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チームを導くために自分のやるべきことに気づけた

私たちが2015年から毎年開催してきた「Creative Leadership」。職種や組織、地域を超えて、のべ1000名もの多種多様な方々に受講していただきました。これまで受講されたアラムナイ(同窓生)の方々に登場いただき、受講のきっかけや見つけたクリアボイス※、受講後の変化についてお話を聞いていきます。

※クリアボイスとは
「クリアボイス」とは、リーダーとして自分はどうありたいのか、 内側から湧き上がってくる想いに向き合い、言語化すること。「迷いなき“クリアな声”」に由来してネーミングされています。クリエイティブリーダーシップのプログラムでは「クリアボイス」を見つけていく過程で、人々が内省を深めながら、自身が背負う「べき論」と「本音」を識別し、例え心地悪くとも「本音」に徹底的に耳を傾け、自分の信念を見つけ、そこから発せられる「クリアボイス」を見つけていきます。

今回は2016年に「Creative Leadership」を受講した久樂英範さんにお話を聞きました!


●お話を聞いた方

久樂英範(くらく・ふさのり)さん
SE,プログラマーとして社会人スタート。 映像やコンテンツの企画制作を経験し、07年より博報堂グループへ。デジタルを軸足として、ブランドプロモーションからサービス開発まで、プロデューサー兼プランナーとして幅広くカバー。NTTドコモ、資生堂、Google、サントリー、Yahoo!Japanなど担当。2021年よりライオン株式会社にて企業コミュニケーションを担当。これまでにグッドデザイン賞,TOKYO2020 Open Innovation Challenge, CLIO,NY,LIAほか国内外で受賞。

●今後に不安を覚えていたとき、CLに出会った

私が「Creative Leadership(以下、CL)」を受講した2016年は、第2回目の開催でした。第1回目を受講した方から「こんなセミナーがあるよ」と教えていただいたのがきっかけです。ユニークな感性をお持ちの方だったので「この人が薦めるなら面白そう」と思い、受講を決めました。

当時の私は3社目となる博報堂アイ・スタジオに所属していました。プロデューサーとしてデジタル制作に携わっていましたが、博報堂の営業局に配属されていた時期もあり、2016年はちょうどその営業から元の所属に戻ってきた時期でした。

転職して8年が過ぎ、人脈も広がってパフォーマンスも向上している自信はあったのですが、同時に私自身のスキルセットやキャリアが、今いる場所以外の社会で機能するのだろうかと、一抹の不安を覚えたタイミングでもあったのです。

そこで、自分の価値やスキルがどの程度役に立つのかを試すために参加したプロボノ(編集部注:さまざまな専門家が知識やスキルを無償で提供して社会貢献する活動のこと)で出会ったのが、第1回目のCLに参加した方でした。不安を抱えていた当時の私は、この人が薦めるならば得がたい体験ができるのではと受講を決めました。

●チーム内のモチベーションを保つ方法を学ぶ

それまで仕事上、さまざまなワークショップやセミナー、研修を受けることは多かったのですが、CLはそれまで受講したものとは違っていたので、2日間、追いつくためにとにかく必死でした。そのため、受講しながら何かに気づくというよりは、あとから振り返って「CLで感じたことが、今の自分に役に立っている」と気づくことが多かったように思います。

学んだことでもっとも大きかったのは、チーム内のモチベーションをよい状態に保つことです。CLではバックグラウンドも年齢も性別も多様なメンバーとワークをするため、チーム内で物事を円滑に進めるために自分がするべきことに気づかされました。

私はプロデューサーとして普段、さまざまな部署の人たちと一緒に行うプロジェクトを大きなゴールに導くことをミッションとしています。
そこには、個性もスキルセットも異なる人々がいて、全体のパフォーマンスを高めるために、彼らの持つ力を最大限引き出すにはどうすればいいのかを考える必要があります。でも、当時はまだ「プロジェクトをゴールに導く」というタスクをクリアしなければ、という思いが強く、メンバーの能力を引き出し、モチベーションを高めるところまでは考えが至っていませんでした。

そこで役に立ったのが、CLで学んだ「チーム」「スペース」「プロジェクト」を俯瞰する考え方です。この3点を一歩退いたところから見てみると、プロデューサーである自分が取るべき言動が見えてきます。

たとえば、私は当時お正月の人気番組のスマホ連動コンテンツを担当していましたが、そのプロジェクトにメンバーを巻き込む際に、普通に言うと「元日にわざわざ仕事?」とガッカリされてしまいます。
でも、そのときに相手の興味関心に合わせた誘い方をすること――たとえば、大きな仕事に興味があるメンバーには「日本一の視聴率を誇る番組の仕事があるけど、一緒にやらない?」と声をかけたり、ミーハー心のあるメンバーには「芸能人の●●さんに会えるらしいよ」と伝えたりするだけでも、本人たちのモチベーションは高まり、仕事に向き合うスタンスが変わるんです。そのために私は、テレビ局の方に「収録にメンバーを連れていってもいいですか」と交渉するなど、業務外とも思えることもプロジェクトにとって必要なことだと思い動いています。

そんなふうに、プロジェクトを前に進め、高みに上げるためには「プロジェクトに関わる人と向き合い、あらゆる視点でどんなことが必要なことなのかを考える」という導きを、CLから得ることができました。その導きは今も生かされています。

●レベル感を合わせるために使える「チェックイン」

それから、セミナーの最初と最後にある「チェックイン」「チェックアウト」という型は参考になりました。

年齢も性別も生活環境も家庭環境もそれぞれ違う人が集まって同じ仕事をする場合、当たり前ですが不都合が生じることもあります。その不都合をできるだけ避けるには、最初に「それぞれのレベル感を合わせる」工夫が必要です。

そこで役に立つのが「チェックイン」と「チェックアウト」です。チェックインは自己紹介として、チェックアウトは振り返りなどで使われることが多いですが、その目的は互いを知り、レベル感を合わせることにあると思います。なぜ自分がここにいるのか、なにを目的としているのか、なにを学んだか、なにを持ち帰るかなどをすり合わせることは、共通のゴールに向けて進むために重要です。

そこで、私はさまざまな人たちが集まるプロジェクトの会議では、それぞれに対して「●●について、一言ずつ言ってみない?」など、何らかのテーマを設けた問いかけを行うようになりました。

「それについてどう思う?」のような問いかけでは答える範囲が広すぎて、レベル感のすり合わせにはなりません。具体的に「この点とこの点に絞って考えよう」などと呼びかけることで、互いが何をどのように認識しているか、レベル感が合わせやすくなります。

また、アイデアを出すのが苦手な人たちが多い場合、具体的に「こういうことがあったときに、あなたはどう思う?」と問いかけるだけで、相手も答えやすくなります。

些細な工夫ではありますが、「チェックイン」と「チェックアウト」の視点を生かしたこの工夫によって、プロジェクトの進行がスムーズになりました。

●若い世代が受講することで選択肢に気づける

私が受講したのは40歳くらいのときでしたが、世代もキャリアもまったく異なる方々が集まっているCLのメンバーからたくさんの刺激を受けたので、多くの方に推薦したいと感じました。

実はすでに何人にもCLを薦めています。特に、吸収力のありそうな、若くて優秀な方々に薦めることが多いですね。

なぜ若い方に薦めているかというと、CL受講後に得られたものを使って、進んでいく先の選択肢が増えると感じたからです。若いうちはまだ仕事の範囲も狭いことが多いと思いますが、世の中にはこんなに多様なキャリアを持つ人たちがいて、可能性を広げる取り組みがあるのだと知ることで、その先にある選択肢の多くに気づかされるでしょう。

また、若い世代ではなくとも、新たな価値観を求める柔軟な考えの方であれば、さまざまな発見があると思います。ぜひCLから多くの刺激を受けてもらいたいです。

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次回Creative Leadershipのプログラムは、2024年10月に開催を予定しております。ぜひチェックしてみてください。

Creative Leadershipプログラム開催予定
10月:対面で学ぶコース

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