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0731 あたたかいアイス

サーティワンアイスが食べたくなった。でも、いま歩いて買いに行けるほど、近くにはない。
なかでもホッピングシャワーと、ロッキーロードが大好き。パチパチはじけるキャンディが入ったアイスに、マシュマロが入ったアイス(もう一度言うけど、アイスにマシュマロが入っているなんて!)は、夢が溢れている。

サーティワンアイスを認識したのは、高校生の頃だったと思う。
当時、少し都会の高校に通っていた私。サーティワンアイスは駅ビルに入っていた。1つ400円ほどするアイスは、貧乏学生からしたら高級品だったから、親と一緒の時に「今日、せっかくだからサーティワン食べない?」なんてテンションでワクワクしながら食べるものだった。

クリスマスには、学校帰りにアイスケーキを買って、家族みんなで食べるのが年に一度の楽しみだった。

それこそ、小さい時は家にお金がなくて、楽しみにしていたサンタクロースからのプレゼントは、お菓子の入った長靴(あの、スーパーに並んでるやつ)だった年もある。
これだけなはずない、と思った私は、「長靴の中におもちゃが隠れてるかもしれない」と言って、中のお菓子を全部出したけど、長靴の中は空っぽだった。
幼いながらにショックを受けつつ、泣きそうになるのをこらえて、喜ぶふりをしたことを覚えている。そして、それが喜ぶ"ふり"だったことは、もちろん母親も見抜いていたようだ。

そこから数年して、私が高校生になり、少しは家計に余裕が出ていたかもしれないが、定期券やら学校に必要なお金やらで出費も嵩んでいたはずだから、やっぱりサーティワンアイスは我が家にとって高級品だったのだ。

いつからだろうか。サーティワンアイスを、躊躇いなく買えるようになったのは。

大学生になった私は、奨学金で学費をまかない、生活費はバイトで稼いでいた。
全然裕福ではなかったけれど、それでも一月あたりバイトで稼いだ6万円程を自分のために使えるという状況に、不自由を感じたことはなかった。
東京であちこちにサーティワンアイスがあって、サークルの友達とだとか、デートだとか、家族が上京してきた時だとか、食べたい時に、バイトで稼いだお金で食べていた。そんな生活ができるようになったことが、ちょっと誇らしかった。

社会人になり、奨学金を返済しながらでも、余裕のある生活ができるようになった。結婚もして、ありがたいことに、さらに余裕が出てきた。

アイスを食べたいと思えば、サーティワンアイスではなく、自転車で海外からやってきたアイス屋さんへ行き。1つ600円近くするアイスを3つ買って、夫と子供と分け合って食べる。そんなことに、抵抗がなくなっている。

我が子は、サーティワンアイスを食べたことがない。

きっといつか、サーティワンアイスに出会ったら。
中にパチパチキャンディが入っていたり、マシュマロが入っていたり、チーズケーキが入っていたりするような夢のアイスに、感激するだろうか。

サーティワンアイスを買うことに、今はなんの躊躇いもない。距離の弊害もないし、もっと珍しくて値段の高いアイスも溢れている。自分でアイスが買いに行ける年になったら、お友達同士で、そんなアイスを食べに行くかもしれない。

それでも、きっといつか、一緒にサーティワンアイスを食べる時に。こんな思い出の話をしてあげよう。

それはサーティワンアイスではないかもしれないけれど、同じようにワクワクするような小さなイベントを作ってあげたいし、思い出した時に心がポカポカするような、そんな出来事を作ってあげられたらなと思う。

#アイス #真夏日 #サーティワンアイス #思い出 #ワーママ



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