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Hej! Laere vol.30 自然のなかで、新たな自分を発見する

こちらのnoteでは、Laereが定期的にお届けしているお便り『Hej ! Laere』をダイジェストにして公開しています。本ニュースレターは、5月24日に配信しています。

根津美術館のうつくしい庭で、自分と自然と向き合う

弊社レアでは「自分の想いを起点に、関わるすべての人にとって望ましい未来にむけて着実にアクションする」共創型実践者の育成支援を教育デザイン事業の柱としています。人々を巻き込むリーダーシップの原動力は、自分の想い。まずは自分自身の想いに気づくことからアクションは始まります。

「私はどのような人間で、どんな価値観を大切にしているのか。私の行動の燃料となる情熱や想いはどのような体験から湧き上がってくるのか」

自分を知ることは、案外難しいものです。自分探しの旅をすれば見つかるものでもありませんし、一人で考えてもなかなか見えにくい部分もあるでしょう。逆説的ですが、他者との対話、共に何かを創る経験を通して、自分の特性や想いを理解しやすい場合もあります。私たちが手がける多くの研修では、多様な人々のコラボレーションの中で自分を知るというプロセスを大事にしています。

現在社内の取り組みとして、自然と向き合うことを通して、自己理解やインスピレーションの獲得へとつなげるプロセスを探求しています。そこで、弊社がオフィスを構える南青山にて、美しい庭園を誇る「根津美術館」へと赴き、自分と自然と向き合うワークショップを実験的に実施。探求したい”問い”をもって自然に入ると、どのような気づきや変容が起こるのか、自分をじっくり観察する時間をとりました。

ワークショップ後の振り返りの様子

参加した3名のメンバーは庭園で思い思いに時間を過ごしたあと、一人の時間に何が起きたか、心の変容やインスピレーションを一枚の絵に描き、共有しました。同じ場所で時間を過ごしたはずなのに、面白いくらいに見ていた景色、そこから得た感覚はバラバラ。庭園で見た動植物の動きや、都会の街並みと緑のコントラストなどからヒントを得て、自分自身の問いとの関連性を見出すようすが印象的でした。

今回の社内ワークショップを終えて、私たちは普段周りから多くのサインをもらっているはずなのに、見過ごしてしまっていることは多いのだと気がつきました。日頃から小さなサインを見過ごさないために、自分のなかに問いを持ち、自分自身と周りを観察する習慣が重要なのかもしれません。

弊社レアでは昨年より、個人の創造力やモチベーションを高め、他者との共創を促す要素として「プレイフル(遊びごころ)」や「ウェルビーイング(善い状態)」に着目し、実践するための研修、ワークショップを設計しています。まずは自分たちでやってみる! というマインドを大切にし、さまざまな手法を試し、皆さんにお届けしてまいります。

Voice from Finland

「Voice from Finland」では、アアルト大学デザイン修士課程Collaborative and Industrial Designに在籍中のえりかさんにご寄稿いただきます。今回はえりかさんと同じくアアルト大学で学び、日本にも留学経験があるエキさんのインタビュー。フィンランドと日本のデザインの共通点や相違点をうかがいました。

Moro!(こんにちは!)フィンランドのアアルト大学に留学しているえりかです。
前回のニュースレターでは、アート系選択授業「TAITE」について紹介させていただきました。今回はフィンランドと日本のデザインや国民性の違いについて、日本に留学経験のある大学の友人、エキ・マサリンさんにお話を伺いました。

お話を聞いた人【Eki Masalin(エキ・マサリン)】
フィンランドのサヴォンリンナ生まれ、ヘルシンキ育ち。フィンランド人の父と日本人の母をもつ。2019年にアアルト大学Visual Communication Design(VCD)に入学、2022年に京都精華大学イラスト学科に短期留学。現在は、アアルト大学の同プログラム修士課程に在籍中。

― 高校を卒業してから、アアルト大学に入学するまでの経緯を教えてください。

エキ:ヘルシンキにあるパフォーミングアーツの専門高校を卒業した後は、何をやりたいのかまだ分からなかったので、ギャップイヤーを使って半年間東京で過ごしました。事務アシスタントや、ハウスメーカーの総合研究所でアシスタントを経験してから、フィンランドに戻り、クリエイティブ系の専門学校に通いました。

そこでフィルム写真に夢中になって、学校にある暗室で、朝から晩まで写真の現像をしてましたね。卒業後は、オランダの大学で写真を専門的に学ぶことも考えたんですが、幅広い視覚表現を追求できるアアルト大学のVCDの方が、将来の選択肢を増やすという意味で面白いかも!と思い、2019年にアアルト大学に進学しました。

― 大学3年次に、京都精華大学のイラスト学科に短期留学したそうですね。どうして日本に留学を?

エキ:VCDのプログラムでは3年次に、交換留学かマイナー(副専攻)、インターンシップの中でどれかを選ぶことができるんです。コロナ禍で数年日本に行けてなかったのと、関西には今まで縁がなかったので、京都の大学に留学することにしました。

イラスト学科を選んだのは、自分のスタイル外のイラストに挑戦してみたかったからです。絵を描くこと自体は好きなんですが、イラストはどちらかというと苦手分野で…。イラスト表現を通して自身の作品をより深く理解できるようになりたいと思い、イラスト学科を専攻することにしました。
 

エキのお気に入りの絵本。ナンセンスの神様・長新太さんの作品。


― 日本で5ヶ月間過ごしてみて、フィンランドの大学とどのような違いを感じましたか?個人的には、フィンランドは先生と学生の距離が近くて、話しやすい気がします。

エキ:確かにフィンランドの方が、先生と学生の距離が近いですね。ただ、精華大学は比較的小さい大学なので、想像していたよりも、先生との距離は感じませんでした。先生たちは「トライアルアンドエラーで、色々試してみよう!」という考え方で、厳しいアドバイスをもらうこともありましたが、あれダメこれダメという否定的な指導はありませんでしたね。

そこは、フィンランドでの指導方針と近い気がします。建築学科にいたフランス人の留学生は、パリの大学での指導がかなり厳しかったみたいで、「日本の授業は、なんだかハグされてるみたい!」と、日本とフランスの指導の違いに驚いていました(笑)

― 日本では北欧デザインがとても人気ですが、フィンランドで日本のデザインはどう思われているのでしょうか?

エキ:森や湖が身近な存在であるフィンランド人にとって、「木」はとてもは大切な素材なんです。日本人が木製の北欧家具や建物に温かみを感じるのと同じように、フィンランド人も、木の良さを活かした日本のデザインや、クラフトマンシップに魅力を感じていると思います。

グラフィックデザインについては、大きな違いを感じますね!日本のデザインは多種多様です。色づかいの豊かさ、ひらがな・カタカナ・漢字が混在した文字デザインの独自性、作品に詰め込まれた情報の密度。シンプルでミニマリスティックなフィンランドのデザインも好きですが、個人的にはもっと「ぶっちゃけた」デザインをフィンランドでも見てみたいですね。フィンランド人の「シャイ」なところが、デザインにも出ている気がします。

― 確かにフィンランド人と日本人は、「シャイ」なところが似ているって言われますね。国民性のちがいについてはどう思いますか?

エキ:フィンランド人は、日本人よりもマイペースかもしれません。日本には「察する文化」があると思いますが、フィンランド語には「空気を読む」という言葉はないんです。「私は私。あなたはあなた」という考え方が基盤にあるので、周囲に惑わされることなく、自分の心地の良いペースを守る人が多いですね。

もちろん、フィンランド人も日本人も、他人を思いやる姿勢は変わらないと思います。ただフィンランド人は相手だけでなく、自分自身を尊重することも大切にしていますね。

取材を終えて

取材を通して、フィンランドと日本の文化の違いや共通点について知ることができました。国民性については、協調性が重視される日本の社会では、まわりを優先して、自分のことを蔑ろにしてしまう人が多いのかもしれません。

私自身も自分の気持ちを後回しにしてしまうことが多々ありますが、「自分軸」を大切にするフィンランド人のように、「比べず、とらわれず、自分らしく」をモットーに毎日を過ごしていきたいと思います!

それでは、Nähdään!(また会いましょう!)


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それではまたお会いしましょう!Hej Hej 👋

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