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現代社会においての伝統建築の役割

丹下健三先生の著書「人間と都市」に、伝統建築とクラッシック音楽を例えにあげる一説があります。

それを要約すると「クラッシック音楽には3つの要素、作曲家、演奏家、聴衆が存在し、バッハの曲を演奏する演奏家はバッハの情緒や閃きを再現するだけである。伝統的な建築も同様である。」という考えです。

ここで言う伝統建築とは、社寺仏閣や数奇屋、茶室、古民家建築と捉えています。


現代においてこれらの要素は明治維新前と比較して大きな変化を遂げ、ほとんどの人にとって馴染みの薄い存在となりつつあると感じます。

恐らく多くの方にとって丹下先生のように伝統建築は同じ建築の焼き直しのように目に映っています。


いくつかその理由を考えてみると、
・伝統という言葉が不変を表していると感じる
・伝統建築をみてもそれぞれに大きな違いを感じない
・宗派、様式、建て方に決まりがあるから
などの理由があるのかなと思います。


すると現代にとっての伝統建築の役割は、長年蓄積された先祖の技術を残す為?ぐらいにしか認識されません。


実際に社寺建築の現場の場合は、建物によって建て方も違ったり、美しい姿を数百年持たせる為の技術を常に磨いています。

私はこの技術が先祖の技術を継承するためだけに続いているとは思っていません。


つまり伝統建築は作曲家(過去の宮大工の技術)の焼き直しだけではなく、現代社会に求められている要求に応える技術でもあり、SDGsの達成に必要な要素について元々ポテンシャルのある文化だと思います。


建築が自然とどう向き合うのか、今の社会に伝統建築技術はどう活用していけるのか、僕たちに求められているもの以上のものを提案できる組織を作り上げていきます。

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