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FAO(国連食糧農業機関)のウェビナーに参加

先日、FAO(アメリカ)に勤務する知人からウェビナーの招待を頂きました。スマート農業の最先端を行く中国事情がテーマとの事なので大変興味深く、すぐに申込みました。

FAOチャイナが主催で中国農業大学、上海交通大学などの教育機関、HortiPolarisなどが後援し、若い博士が発表する活気のある会議でした。

AIによる環境制御で完全自動化がどこまで進んでいるのか、どのようなセンサーやアクチュエーターを使っているのか情報を得たかったのですが、具体論ではなく大枠の話だったので若干当てが外れました。しかし、AI技術の発達した中国でさえAIには全面的に依存せず、最後の決断は人間が行っていることが分かったのは大きな収穫でした。

センサー(特殊なものではなく、日本でも広く使用されている類)で葉面温度、EC、ph、内外気象などを計測、取得したデータを比較・選別し、収穫への影響度と関連づけるストーリー作りはAIが担当します。
人間は、AIが決断を下した内容が他の事物(農業に限らず)との連想において合理的であるのかを考え、センサーの不調によってそもそも異常値は無いか、などの推論を行い、最終のアウトプットにむけて総合的な判断をおこなっているとの事でした。

AIがアルゴリズムを作り上げる過程で、高収益をもたらすものは「勝利(victory)」、高品質につながるものは「褒美(reward)」、光熱消費等が増えてしまうものは「罰(punishment)」と定義し、勝利に向けた最短な道筋を導き出しながらもそのまま実行せず、人間が行う作物管理(剪定など)に伴うレイバーコストと増収効果などの判断は、経験に基づく人間の知恵が優先して行う、という設計思想は大変興味深かったです。
藤原和博さんが『生きる力の逆三角形』でおっしゃっていた≪AIやロボットが得意な正解を導く力(情報処理力)では不十分で、経験の掛け算により導かれる「納得解」、すなわち人間にしか出来ない「情報編集力」というものが非常に重要だ。≫という話がここでも通底するなあ、と思いました。

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