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読書感想文 2023


2023.02
『日本人にとって美しさとは何か』
-高階 秀爾-

ブックオフで見つけて購入したが、大当たりだった。
様々な作品を参照しながら日本人の美意識の在り方、由来を述べている。
特に文字と絵の関係性という点で西洋美術との違いを説明した話は大変興味深かった。
また、この本を読んでいる期間に広島県の神勝寺を訪れたのだが、白隠の常設展があり、この本の中にも出てきた『人麻呂像』の習作を目にすることができた。
意図したわけではなく偶然であったため、とても驚いたことを覚えている。

2023.03
『京都の中華』
-姜 尚美-

町中華の紹介本なのだが、これは単なるグルメ紹介にはとどまらない。
京都という独自の風土に育まれた京都の中華は、町中華の中でもとりわけ特異性を放つ一料理ジャンルを形成している。
そうなるに至った経緯、歴史を解説しながら料理を紹介されるおかげで無性に京都に行きたくなる。
実際、同年秋に、中華のサカイの冷麺と春巻きをいただいてきた。
大変美味しゅうございました。

2023.08
『獣の奏者 Ⅳ 完結編』
-上橋 菜穂子-

物語が終わってしまうのが惜しく、長らく寝かせてしまっていた。
心温まる物語をありがとうございました。

2023.09
『ダーウィン以後の美学』
-Winfried Menninghaus-

Twitterで話題になっていたのを見て購入。
ダーウィンの進化論は義務教育で教わるが、それだけでは説明の出来ない装飾あるいは技芸行為についての解説が書いてある。
これは別途読書メモをまとめたい。

2023.09
『デザインのデザイン』
-原 研哉-

友人からおすすめされて購入。
以前読んだ須永剛司著『デザインの知恵』と同じように、著者が過去携わったプロジェクトに絡めてデザインに関するノウハウ、哲学を述べている。
特に無印良品のロゴの話は興味深かった。

2023.11
『言語の本質』
-今井 むつみ、秋田 喜美-

なんと引きのあるタイトル、とついつい購入。
オノマトペの話に始まり、人間の言語習得について実験の話を交えながら分かりやすく解説してくれている。
まだ話すことのできない赤ちゃんに対して認識の実験を行った話については、そんな風に確かめるのかと感心した。
そして先日甥が生まれ、会いに行ったのだがその実験をしたいのを必死に堪えていた。

2023.11
『言語学バーリトゥード』
-川添 愛-

著者の先生の雑誌への連載をまとめた本。
言語学、あるいは言語学者についての知見を交えながらカジュアルに書かれたエッセイといった趣。

2023.12
『月は無慈悲な夜の女王』
-Robert Asson Heinlein-

小さい頃から人並み以上には本を読んできたが、ジャンルを振り返ってみると、SFはあまり読んでこなかったことに気がついた。
そこでSFの名著に取り組む活動の第一弾。
月に人が住んでおり、そこで地球とは異なる規範に基づいた社会を形成されている、そんな世界の話。
ちょうど近年話題の対話型AIみたいなものも出てくるのだが、そんな小説が1960年代に存在してたなんて、という驚きがあった。

2023.12
『タイタンの妖女』
-Kurt Vonnegut Jr.-

SFの名著に取り組む活動の第二弾。
これはすごく好きな作品になった。
白石一文の恋愛小説とも、綾辻行人のミステリ小説とも、森見登美彦のファンタジー小説とも違う、いままでに味わったことのないベクトルの小説を読む楽しさを感じた。
SF2冊目でこんなことを言うのは尚早な感があるが、SFの面白さとはこういうことなのではないかと思った。

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