《 その人らしい表情 》 を撮る! 〜ポートレート撮影のコミュニケーション〜
「それでは撮りまーす! 笑って笑って! ハイ、チーズ!!」
記念写真を撮る時の掛け声といえばこんな感じですよね?
よくある声掛けで王道なのが「笑ってくださーい!」ではないでしょうか。
笑顔っていいですよね。老若男女問わず、誰かの笑顔を見ているとこちらも楽しくなってきますし、写真に残すならやっぱり笑顔がいい。
一方で、ここ3ヶ月ほど、オンラインの写真学校でポートレート撮影を学んでいたんですが、講師である写真家・鈴木心さんからは最初にこう言われました。
「カメラ見て笑って下さい」は絶対に言ってはダメ!
えっ!? 「笑ってください」を言わずにどうやって笑顔を撮るの??
どうしたら《 その人らしい表情 》を引き出すことができるのか!?
被写体の方々と向き合う3ヶ月がここから始まりました。
ポートレート撮影のコミュニケーション
実際の写真学校では機材の選定から、照明のセッティングまで技術面を細かくサポートしてくれるんですが、この記事ではあえて割愛して、ポートレート撮影におけるコミュニケーションにのみフォーカスして進めていきます。
まずは1ヶ月ほど、自宅でセルフポートレートや家族写真を練習しました。
目指すのは、見た人が「自然に表情に目が行く写真」です。
その後、近所にある公民館に全ての撮影機材を運んで、最初の“お客さま”として、知人夫妻をお迎えして撮らせてもらうことになりました。
それがこちらです。
元来ポジティブなエネルギーを持ったステキな2人なので、最初としてはめちゃくちゃやりやすかったです。やっぱり笑顔がいいですよねー。
一方で、いろんな声がけをしているうちに、笑顔ではないユニークな表情も撮れるようになっていきます。
彼は芸人でも何でもないんですが、元々持っているひょうきんな面や、サービス精神旺盛なところが見える写真ですよね笑
この経験から、いい表情=笑顔ではなく、
いい表情とは、《 その人らしい表情 》
と認識するようになりました。
《 その人らしい表情 》 を引き出すには!?
それでは、どういった声がけをしたら《 その人らしい表情 》が引き出せるでしょうか?
僕もいつまでもうんこの話ばかりしているわけにはいかないので笑、被写体に合わせていろんな声がけを工夫してみました。
他にも「役所広司ゲーム」※ など、受講生の仲間たちと共有しているコミュニケーションのテクニックがたくさんありまして、被写体に合わせて使ってみて、その人らしい表情に迫りました。
そして、スタジオ写真の課題を終えたら、今度は屋外で撮影するロケ写真になります。スタジオ写真のように、背景がシンプルで表情に目が行くような写真を撮るという課題なので、公園だったら木々か空がバックになると思いますが、もっといい方法はないかな?と悩んだ末に撮った写真がこちらです!
はい。芝生エリアがある公園だったので、芝生バックにしてみました。
ただ、そんなに広い敷地でもないので角度をつけないと背景にならないんです。
そこで、
僕自身がジャングルジムに上っちゃいまして、上から撮ってみました。
想像してほしいんですけど、子どもたちがたくさんいるジャングルジムの一番上にカメラマンがいて、撮りますよー!って手を振っていたら、それだけでちょっと笑っちゃいますよね。
そんな工夫もあって、ステキな表情が撮れたなーと思います。
無事に卒業!
そんなわけで、3ヶ月のプログラムを無事に完走することができました。
部屋の構造上、自宅で2ショット以上が撮れなくて、基本的には公民館のスペースを借りていたんですが、それが毎回大変なんです。。
仕事の都合も重なって、続けるのをあきらめかけた時もあったんですが、それでも周囲の皆さんのおかげで最後を迎えることができて、本当によかったなーという安堵感が一番大きかったです。
肝心の写真の講評は、あのー、すごく手前味噌で恐縮なんですが、身に余るご評価をいただいたので紹介させてください。
いやー、めちゃくちゃ嬉しいですよね。
自分だけでなく、被写体の方々と一緒に作ったものが評価されて、がんばって良かったと思いました。
そして、僕がこれからも写真を撮り続けたら、そんな風に思ってくれる人が増えるってことじゃないですか!
元気が湧いてくる写真を撮っていくぞ!と決意を新たにしました。
なぜコミュニケーションを褒めていただけるのか?
褒められついでにあえて調子に乗ってみたいんですが、僕は人とのコミュニケーションが得意な方だろうという自覚があります。
例えば、テレビの情報番組でディレクターをやっていた時代に、事件事故取材で何度かスクープをいただいたことがあるんですけど、取れた理由は全て“現場にたまたまいた一般の人”のおかげ。
例えば、実家に潜伏している元議員の取材をしているときに、隣に住んでいるおばあさんと仲良くなって、出入りの情報を逐一教えてもらっていたり。
各社の記者・ディレクターがたくさんいる事件現場で中継をお手伝いしていたら、ご近所の奥様が僕のところに来て「私、犯人知っているんです」とボソッと一言。そのままスクープに繋がったこともありました。(しばらくマダムキラーと呼ばれました)
初対面の方に「ちょっとうちでご飯でも食べていきなよ」と誘われたこと数知れず(遠慮なく食べます)
立ち話していて盛り上がって、気づいたらその方の茶室で抹茶飲んでいたこともありました。何なんだこのスキルは笑
思い返してみると、今回の写真撮影でも普段の映像制作でもそうなんですけど、心のどこかで一貫している思いがありまして、それは
「まぁ、日本語通じるなら何とかなるでしょ」
というもの。
そう思うに至ったには理由がありまして…。
時計の針は、僕がまだ24歳だった頃に遡ります。
言葉が通じなくても写真は撮れる in チベット
まだ若かりし頃、中国(特にチベット自治区)が好きで写真撮影のために何度か通っていました。
当時はまだテレビカメラマンになる前のアシスタントで、仕事では撮影できないフラストレーションを何とか写真で解消していたように思います。
なので旅行に行くというよりは、いい写真を撮るんだ!という思いが強くありました。
中でも忘れられない写真がありまして、それがこちら。
チベットの少年僧たちを撮らせてもらった写真です。
カメラは中判フィルム(PENTAX67)でした。
でもこれ、どうやってコミュニケーション取ったんだっけな?と思い出してみたんです。貧乏だからガイドさんを雇うこともできないし、チベット語はおろか中国語すら話せない旅行者が、この写真を撮るのって難しそうですよね。
そんなわけで、当時の日記を引っ張り出してきましたー!
あらやだ!恥ずかしい!!
言葉が分からないなら、お経(歌に近い)と「ありがとう」だけ覚えて笑顔で近づく作戦らしい。肝が据わっとる笑
あとはイラストもありました。誰かに教わったのか覚えていないけど、しゃべれないなら絵でも勝負してみようという作戦だったんだと思います。
そんなこんなで、写真を撮るために何とかもがいていた青年の記録をもう少し続けますので、生あたたかい目でぜひご覧ください笑
以上、「まぁ、日本語通じるなら何とかなるでしょ」と思うに至ったチベットの思い出でした。
全く言葉が通じないのに、どうして相手が「昨日アムドからラサに来たばかりなんだよね」って言っていると分かるのかマジで謎。
とにかく未熟で何もなくて、それでも何者かになりたくて、必死だったんだろうと思います。まぁ、20代なんてそんなもんですよね。
#月曜日に会いたい人をふやす
だいぶ脱線しましたが、最初の問いである「どうしたら《 その人らしい表情 》を引き出すことができるのか!?」に戻ってみます。
24歳のつぼけん青年は「笑顔でいること」と書いているけど、それもきっと正解で、相手の笑顔を引き出したかったら撮影者も笑顔でいることって大切だなと思うんです。
その上で、ポートレートと向き合ったこの3ヶ月を振り返ると、いろんなテクニックはあれど、一番は「今の表情いいね!」と素直にお伝えすることかもしれませんね。
表情を“引き出す”とは言うけど、本当に二人三脚で一緒に作っているような感じがして、とても楽しい時間でした。
あくまでもフラットに、決めつけず、目の前にいる方との共同作業を楽しむ姿勢でいたいなと改めて思います。
そんなスキルを得た3ヶ月ですが、講師の鈴木心さん、写真学校の山田友佳里さん、ティーチングアシスタントの田島ふみえさん、そして一緒に受講した同期のみなさんには大変お世話になりました。
など、写真撮影を通じて成長したいという方にとっては、きっと掛け替えのない3ヶ月になると思います。オススメです。
↓ リンクはこちらです ↓
あとは、このスキルをどう生かすか?が大切ですよね。
チベットで得たスキルがディレクターとしてスクープを取ることや、ポートレート撮影のコミュニケーションに繋がったように、次のステージに生かしたいと思っています。
いま僕が何を目指しているかはこちらにまとめてあります。合わせて読んでいただけると嬉しいです。
↓
今後も元気が湧いてくる写真で、日常をほんのちょっと豊かにする活動を続けていきます。
次のチャレンジは「#月曜日に会いたい人展」と題した写真のワークショップ。
夏休み期間中に、初対面の子どもたちと写真展を作っちゃう予定です。
次も楽しみ!
また報告します📸
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?