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日本の社会はどのように成り立っているのか | 「日本社会のしくみ」

社会学、というこの世で一番面白い学問をご存知だろうか。
先日知り合いから「この教授の本は面白いよ」と勧められた本を読んでいるので、読みながらまとめていきたいと思う。

本書で扱っているテーマは、「日本社会のしくみ」は、いつの時代に、どうやって形成されたのか。それは、他の国のしくみとは、どこがどう違うのか。

この本の序章では、日本経済新聞に「経団連、この恐るべき同質化集団」という見出しで書かれた記事を取り上げこのように述べている。


その内容は、経団連の正副会長19人の構成を調べたものだ。全員が日本人の男性で、最も若い人が62歳。起業や転職の経験者がゼロ。つまり、「年功序列や終身雇用、生え抜き主義といった日本の大企業システムの中にどっぷりとつかり、そこで成功してきた人たち」だとこの記事は報じている。
この記事は、19人のうち「会長以下1名がが東大卒。次いで一橋大が3名、京大、横浜国大、慶応大、早稲田大が各1名だった」とも述べている。京大をのぞいて、すべてが首都圏の大学卒業生ばかりであることも、この記事は問題だと指摘している。
ただし、卒業した大学名は詳細に記されているが、学部や専攻については何も述べていない。学校名は問題だが、何を学んだかは問題ではないのだ。


この記事を手始めに、日本社会を構成する原理を以下のように論じている。

①:まず、学歴が重要な指標となっている。ただし重要なのは学校名であり、何を学んだかではない

②:つぎに、年齢や勤続年数が、重要な指標となっている。ただしそれは、一つの企業での勤続年数であって、他の企業での職業経験は評価されない

③:その結果、都市と地方という対立が生じる。何を学んだかが重要なら、必ずしも首都圏の有名大学である必要はない。

④:そして、女性と外国人が不利になる。女性は結婚と出産で、勤続年数を中断されがちだ。また他国企業での職業経験が評価されないなら、外国人は入りにくい。

なぜ長年に渡って多くの問題が叫ばれている中で改革が進まないのか。
そもそもこの構造はどのように生み出されたのか。

本書では、このような労働市場は大企業の雇用慣行によって生まれたと論じられている。
大企業の雇用慣行、つまり「終身雇用で賃金が上がっていくこと」を前提とし、広域的に人を集める企業は「終身雇用で賃金が上がっていくこと」と「地元で暮らすこと」の二者択一を生みやすい。
こういった「企業」と「地域」という類型が、日本社会の構造を規定している。

反して、欧米の雇用慣行では「企業」と「地域」は対立しない。
企業の規模より職種、いわゆる工員なのか事務職なのかの方が、収入の決定要因としては重要だからである。
日本のような大企業社員であればどんな職種でも構わないという社会に置いてのみ、このような仕組みが成り立つ。

日本と世界のこのような違いは、どのように生まれたのか?ということに関してはまた次回。

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