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【言葉】鳥嶋和彦(編集者)

人を楽しませるっていうのは、永久のペンキ塗りだと思うんですよ。端までいくと、こっちが剥げてるんです。もう一回それをやるしかない。

2014年でしょうか。『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』の対談で鳥嶋さんがおっしゃっていた言葉です。聞きながら、急いでメモしたことを覚えています。対談相手はリアル脱出ゲームでおじなみ加藤隆生さん。

鳥嶋和彦さんとは、週刊少年ジャンプの黄金期を支え、あの鳥山明を発掘したことでも有名な編集者。現在は、白泉社の会長をされているのだそう。

漫画家とタッグを組み、キャラクター、ストーリー、世界観、すべてゼロからイチをつくりあげる。これまでヒット作を世に送り出してきた編集者が「人を楽しませること」について語った言葉です。

ところで「芸術に完成はあり得ない!」というような言葉があります。推測ですが、芸術の場合、ニュアンスとしては自己言及的であって内省的な領域なのだろうと思います。自分の成長を止めないためにも、自身の作品を「完成」させるな!そんな印象です。

じつは、人を楽しませることにおいても、永久のペンキ塗りである。つまり「完成」なんてないだ!っていう考え方がおもしろいと思ったんです。よし、ここまでできたぞって満足しても、よくみてみると向こうの色が剥げている。また塗りにいく、その繰り返しなのだと。

完成や完璧、終わり。そういったものがないからこそ、人を楽しませることはおもしろく、つくり手が存在し続けるのかなとも思います。ちょっと関連して、作家の島田荘司さんの言葉を思い出しました。

人生とは一回限りである。しかも短い。その短い人生を想像力にぶちこめたらそんな幸せなことはないと思う。

ずっとペンキ塗りができたら幸せですね。

というわけで以上です!

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