見出し画像

映画「ロミオとジュリエット」フランコ・ゼフィレッリ監督,1968年

不朽の名作、フランコ・ゼフィレッリ監督の「ロミオとジュリエット」を観ました。

1.バルコニー

有名な、バルコニーにたたずむジュリエット。その下にロミオがやってきてジュリエットを見上げる、というシーン。

脚本家の北川悦吏子さんはこのシーンの男女を逆転させて、「ロングバケーション」にて山口智子がキムタクを見上げるシーンや、「半分、青い」にて永野芽郁が佐藤健を見上げるシーンを作ったという。

画像1

人物の位置が上下にずれていることで、2人の視線は決して自然にはかみ合わない。まだ結ばれていない男女の隔たりが目に見える距離として現れ、それを乗り越えようと2人は首を曲げて上を見上げたり、バルコニーから身を乗り出したりする。

セリフではなく立ち位置で人物の関係性を物語る、素晴らしい表現。

2.脚本

ロミオとジュリエットがパーティーの場で出会ってから、手を握り、キスして、部屋におしかけ、結婚式を挙げるまでの展開は非常に早い。
けれど、その駆け上がっていく早さが、観る人に2人の愛の鋭さを理解させる。

先ほど「ロングバケーション」の脚本家、北川悦吏子氏に触れたが、愛し合う2人の、歯が浮くようなセリフの応酬はまさにトレンディドラマ。
「また明日ね」って言って別れたのに戻ってきて、また会話が始まる感じって「東京ラブストーリー」とかにもありましたよね。

そして、天にも昇るような気分で138分の映画のちょうど真ん中に入るインターミッション。そしてインターミッション明けにロミオがティボルトを殺してしまい、転落していく。
天国から地獄への急降下は、シナリオ論で言われる「ミッドポイント」をしっかりとふまえている。

3.ラストシーン

争い合うキャプレット家とモンタギュー家。
両家の服装はハッキリと違っていて、一目見てどちらの家の人物なのかが分かる。しかし最後、ロミオとジュリエットが悲劇的な死を遂げたのちの葬式のシーンでは、一同が一様に黒い喪服に身を包み、一体となって悲しみに暮れる。「2人の死によって争いの愚かさに気づく両家」という劇全体のストーリーを反映している。

そして、この葬式のシーンは一番最後の2カット含めて基本的に左右対称。両家の調和が服装とカメラワークで表現されておしまいおしまい。


高校の頃に使っていた世界史の図説に、この映画のことが載っていたなと思い出し。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?