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なぜ逆張りデッキは勝てないのか

長く続いた群雄割拠時代(結論デッキみたいなのはあったけど)も終わり、どこのcsを見てもスプライトばかりとなった世はまさに大スプライト時代。
構築がほぼ固定化され、誰の構築を見ても大して変わらないのと、ミラーでもプレイングなんて存在しないと言われる上に先攻ゲー加減がヤバすぎる事から面白くないと評される環境になった。

こういった環境の時によく見られるのが「スプライトばかりならスプライトをメタったデッキを使えば勝てるんじゃね?」という所謂"逆張り"である。

確かにエルドリッチとかそういう効果的面なメタカードをガチガチに詰めたデッキとかであれば勝てそうに見えるのもわかる。

が、実際はそれほど勝ててないのが現実である。

「いやいやcsとかの結果見るとスプライト以外も勝っとるやんけ」と思うかもしれないが、結局全体的な入賞率で考えると比にならない。

実際、先日行われた日本選手権のエリア代表は結果が判明している14地域のうち、13地域がスプライトと逆張り勢を悉く薙ぎ倒す結果となった。

今回は何故逆張りデッキはメタりにメタっても思うように結果を残せてないのか。それを自分なりに分析していく。私個人の尺度で測ったものなのでその評価おかしくないかというものはある程度多めに見て欲しい。

この考察では、この記事を書き始めた時点でのメタゲームの筆頭スプライトと、その逆張りデッキとしてそれなりの入賞数が見られる(主観)エルドティアラシスター辺りを中心として考察する。
なお、ティアラメンツはこの記事を書き始めた時点でメジャーな烙印ティアラメンツを中心に考察する。(最近はイシズティアラメンツという型も台頭してきているが、私含めまだ色々な人が評価や構築、メタカードについて研究段階だと思うのでここでは触れないことにする)

こう言う記事を書くと環境トップに対するポジキャンや環境トップ以外に対するネガキャンみたいになるので予め書いておくが、この記事では特定のデッキ及びそれを使う人を批判する意図はない。
あくまで「環境トップとそれ以外との差は何なのか」「如何に環境トップがおかしいか」そう言った視点で読み進めてほしい。

1.安定性

だいたいがこれで片付いてしまう気がするが重要な要因の一つなので掘り下げていく。

ここでいう安定性というのは「事故りにくさ」もあるが、「妨害の用意しやすさ」や「ゲームプランの組み立て方」なども含まれる。

事故りにくさ

スプライト
スプライトは知っての通り「事故りにくさ」という面では安定したデッキである。
ディーヴァやスターターと言った1枚初動に加え、増殖するGすら展開のパーツとして利用してしまう様は今までの展開系を見ても異様である。(一応誘発召喚→アルミラージ→神樹のパラディオンという使い方はあったが、そこから指名者以外の誘発貫通なんてしてこないし、スプライトは展開の途中で鬼ガエルを出して増Gを回収できる点も考えるとやはり異質なものがある)

今回逆張りデッキとして比較対象としたデッキも「事故りにくさ」という面で見れば合格点だろう。

ティアラメンツ
ティアラメンツは妨害にたどり着くことができる1枚初動の枚数で言えば今環境トップクラスである。テーマカードであるレイノハートやペルレイノ、出張ギミックの烙印融合やアルベル等、汎用のテラフォ増援派兵辺り等、入れようと思えば相当数入れることができる。

エクソシスター
シスターもマルファとパークスで1枚初動が6枚、ステラorエリス+シスターやシスター+アーメント、バディス+リタニアなどで妨害作れる事を考えると他の比較対象ほどではないが安定していると言えるだろう。

エルドリッチ
エルドは攻めや妨害の起点となるエルドリッチにアクセスするという点においては安定している。紅が少なくなったとは言え、「時間を稼げばいつかエルドに到達する」という点を考えれば、他のデッキとは違った安定性がある。

先程も書いたが「事故りにくさ」という面で考えればこの4テーマは(ベクトル的にも)差こそあれど合格点といって差し支えないだろう。

初手等に起因する妨害の質のムラ

しかし、各デッキには妨害を用意する上で初手の引きによるムラが発生する。その視点で見ればどうだろうか。

ここでは妨害が飛んで来ない前提で先攻の盤面を作る事を想定する。

スプライト
知っての通りスプライトは1枚初動から餅+レッドによる万能妨害2回または万能妨害1回+リソースという盤面に持っていくことが可能である。
そこにブルーやジェットなどが加わることで更なる妨害や誘発ケアを行うことができる。

ここで注目してほしいのはほとんどのパターンで動いた場合の終着点が餅+エルフで固定されており、そこにさらに展開札が増えるとレッドやスマッシャーズなどが追加されるという点だ。
最低限の展開からできる基本的な盤面+追加カードで更なる妨害を構えることができる。

これを踏まえた上で逆張り側の先攻展開を考える。

ティアラメンツ
まずはティアラメンツの1枚初動(手札コストがあるものも含む)で考えてみる。テーマカードのレイノハートかそれをサーチできるカードを引いた場合、安定して用意できる盤面はキトカロス+ティアラメンツ罠である。
烙印融合しか引かなかった場合はどうだろうか。この場合はミラジェイドかスタペリアを立てるだけで終わってしまう。烙印融合でティアラメンツを落としても場と墓地に用意できるのはアルバス+ティアラメンツ+ルベリオンのみであり、他のカードを合わせ引きしとかないとティアラメンツの融合は望めない。
つまり、1枚初動がたくさんあると言っても、引いたカードによって妨害の質が変わってしまうのだ。
複数の手札を使う場合はどうだろうか。これも用意できる盤面に違いが出る。
大まかに分けると「烙印融合が絡む場合」と「烙印融合が絡まない場合」だ。

烙印融合が絡む場合はルベリオンから出てくるミラジェイドorスタペリア+キトカロス+ティアラメンツ罠を中心に盤面が形成される。烙印融合からシャドールを落とせばミドラーシュの成立を現実的に狙うこともできる。烙印融合が絡むと盤面が横に広がるだけでなく、ある程度妨害の質を選択することが可能になる。

対して烙印融合が絡まない場合、つまりティアラメンツやその他汎用カードばかりの場合はレイノハートや他ティアラメンツと合わせ引きしたシェイレーン以外はどうしてもトップの3〜5枚に依存する場面が発生する。なのでテーマ内の動きをしているだけなのに不確定要素が発生してしまう。シャドールと効果を発動していないティアラメンツが落ちていつもの盤面にミドラーシュを追加できる場合もあれば、誘発3枚が落ちていつもの盤面で返す場合もある。

「安定した部分だけでも十分強いが、盤面を強くしたければどうしても運に頼らなければいけない場面がある」というのがこのデッキの難しいところであろう。

エクソシスター
シスターは先攻展開での妨害の用意の仕方で見ればどちらかと言うとスプライトに近いタイプである。1枚初動もしくはレベル4×2となる手札で用意できる基本盤面がリソースとなるミカエリス+妨害のリタニアであり、そこにさらにシスターを引けているとマニフィカ+リタニアと言った前と後ろの妨害+(ミカエリスなどに変身し直すことが前提であるが)リソースになる。
若干の違いはあるがこの点に関してはシスターはスプライトに近いものがあると言ってもいいだろう。

エルドリッチ
エルドは初手の引きムラに関して言えば上記3テーマと比較するとかなり顕著である。
そもそも最近のエルドには先攻で妨害を用意するための行動が自分のエルドランドにエルドリクシルなどを捨てながらエルドリッチの効果をぶつけるくらいしかない。
つまり、ほとんどの場合が初手5枚の中で妨害効果を持つカードを引いた分しか妨害として数えられないのだ。
罠ビだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、他のデッキが複数の手札のパターンから安定した妨害を用意する中、こういう罠ビ系のデッキは初手に妨害系のカードを引いた分だけしか妨害できない。

極端な考え方をすれば、スプライトを例に出すと妨害を度外視する前提ではあるが、ディーヴァだろうがスターターだろうがレベル2が2枚揃うパターン=餅+エルフなのだ。つまり、レベル2が2枚揃うパターンになれる分だけ餅+エルフを採用しているようなものである。対して罠ビは壺などの存在により多少話は変わるものの、スキドレの役割を持つものはスキドレそのものしかない。
だからこそ割拠やサモリミといった極端な永続罠をいろいろ積むのだが、それはそれで対面によっては全く効かなかったり、2枚目以降を引いたら次のターンのリソースにもならないと悩ましいハンドを産む原因となる。

エルド系のカードしか引かなかった場合は手数で押し切られることもあるし、汎用しか引かなかった場合は壁を用意できずビートダウンだけで負ける場合もある。
本来強力な永続を引いてもそういった時に限ってそのカードが全く刺さらない相手で負けてしまう場合もあるだろう。
そういった"手札事故"とは違う極端な負け方をし得るのが罠ビ系のデッキなのだ。


こう見るとスプライトと逆張り側で差ができる部分があった。こういったムラがある部分というのは勝ち続けなければいけない状況において勝ちに貢献することもあれば致命的に作用することがある。
1度の負けを許されない日本選手権のような公式大会や、6回以上マッチをするcsのようなものであれば、そう言った要素が1度ないし複数回作用して敗退を決する事は大いにあるだろう。

ゲームプランの立てやすさ

ここでいうゲームプランとはどのような盤面になるかを想定しながら展開・選択・捲りなどを行う事を指している。
誘発ケアのしやすさや扱いやすさ、状況や相手に依存する要素が無いかなどが判断材料になる。

スプライト
スプライトは誘発を貰わない前提であれば最終盤面は大体同じ感じ(餅エルフ+α)になる上に誘発ケアの仕方も簡単なのでプレイミスを引き起こしにくく、プランを立てやすい。
先攻はとりあえず餅に行けばいいのだから初心者でも展開方法を覚えてしまえば使いやすい部類だろう。
妨害の質も発動無効を基盤とし、そこに効果無効・対象取らない除外と追加される形なので安定した戦い方ができる。
後攻もアーゼウスを通す事を第一とし、最後にスターターを発動する事を考えれば捲れるかどうかはともかく解りやすいだろう。

逆張り側はどうだろうか。

ティアラメンツ
ティアラメンツは先程のムラがある事同様、ゲームプランを立てる上ではかなり難しいものがある。
最初は「こういうルートで行こう」と思ってもシェイレーンやキトカロスの墓地肥やしの結果次第でいきなりプランが変わってしまうのだ。
これは先攻だろうが後攻だろうが同じである。
こういった常に変化するゲームプランの中でプレイヤーは最適解と思われる物を選択しなければならない。
「この状況ならスタペリア」「勝ち筋を辿るならキトカロス」「欲張ってミドラーシュにならずにドロゴンでスレイをケアして堅実に戦う」など状況によって選択することになるが、この選択次第で勝敗をわかつ事がある。

こういった上振れ要素や良くも悪くも広い選択肢というのはプレイヤーのミスを引き起こす事がある。(もちろん、確率的には正しいことをしたものの、結果論として負けることもある)
「普通に最初に考えてたプランでよかったのに選択肢が広がる落ち方をしたせいで本来ケアできたものをケアできないプランを取ってしまい負けた」とかよく聞く話である。

また、この墓地肥やし要素は相手のゲームプランを簡単にしてしまう場合がある。

例えばシェイレーンやキトカロスが発動して墓地が肥やされ、墓穴の指名者が2枚落ちたら対面のプレイヤーはどう考えるだろうか。
少なくとも何らかの方法で墓地からデッキや手札に回収されない限りは墓穴を警戒したプレイをしなくていいのだ。
これで有効なカードが落ちなければただ相手に情報アドバンテージを与えただけである。

最大値が大きいものの、自分だけでなく相手にもアドバンテージを与えかねない不確定要素がこのデッキのゲームプランの構築を難しくしている。その結果、この不確定要素がプレイミスや相手の思い切った行動を誘発し、敗因となる可能性は否めない。

エクソシスター
シスターは妨害のムラに関してはスプライトと似ているという話をした。実際、先攻はリタニアをサーチし、可能ならマニフィカまで繋げ、後攻はアーゼウスを考慮しつつミカエリスの除外なども駆使して捲っていくというのはゲームプランを作る上では分かりやすい。

しかしこのデッキはゲームプランを大きく揺るがす要素が存在する。
「墓地のカードが相手によって離れた場合にエクシーズ召喚する効果(以下、共通効果)」だ。

これはどちらかと言うとゲームプランを組み立てやすくする要素ではあるが、相性や相手の理解度がモロに出る要素である。

例えばティアラメンツが相手であれば、勝つためにはどうしても墓地をデッキに戻す必要があるため、バディスやパークスといったリターンが大きいカードを通しやすい。このような場合、基礎的な動きにプラスしてアドバンテージを取りやすくなってるのだからゲームプランを立てやすくなったと言える。

逆に墓地に全く触らないメタビートなどと対戦する時は共通効果などアテにならないのでシスターの地力で戦うしか無い。大会環境でシスターを持っていく以上、共通効果を使えなくても勝てるような構築・工夫がなされているだろうが、やはり共通効果によるアドバンテージが見込めない状況では、リソース管理などがシビアになるしアドバンテージ差を付けられてしまうと取り返すのが難しくなる。

共通効果を使えなくても勝てるような構築・工夫がされていると書いたが、こういうデッキはある程度共通効果を通しやすい事を前提として選択されている節もあるので、リソース管理やアドバンテージ面で神経質にならなくては行けない以上ある意味マイナスだろう。

では「そこそこ墓地も触るが、触らなくてもある程度戦えるデッキ」の場合はどうだろうか。

例としてスプライトを考える。墓地を触るのはエルフ、粋カエルなどがあるが、別に使わずともシスターの盤面を捲りにいくくらいならある程度のことはできる。

ここで重要になってくるのが相手の理解度だ。
相手がシスターの共通効果などを理解しておらず、不用意にエルフや粋カエルなどを使ってくれるなら鴨がネギ背負ってやってきたようなものなのでエクシーズ体の効果をぶつけてアドバンテージ差をつけてやればいいが、反対に相手がシスターの共通効果や相手ターン中にシスターを場に出すカードについて理解しており、ケアを徹底してくるならゲームプランの組み立ては一気に難易度が上がる。

相手の展開に対応しながらどのように墓地を触らなくてはいけない状況を作り出し、共通効果を通すかを考えなくてはならないのだ。

明確に共通効果を使える相手・使えない相手というのはその効果を意識しなくても勝手にゲームが進んでいくが、共通効果を使えるかもしれない相手というのはゲーム中に意識することが増えてしまう。
この環境ではギガンティックが共通効果をケアしてしまうことも相まって余計難しい立ち回りを強いられている。

特にスプライトの様な手数の多いデッキ相手ならば、共通効果を通さないと厳しいという状況は頻発するだろう。
共通効果を使える状況を作るための妨害の撃ち方も考えなければならない場面がやって来るので、その場面になった時に的確に立ち回れる様にしなければならない。

こう言った時にプレミを起こしやすい。


エルドリッチ
引いたカードによってゲームプランは決まるといっていいので、逆張りの中では上記2つよりもゲームプランが立てやすいだろう。
理想は永続を張りながらエルドリッチを場に出しつつ、最終的にカウンターをセットし、詰み状況を作る。
初手が微妙なら壁を立てたりしながら上の理想状況になるまで耐える。
強脱や激流といった使い切りの妨害の撃ち方を覚えたりする必要はあるが、使い切りの妨害の撃ち方ならだいたいどのデッキも覚えなければいけないので大きな差はないだろう。

正直言ってゲームプランに則って立ち回るだけならスプライトより簡単であろう。


安定性に関する総括

この記事では「事故りにくさ」「引きムラ」「ゲームプランの立てやすさ」に注目して考察した。

環境デッキなのでやはり「事故りにくさ」という面に関してはどれも遜色ないように思える。
もちろんどのデッキも事故って負ける事がある。

しかし、「引きムラ」「ゲームプランの立てやすさ」に関しては環境トップのスプライトに比べると劣ってしまうところが見受けられる。

数回対戦するだけならまだしも何回も対戦しなければならないcsなどではこの差が現れる可能性は大いにある。
何回も対戦をしなければならない場合、引きムラが悪い方に働いて負けることもあれば、プレイヤーの練度や何回も対戦したことによる集中力の低下などが原因でプレイミスを引き起こし、ゲームプランを思い通りに進められずに負けることもあるだろう。

2.メタ耐性

誘発やサイドカードなどに対する耐性が評価の基準になる。
当然メタカードというのは環境トップを中心に考慮してを積まれている。
そのため現在の入賞レシピでよく見られる誘発やメタカードがどのくらい刺さるかを考察する。

スプライト
レベル2召喚→ブルーかジェットssとした場合、2枚の誘発が無ければ1妨害は残って返ってきてしまう。ニビルやクロウと言った発動タイミングが限られるものはレッドが先に着地して刺さらなくなる事もある。
このように誘発耐性はかなり高めである。誘発を複数ぶつける前提の時点で言うまでも無いとは思うが。
後手まくり用のメタカードに対する耐性も高めである。
エルフのせいで対象に取れないのに殆どのカードに対応できる餅やマスカレーナやレッド等、パンクラ等から餅を守る魔知ガエル、後ろの妨害となるスマッシャーズ、結界波などをもらった後でレッドやキャロットを出せば妨害となるスターター、そもそも大量に採用されてる誘発、サイチェン後に入る神罠などメインの時点でメタのメタというのがある程度出来ておきながらサイチェン後では神宣などを入れる事で更なる対応力をつけることができる。
ただし、環境トップであるが故に極端なメタカードに苦しめられる。魔デッキやデビリアンソング、小人のいたずらといったカードは天敵だ。だが、数ある自由枠やプランでそれらのメタカードをもらった時にワンチャンを作れるプランが考案されていることはさすがというしかないだろう。

後から考察するが、逆張り側とも比較してもメタ耐性は今環境トップと評して良いだろう。


ティアラメンツ
今環境急激に評価を上げたうさぎやメインから採用されていることもあるニビルが効きづらいことはかなり評価が高い。Gを撃たれても1ドローで1妨害容易出来るところも今季のような誘発環境において重要な点だ。また、今季のスプライトメタで採用される魔デッキデビリアンいたずらが効かず、更にはティアラメンツギミックに対しては神宣すら撃ち所がないことなどはかなり評価できる。

しかし、今環境で採用率の高い泡影ヴェーラーの類をキトカロスやルベリオンに当てられると途端にそのターンのテンポが悪くなってしまう。

粋カエルを飛ばせることから採用されることのあるクロウが機能しやすいのも難点。

どちらかと言うと妨害も後ろよりになりがちなので羽根やライストなどで後ろを飛ばされるとティアラメンツ罠ように盤面に残したティアラメンツモンスターとスタペリアやミラジェイドなどになってしまう。

効かないと言って差し支えない誘発もあるが、スプライトと違って(有効なものに限るが)1枚1枚の誘発が確実に機能してしまう。後手まくり札もカウンター罠以外に万能無効がないおかげで辛いところがある。
今季は特にスレイを当てられると目も当てられない。
スプライトメタが効きづらい事を差し引いてもメタ耐性においてはスプライトとは一長一短といった感じであろう。

エクソシスター
結論から言うとエクソシスターは今環境においてメタ耐性は低い方である。

メインデッキの方のシスターが直接サーチするわけではないのでエクシーズ体の効果を無効にするだけでリタニアをサーチすることやマニフィカを成立させる事を妨害できる。
また、誘発の中ではうさぎがキツいどころの話じゃなく、変身効果を止められたり、ミカエリスが破壊されてリタニアをサーチしても妨害を用意できなかったりと悲惨である。

サイチェン後も厳しいものがある。というのも先攻でマニフィカを立ててもスレイが、後攻では魔デッキデビリアンいたずらというスプライトメタで入れられるカード全てが刺さってしまうのだ。

この記事において安定性で高めの評価をしたシスターだが、「スプライトをメタってたら勝手にシスターもメタれてた」と言う感じになってしまうのがとても厳しく、結果を思うように残せていない理由はここにあるのではないかと考えられる。

エルドリッチ
エルドは誘発耐性に関して言えばスプライトすら差をつけてると言っていいほど最強クラスである。

泡影ヴェーラーは言わずもがな効果がないし、うさぎもエルドランドに当てたところで事実上アド損。ニビルは撃つ場面なし。
抹殺なども腐る事を考えるとミラー以外ならほとんどのデッキが「1本目は10枚ほどほぼ使えないカードをデッキに抱えたまま対戦する事を強いられる」と考えると中々に魅力的である。

しかし、サイチェン後は話が変わってくる。
あまりにも羽根ライストリブートの採用率が高すぎるのだ。
得意の永続による縛りもその手のメタカードを通されると0妨害となってしまう。
勅命が禁止になったのも大きい。神宣で羽根ライストリブートから守っても残りライフは4000となってしまうし、天獄の王は直接の妨害ではないため強力な罠と引くこと前提だし被りが怖い。
メタのメタを積まなければいけないが、そのどれもがある程度のリスクを負っている。(アポピスだけかなりメタのメタとしての機能も高い気はする)


それぞれの戦い方が違うのでメタられ方は違うが、「使われると負け」クラスのものが少なからず存在する。スプライトも後攻の時に魔デッキなどを使われるとほぼ負けだが、先攻で盤面を作った後はほぼ何でも無効の餅や後ろの妨害のスマッシャーズなどのおかげで使われるとほぼ負けというカードは少ない。(ただし、1枚だけ引いた場合に限る)
対して逆張り側は何でも無効系を確実に用意できるわけではないので先攻を取ってもライストなどの汎用性の高いカード1枚で粉砕されかねない。(ティアラメンツはカウンター罠はあるが採用率が低いためこのように記述)
このような差もスプライトが安定して結果を残す一因だろう。

3.そもそものカードパワーの違い

身も蓋もないようであるが事実として各テーマで比較するとカードパワーには明らかな差がある。
ここでの考察は基本的にテーマカードを考える。ただし、烙印融合などの強力に作用し合う出張ギミックも考察範囲とする。

スプライト
スプライトブルー・ジェットは通るだけで横にモンスターが並んでいく。適当なレベル2ns→ブルーorジェットをssするだけで最終的にはnsしたレベル2+ブルー+ジェット+レッドorキャロットと並ぶ。これだけで4面展開しながら誘発ケアまでしているのだ。nsしたモンスターが鬼ガエルやディーヴァなら更なるアドバンテージである。弱いわけがない。2枚のカードが必要とはいえ4面展開しつつ誘発ケアというのは他のテーマにない芸当だ。故にヴェーラーやうららなどを吸いやすい。ここで"差"として出るのはブルーやジェットに誘発を貰ってもギガンティックが控えてるというところだ。

テーマとして普通に動いているのに平然と2枚の誘発を要求する。これがスプライト特有のカードパワーなのだ。

ティアラメンツ
ティアラメンツのカードパワーは未知数なものもある。というのもランダム墓地肥やしがあるからだ。手札から好きなものを切れるシェイレーンはともかく、ハゥフニスやメィルウは普通に考えたら弱いと言われるレベルであるが、もし落とした3枚が3枚とも役割のあるカードなら途端にカードパワーは環境トップクラスになる。
ここだけで考えるのは無理があるだろう。

とはいえ、ある程度固定化された部分のカードパワーは高めだ。レイノハートは勿論、それをサーチできるペルレイノは普通に意味のわからない部類だ。事実上キトカロスを出しながら打点を上げつつ1枚破壊と言われると捉えやすいだろう。出張の烙印融合は言わずもがなである。烙印融合+ティアラメンツでミラジェイド+キトカロスというのは妨害の質や前と後ろに妨害が分かれてる事を考えても高品質である。

基礎カードパワーが高めであるが、ランダム要素もあるため振れ幅の大きいテーマと言えるだろう。

エクソシスター
メインデッキだとマルファが飛び抜けて高いテーマである。メインのモンスターだけで考えるとそうでもないが、エクシーズ体は出たターンだけで考えればカードパワーが高いので元々低いカードパワーを、エクシーズを出せるようにプレイを工夫したりする事で補うテーマでもある。
魔法罠は条件を満たせば一気にパワーが上がる。
パークスはエクソシスター"カード"をサーチでき、メインしか撃てないとは言え速攻魔法、墓地か場にパートナーがいればいいという緩い条件でssもできるとサーチカードという観点で見れば他のどのテーマと比べても一目置かれる存在だ。
バディスは相手の墓地を触る効果に合わせるととんでもないリターンを得られる。まず2体のエクシーズがならび、その2体がそれぞれ妨害効果を発動する。そのままターンが回ってくれば2体のエクシーズがそれぞれ素材を外す効果を発動してマニフィカにもなれると1枚で5〜6枚分のリターンが発生する。自分のターンに発動してもエクシーズ体+ソフィアのドローなどで高めのリターンが見込める。
これらのカードはエクソシスターが登場した当初からあったものだが、本質や決まった時のリターンだけを考えれば11期においても破格の性能になり得るものなのだ。
リタニアもただ発動するだけなら1:1交換だが、●の部分を適用できれば更なるアドバンテージを見込める。

ここまで聞くと最強テーマに見えるがあくまで良いところを述べただけである。上で少し触れたがマルファ以外のメインモンスターは総じてカードパワーが低い。良くも悪くもコンセプトに添いすぎて1人では何もできないのだ。エリスとステラは4を2体揃えられるのでまだいいが、採用枚数の少ないイレーヌはそんなに美味しくない手札交換だし、ソフィアは隣にシスターがいないといけない。バディスも上手くいけばリターンがすごいというだけで、墓地のエルドリクシルなどのコストで墓地から除外される系には先出ししとかなければいけないのでバレバレだし相手ターンに出すとエンドフェイズにデッキに帰ってしまう。

マルファやパークス以外は状況や相性によって極端にカードパワーが変わってしまうテーマと言わざるを得ない。上手く共通効果を回せなければカードパワーの低いカードがそこそこ入ってるデッキなのでそういったカードしか引いてない時は厳しい立ち回りを強いられるだろう。

エルドリッチ
上手くエルドリッチの戦い方にハマってしまうと勘違いしがちだが、黄金郷カード自体のカードパワーはそこまで高くはない。なぜならエルドリッチが居ないと何の妨害にもならないからである。引きムラの所で若干触れたが、エルド罠は条件を満たしても1:1交換の破壊と相手によっては妨害になるかも怪しい墓地除外と墓地リソースにもならない2:1交換のカウンターとその一瞬だけで見ると決して高いとは言えない。紅+コンキスタ+ワッケーロと伏せている時にうららを撃たれるとエルドリッチが出てこなかった上に2妨害消えると考えるとこの簡単そうに見える条件も弱い一面がある事がわかるだろう。このうららはそのターンだけで見れば実質1:3交換である。

だが、そのうららもそのターンだけ見れば強く感じるがそのターンが過ぎると止めたカードの効果でまたカードがセットされるのでアド損である。

1ターンだけで見ると個々のカードパワーは決して高いとは言えないが数ターン経過した際の長期的な視点や強力な永続罠との組み合わせによって強く見えるタイプのデッキなのだ。
その短い期間だけで見た場合の弱さに漬け込まれてカウンターを用意する前に羽根ライストを撃たれてしまったり、黄金郷の妨害しかない時に手数で押し切られたりしてしまうのだ。

このように逆張り側のそれぞれのテーマはカードパワーが高いと言えないカードや不確定要素などを抱えている。
そういった部分を比較した結果、「メタる側に回っても結局カードパワーで押し切られる」という風に言われるのである。

4.ET・EDの強弱

フリー対戦とは違い大会になるとETを考慮した戦略も存在する。
例えば相手のデッキがETが弱く、自分のデッキがETは並以上なら今行ってる対戦がほぼ負け確定でも敢えてサレンダーをせずにできる限り耐えることで制限時間の40分までの時間を稼ぎ、3本目にETで勝つ事を狙うということができる。

卑怯なようだが、ルールにある以上立派な戦略である。(誤解がないように書くが私自身はET・EDはライフが1でも残ってれば勝てる望みがあるゲームからいきなり別ゲーが始まるので好きではない)

このETの弱さに漬け込まれやすいのがシスターとエルドだ。ティアラメンツは自分でライフを失うカードはない。スプライトもスターターでライフを失うが、ライフカットが早いので考慮しないこととする。うららで止められるとライフが減らないのも割と強め。

エクソシスター
シスターは魔法罠がライフを払うので普通に動いてるだけなのに勝手にライフが減っていく。一応回復効果もあるが対応したカードが場にいなければいけないので回復する値よりも払う値の方が圧倒的に多い。

ライフカットも工夫を加えないと遅く、ジブリーヌを使った後にマニフィカを作っても8000に届かない。

そもそもマルファ以外のメインデッキのシスターが攻撃力が低すぎて話にならない。増Gに殴られないでくれ頼む

ライフを払ったのを見届けたらエクシーズ体とマルファを盤面から退かしていれば勝てるので完全に別ゲーである。

エルドリッチ
言うまでもなくETEDは弱い方である。ETEDが近いからと言って神宣を抜くと羽根ライストなどが止められない可能性が高まるし、2本目などにロングゲームになりETに持っていかれると最初の方に払った神宣やスキドレなどのライフコストが祟り、負けてしまうことも頻発する。

ライフカットも遅くなりがちで、盤面に何もない状態からだと1ターンに削れるライフは基本的に3500の攻撃のみ。
ライフを一気に削る手段としてグスタフリーベがあるが、御前割拠センサーがあると出せないし、かと言ってエルドの効果で解除してエルドを素材に作るのもリスキーだ。

ETEDが弱いからといって早く終わらせたくても上記のような理由によって1本取るのに時間がかかってしまいがちだ。


こういった弱さに漬け込まれて負けてしまう人も少なくないだろう。
なんども言うがルールにある以上戦略の一つである。
仮にETEDの弱さに漬け込まれて負けたとしてもそれはデッキ選択をしている側の落ち度であることも理解してほしい。

5.逆張り同士の戦い

パワーオブジエレメンツ発売以降の入賞数はスプライト一強って感じだったが、使用率は多くて4割〜5割程度なものが多かった。
つまり、逆張り側のデッキを使ったところで相手がスプライトではない確率は十分に高いのだ。

今回逆張り側として3つのテーマを考察したが、実際は優勝や上位入賞を狙えるテーマでいえばふわんだりぃずや鉄獣など結構な数存在する。

それらがお互いに潰し合いをすれば、上に行くと濃くなっていくスプライトの比率と合わせて決勝トナメに上がるテーマがスプライトになる確率は上がる。

「スプライトにガンメタしたティアラメンツ持っていったらふわんだりぃずやエクソシスターにアトラクター投げられてゲームにならなかった」とか「スプライトメタでエルド使ったら電脳とシャドール踏んで永続を悉く割られたり墓地のカードを除外されまくった」とかもあり得なくはない。

そうしてスプライト以外同士で戦った結果、勝ち上がったテーマも2回戦以降で雪崩のように押し寄せるスプライトの群れに勝ち続ける事が出来ず敗退してしまうと言うことはよく起こるだろう。


最後に

こんな記事をここまで読んでいただき、ありがとうございました。
記事を書き始めた頃はスプライト一強!って感じだったのですが書いてる最中にイシズティアラメンツが台頭してきて一強環境と言えるのか怪しくなってきたので書く気失せてた。(イシズティアラメンツは逆張りデッキではなく、新たな環境トップ候補だと思っているので「逆張りのイシズティアラメンツが勝ってるぞ」みたいな意見はおやめください)

まあ、あくまで少し前のような環境になった時に「メタる側よりメタられる側を使った方がいい」と言われる理由は何なのか。それを考察した感じなので今の環境がどうと言うより、これからまた一強環境が生まれた時のための参考にしていただけると幸いです。

今回はここまで

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