読書メモ 「デジタルマーケティングの教科書」
概要
従来のマーケティングを軸として、デジタルマーケティングとは何かを論じている。従来のマーケティングをまったく知らなかったので大変参考になった。マーケティングが「環境分析」「戦略立案」「戦略実行」「戦略管理」のプロセスを踏み、その中にSWOT分析等が含まれるとか。新人研修でフレームワークを習ったが全く身につかなかったので、こういう流れの中で説明してくれていてよい。
作者の思想はちょっと強めで、少し多めに含まれる未来予想はそこまで腑に落ちない(ただ、大胆な未来予想を描くのがマーケティングの仕事、というのを実践していて好感がもてる)。しかし、マーケティングの全体感を簡潔に教えてくれて、かつ他の推奨図書集もあり、大変よかった。
読書メモ
デジタルマーケティングとは何か
全体を通してプロモーションだけではなく、流通や研究までまたがるものだという話をしている。リアル・オンラインを含む顧客の体験のトラッキングをデジタルマーケティングの主軸に据えているため、そこを扱うには流通を見なきゃいけないし、そこの成果物は研究に還元できるよね、というのが筆者の立場。
従来型マーケティングの戦略策定プロセス
この章が大変参考になった。また読み返したい。
まず、現状分析ではPEST分析(political, economical, sociological, technological)とSWOT分析 (strength, weakness, opportunity, threat)が紹介されている。市場参入後の状態ではあるもののSWOT分析はこちらでも一度やってみたいところ(別部門でやってはいるだろうが)。
セグメンテーションとターゲティングについても整理されている。こちらは実業務でやっていることが既存の理論で説明されており、思考の整理になる。ターゲティングが、将来成長性、測定可能性、到達可能性があるものになっているかは、実務でも点検したい。
マーケティングの仮説検証が地域限定販売等で実現されているという話もよかった。
デジタルマーケティングの5つの進化とフレームワーク
消費者が購買にいたるまでの行動を説明するフレームワークが紹介されている。AIDMAは
だが、実店舗前提となっている。うちのビジネスにも適合しないだろう。
コトラーの購買意思決定プロセスは、「問題意識」「情報探索」「代替製品の評価」「購買決定」「購買後の行動」となっている。
AISASもZMOTもよい。ただ、自社のプロセスは明らかにこれらのフレームワークとは異なるので、購買までのプロセスを一度整理したい。
ここから、どのように消費者の「行動」と「心理」を理解するかの議論が展開されている。「心理」を知るためのエスノグラフィ等は知っているが、まあ難しいですよね。
デジタルマーケティングでは、購買以外の行動、購買前後の行動もとれるのが決定的な違い。購買前後の行動で重要なものを今一度整理したい、また購買前行動を追加できないか考えたい。
また、デジタルマーケティングはセグメンテーションも強化される。これまでは地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数によって分けられていた。これがデジタルマーケティングでは行動からボトムアップでセグメントを構成できるようになる。
次はプロモーションの話。デジタルにより個々人にあわせたプロモーションができるし、タイミングも個々人の状況にあわせられるという話。山手線ビーコンという実例が興味深い。うちでも似たようなことやりたい。
キープレイヤー
あまり興味のある分野でもないが、散発的におもしろい話があった。
求められる能力
わりと超人をもとめつつも現実的な話もしていてよかった。
うまくいっている状態を想像し、そこから逆算して何が必要なのか考える、というのはよい。仮説がまず必要でそれを検証するのがビッグデータ、というのもよい。
総論
自分の仕事の位置づけをマーケティング観点で考えられてよかった。参考文献としてあげられている以下の書籍は読みたい。
グロービズMBAマーケティング
データ・ドリブン・マーケティング
確率思考の戦略論
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