏により原曲をアレンジしたり、観客を扇情するパフォーマンスをしていました。

時代背景もあったかもしれませんが、ビートルズのジョン・レノンのように政治や国際情勢についてメッセージを発信する、パフォーマンスをするようなイメージがないです。メディアからは揚げ足を取られにくかったかもしれません。ただ、アメリカのキリスト教保守団体からは、黒魔術崇拝疑惑が出たりしたそうですが。

ジミー・ペイジという人は、内向的で、寡黙なイメージがあります。彼が影響を受けたミュージシャンに、ロイ・ハーパーというプログレッシブ・フォークと呼ばれる独自の音楽スタイルを築き上げた人物がいます。確かに、レッド・ツェッペリンの音楽のアコースティックパートは、ロイ・ハーパーの影響を感じます。彼らの音楽は、エレキの曲は、黒人ブルーズを激しく重くしたような感じであるのに対して、アコースティックになると、英国フォーク、中東、南米の雰囲気が醸し出されます。これも、また高尚なイメージを持つ要因になっているかもしれません。


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