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迷子のハトぽっぽの話

2016年11月21日に別のSNSで書いたものを修正した記事です。

◎迷子のハトぽっぽの話◎
11月4日(金)の午前中、迷子のハトが中学校(当時の職場)に現れました。用務員のおじさん(正式には「校務技術員」さん)が見つけて、職員室にいた他の先生2人と見に行った。

足環をしていて、白と黒の羽でとても綺麗な子なのですが、あまり飛べない様子で弱っていました。わたしは近寄ってみたけど、手に乗せようとしたら逃げられた。(インコと違って手に乗らないらしい・・・)

「どうしようもない(ほっとこう)」と判断した先生たちは、仕事に戻ってしまった。

わたしだけ残ったのですが、しばらく眺めていたら足環に文字や数字・・・090が見えたので、写真に撮って拡大したら連絡先がなんとか読み取れた。ちょっと考えてから、こっそり自分の携帯で電話をかけることにしました。先生方はハトどころじゃない(関わりたくない)様子だったし、相談は誰にもしませんでした。個人的に電話したことは、事後報告。

調べてみると飼い主は福岡の方で、レース用のハトでした。

しばらくしてやっとつながった電話では「会社で飼っているハトで、保護出来たら(日通便で)送ってほしい」と、世話係だというおじさんに言われた。しかしインコじゃなくてハトを相手に、簡単に捕まえられるとは思えない。それに、ずっと学校にいるのかどうかが、わからないし。約束できないけど一応試みようと、捕まえ方を聞いたり調べたりしておきました。

週明け、学校に行ってみると、ハトはいました。

校舎のまわりを歩きまわり、地面をつついたり日向ぼっこしたりしている。それを仕事の合間に眺めつつ、どうやって保護するか考えた。

しかし、管理職から昼休みに呼び出され「病気を持っているかもしれないからハトにさわっちゃだめ」「学校としては何もしない方針だから、ほっといて」「だいたい保護して送ってこいとか無責任、自分で探しに来い(って飼い主に言っといてくれ)」等々と、釘をがっつり刺しこまれました。

ほっとけねーよ!
心の中ではいろいろ叫んだものの、面倒なので言うこと聞いた「フリ」をしておいた。でも実際に保護できる自信はなかったし、飼い主さんには迎えに来てもらうことも打診しつつ、何度か安否連絡のメールなどしていました。そして、こっそり米粒やインコのエサをばらまいていた。

さらに機会があれば(他の先生に見つからないところで)保護を試みるつもりで、段ボール箱と軍手と食べる物を車に積んでいました。が、こそこそとしか動けないのがもどかしくて。学校じゃなくて我が家に迷い込んでくれればよかったのに。自宅では、父が小さい頃に飼っていた鳩がいかに賢かったかという話を聞きました(そのころ鳩を飼うのが流行りだったらしい)。

学校滞在も1週間を超えた頃、ハトがいる風景が当たり前な感じが漂う(平和~*)体調が戻って来たらしく、だいぶ飛ぶようになりました。

用務員のおじさんと「今日もおるね」「屋根の上におった」ってな会話がまいにち続く。でも管理職にホウキで時々追い払われるハトが、かわいそうでした。寒い雨の日に玄関ポーチで雨宿りしている時なんか、特に。

ハトが来てから10日が過ぎ、15日(火)。雨。

ついに飼い主から「迎えのハトを1羽連れて行って放し、一緒に帰らせたい」との申し出が。(そんな作戦あるのね)

さっそく連絡を取り合い、来てもらう日のスケジュールを調整しはじめました。ところが翌日の朝、良い天気なのに、ハトを見なかった・・・。

空き時間にも外をぐるっと探し回ったけど、いない。結局一日中、ハトをまったく見かけない。「どっかいっちゃったでしょ」と用務員さんも言う。

飼い主さんに夕方に連絡を取り、翌日にしようかと言っていたハトのお迎えを見合わせることになりました。そのあと、19時半ごろ。今までと違う担当の人から電話がかかってきました。

なんと

その日の夕方に

ハトが

福岡の自分の小屋に

帰ってた!!

ああ、よかったです~って言いながら力が抜けて、涙がでてきてしまいました。たとえ学校からいなくなったとしても、無事かどうか心配だったのです。ハト事件の一部始終は家で話していたので、「ハト、ひとりで福岡に還って来たってーー!!」って母に話したら、母まで泣いてました。

体力が回復したところで、雨があがるのを待って、晴れた日の朝に出発したのだと思います。しかも、飼い主が迎えに来る決意をした翌日に。なんていい子なのだ。

心の中で勝手に「ぽっぽちゃん」と呼んでいたあの子。やっと落ち着いて眠れるし、ごはんも沢山食べられただろう・・・良かったね。

あれから何日かたち、学校にはもういないと分かっているのに、つい窓の外にハトの姿を探してしまいます。用務員のおじさんとだけは、その寂しさを共有できた。

そういえば、「このハトどうするんですか?」と唯一わたしに聞いてきた2年生の野球部男子にだけは、ハトが帰ったことを言っておこうと思い、今日の給食前に話しました(2016年11月21日)。

近くにいた子たちも、みんなびっくりした顔して「すげーー!!!」って嬉しそうに言っていて、「すごいよね!」って、わたしも正直に言えて、本当に本当に、嬉しかった。

給食の時間にハトの話題が交わされていたことで、ようやく「あのハトどうなったの?」と聞いてきた先生もいましたが・・・ハトに対して無関心あるいは冷たい態度の大人たちに、わたしは結構ダメージを受けていたので、こどもたちに救われました。めでたしめでたし。

ちなみに、レース用ハトの所属団体は「日本伝書鳩協会」と「日本鳩レース協会」の2つがあるようです。

迷いバトを見つけたらどうしたらよいか、ウェブサイトに書いてあります。レース途中で迷子になることが多いらしい。電磁波の影響で方向感覚が狂うんだそうです!!



あれから4か月後に職場を去ったわたしは、職員駐車場近辺で米やインコ用雑穀から発芽したかどうか確認しておりません。生えてもきっと用務員さんが綺麗に草刈りしてくれたのだろう。

この正面ショット・・・首の傾げ方といい目線といい、奇跡の1枚!!インコでも、こんなのめったに撮れない。狙ってないのがよかったのかなあ。ドバト(灰色っぽい野生のやつ)は正直いって好きじゃないけど、ぽっぽちゃんは可愛かった。
首をすくめて羽をふくらませているのは、弱っている(寒がっている)サインです。


野球部2年生の名は、ゆうだい。忘れないように書いとく!今もう21歳かな・・・

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