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そこに住む人たち

このドキュメンタリーを見た。
「ハンブルグの最もカラフルな通り」

フォーカスされているのはシュタインダム(Steindamm)どいうハンブルグの駅の裏の通りで、売春婦、アル中、薬中、犯罪率も高い、まぁ何でもありな場所だ。この番組ではそこで生きている人たち何人かにフォーカスして、それぞれの暮らしを見せている。夜には近寄りたくないような通りなのだが、ここで暮らす人たちの生き生きとした姿を見て、なにかポジティブな気持ちになったから不思議だ。

 出てくる人達はみんな街をよくしようと努力していた。トルコ人のレストランのオーナーは店の前のちいさな場所にお花を植えて、毎日そのあたりを子供と一緒に掃除する。クルド人のケバブ屋の主人はまずはこの場所に合わせてみて馴染んだら、この社会のメリットを享受できる、子供たちには勉強してほしい、と話していた。町のおまわりさんはいかれた酔っ払いに、おいおい、いい加減にしろよ、と注意しながら、彼、昔はもうちょっとマシだったんだ、と肩をすくめる。社会福祉士の女性たちは、売春婦に飲み物やチョコレート、ローションなどを配りながら、彼女たちにとって手の届く助けであろうとコミュニケーションを図る。カメラの前に現れた人達はシュタインダムが好きなんだなぁ、と思わせる何かがあった。ここは色々起こる場所だ、と語りながらも生き生きとして笑っているのだ。
 どんな場所にもそこが故郷の人がいる。ここは自分の町なのだ、と思う人がいる。町をよくしていくのはそういう人達だ。パトリオティズムは悪ではない。

 移民について語るとき、誰がその場所で暮らすべきで、誰が違うのか、国籍なのか、宗教なのか、納税額なのか、色々考えてしまうが、このドキュメンタリーをみて、その場所を愛している人、そこが美しく平和であってほしい、と願っている人たちがいればいつかよくなっていくのじゃないか、という気持ちになった。


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