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『言志四録』2巻 『言志後録』

 『言志後録』は、佐藤一斎が57歳から約10年間書き記した随想集です。これくらい高齢になると世間知に長ける一方で、志は周りに合わせて世間並になるものですが、佐藤一斎はまだまだ気高い理想を持ってることが伺えます。

 

38 
一の字と積の字は、常に畏れ謹しまなければならない。善悪のきざしは、すべて最初の一念によるところが多く、また善が固まるのも悪が固まるのも、何れも初一念が積み重なったあとの結果であるわけである。

66
一年中都会の中で東西奔走しているのではおのずと天地の大なることがわからない。だから、時には川や海に出て舟を浮かべ清遊を試みたり、時には山岳に登って英気を養ったり、時には青々として果しない野に出るが良い。これもまた心を修める学問である。
 
94
天地自然の法則によって得たものは堅固なものであり、人の智謀によって得たものは脆いものである。
 
189
物事に早合点をする性質があって、自ら何事でも一身に引き受けて担当することを好む人がいる。こういう人を使うのはかえって難しい。何となれば、早呑込みをする人は多く片意地の人であるからである。だから仕事全部を担当せしめてはいけない。宜しくまず半分を割いて担当させるがよい。

『言志後録』

 189は、若い頃誰かは通る道のようにも思いました。自分の昔もこんな感じでしたし、今は片意地にならず達観できているか。時々自分の内面は大丈夫かどうか。佐藤一斎の語録に思いを馳せます。





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