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天才が語るプロセッサ・オペレーティングの歴史と未来を覗ける本

 元MicrosoftエンジニアでWindows95, 98やInternet Explorerの開発に携わられた中島聡氏による著書。OS黎明期から現代に至るまで、MicroSoftエンジニアの視点からIT・経済戦争を客観的に分析されています。

結論

「ITの通説から大きく変革していく」

PCの歴史を辿っていくと、どうしても寡占状態の企業が存在します。
「CPU → Intel」「OS → MicroSoft」
独禁法もあるので当然一強ではなく、ライバル企業も存在はしますが、ビジネスシーンでは上記の企業が独占傾向にあります。
しかし半導体不足の混沌社会の中で、これからはAppleTeslaを中心とした自社製チップ開発に名乗りを挙げた企業が、大きく成長を遂げるのでは、と見られているようです。

要点

・Win95などマルチタスクOSの開発で成功したのは「大人数・会議あり・投資莫大」より「少数精鋭・強強エンジニア」だった。

・AppleはiPhoneという莫大な市場を持つ企業は開発費を回収しやすく、電力あたりの性能最強であるM1やM2チップを導入した魅力的なハード端末を安く売り、コンテンツやソフトで莫大な収益を上げる可能性が高い。

・チップ確保からソフト設計する自動車企業と違い、チップ開発と連動してソフト開発が可能なTeslaはスピード感・先進性においても随一。

今後は自動運転市場やIoT市場の拡大から、消費電力あたりの性能が求められる。性能と汎用性でバランスが良いFPGAに投資する半導体企業が目立つ。

感想

Windows95の開発エピソードだけでなく、現状のIT時事を技術目線だけでなく、経済・ビジネス・IT史の観点から自論を展開されていたので、幅広いITの知識(ハードもソフトも)と経済/ビジネスモデルなどをつなぎ合わせたい方や90年代のOS戦争について知りたい方にはおすすめ。

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