読書メモ 「データ・ドリブン・マーケティング: 最低限知っておくべき15の指標」

読んだ目的と概要

マーケティングのイメージアップがしたくて読んだ。
本書のメッセージは一貫して明解で、測定して改善しろを色々な形で言っている感じなのだが、持ってくる具体例が良くて楽しく読めた。
最初の課題提示が秀逸で、日々のマーケティングの悩みを良く表現できているので、熱心に読むことができた。
小さい成功事例を作れ、といったメッセージも繰り返し述べられており、筆者にとって重要な事項が伝わりやすい良い本。

読書メモ

マーケティング格差

ベストバイにおいて、消費者セグメントを抽出し、それに向けたキャンペーンの事例が紹介されている。イメージしやすい。
色々な企業で、測定にはじまるマーケティングプロセスの管理がなされていない。測定対象は色々考えられるが重要と考えられる15の指標を紹介する。
「顧客が欲しいものを欲しいときに提示すれば売り上げが上がる」は、当たり前なのだが忘れがちなので、注意していきたい。
個人情報をTシャツ1枚程度のコストで入手可能、というのがおもしろい。Tシャツをつければ住所や連絡先をユーザーが共有してくれる。顧客データに見合う価値を提供すれば情報が手に入る。こういったデータの追加収集や手段として考えていなかったので参考にしたい。

何からはじめるべきか

マーケティングの5つの障壁の納得感が高い。因果関係が不明や組織や人の問題、はよく感じる。「クイックウィンを作る」は、強く意識したい。
ストアの位置情報からのDM最適化の話はよかった。飛行機のトラブル発生時の謝罪プロセスにおいて施策対象者にグループインタビューを行う話もよかった。
因果関係が不明、という問題にはABテストと、感度が強い先行指標を使えという回答だった。
データ不足の問題は、ヘビーユーザー用ウェブサイトを作ったり、Tシャツを配ったり、グループインタビューしたり、とかなり独創的な手段で解決していた。
「測定結果を公開する」のを文化を変える手段としてとらえるのがよかった。測定結果を大々的にみられるようにもっとしていきたい。(自社内だけでなく提携会社でも。これは担当サービスでもやりたい
データドリブンマーケティングのロードマップは、設計・診断・機会からはじめる。今見ている指標を確認し、何が不足しているか(指標も含め)考える。そこで最低限の努力でもっとも大きな成果につながるものを考える。

10の伝統的なマーケティング指標

ブランド認知。これは現状自社で使っている指標を確認したい。
認知・比較検討・トライアル・ロイヤリティ、というユーザーの発達段階(購買意思決定プロセスと同じものっぽい)が書籍では提示されているが、自社での発達段階を定義したい。顧客満足度は自社でも計測していきたい。
CLTV (顧客生涯価値)は重要なことはわかるものの、これってみんなどうやって計算してるの?というのが正直なところ。
指標を戦略的・戦術的・運用上のものに分けているのは思考の整理によいので見返したい
マイクロソフトの広告の効果を350人へのインタビューで確かめた事例はデータ収集事例としてよかった。
筆者の購入意向のような定性的な情報を使うことに抵抗があったが、マーケティングは「間違っている」から「大体あっている」にするために情報を使うのが重要と思うようになった、という話はよかった。

ブランド認知率

ブランド認知率が高ければ消費者の比較評価段階において真っ先に検討する対象になりやすい。
助成ブランド想起といった測定方法がおもしろかった。図表4.5の重要性はどうやって出しているかよくわからない。
ブランド認知の効果は、財務指標で評価できなくても将来の売り上げにつながる重要な非財務系のブランド認知指標を見極めて、マーケティング可否を評価する。
スクールバスキャンペーンはいい話だった。広告支出を10%減らしても測定・分析に費用をまわすべき、というのは確かに。

試乗

実際の購入の先行指標を使う話。

解約率(離反率)

わずかな改善が大きなビジネス効果につながりやすい。重要なのは今まさに離れそうになっている顧客を繋ぎとめる策を講じていくこと。重要性の高い顧客層に対するロイヤリティマーケティングのキャンペーンを企画すること。

顧客満足度

行動につながる指標はシンプルな質問から得られるものが好ましい。(例:すすめたいと思いますか)

財務系指標

財務系指標で語れなければ、経営陣の信頼は得られない。価格競争は利益が犠牲になるため往々にして負け戦にしかならない。
正味現在価値とかの話がでているが、割引率を導入しているだけであまりおもしろい議論ではない。

顧客価値ベースのマーケティング

価値の高い顧客の特徴を見つける。グループインタビュー調査や分析を通じて明らかにする。銀行ならクレカや受託ローンといった複数サービスを活用してくれる人たち。こういった顧客を自社から離れないようにし、アップセルやクロスセルを狙う。
顧客価値を分析すると赤字顧客が見つかる。そういった顧客は切り捨てるのではなく、マイナスをうみだすプロセスを発見し、そのプロセスを変更する。(待機時間が長いコールセンターにまわす、価値の高い顧客に専用の電話番号をくばる)
セインズベリーの事例では、セグメンテーションで美食家タイプの顧客を見分け、そのような顧客が多い地域では高級路線のラインナップにした。
コンチネンタル航空では、高価値の顧客は従業員が割りかけてくれたり、その他大勢と違う扱いを求める意見が多く出た。こういった取り組みはうちでもやりたい

短期と長期での顧客収益性のバランス

現在の収益性と将来の収益性によって顧客の扱いを変える。今後収益性があがるネクサスセグメントを見つけ、アプローチする。

顧客ライフサイクルマネジメント

カーニバルでは、自社にとって価値のある顧客の定義と、どのような顧客行動を変革していきたいかから考えた。その結果、自社にとって個人ではなく世帯が重要であり、世帯レベルのデータの収集をはじめた
カーニバルは顧客を高価値などにセグメンテーションをして、各セグメントに「子供と一緒に旅行をするか」などの質問をして、さまざまなマーケティング施策を考案した。

クリックからバリューへ

デジタル系は自分の専門でかつ、情報が古いのであまり面白味はなかった。
直帰率あたりはうちでも測りたい
最終クリックだけでなくその前のクリックも売り上げに寄与している、というのは見落としがち。アトリビューション分析で寄与率を算出するらしい。

アジャイルマーケティング

イベントドリブンマーケティングとは、分析やトリガーとなるイベントを活用して顧客ごとにカスタマイズされたオファーを提供する。
マイクロソフトではセキュリティサイトのできに関してアンケート結果をトラッキングして(毎月数百人)、試作の方向性があっているか見ていた。完全に間違っているよりは大体あっているほうがいい

まさにこれが必要だったんだ

ニーズが高まっているときにニーズにあった商品の提案を行う。
アースリンクの組織的取り組み(委員会を設置したり、取り組みに名前をつけたり)は参考になる。

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