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歴史的にも文化的にも奥行きのある横浜日ノ出町を感じてほしい| LAC横浜日ノ出町コミュニティマネージャー・松倉和可さんインタビュー

LAC横浜日ノ出町が新たにオープンされたことを受けて、今回はLAC横浜日ノ出町コミュニティマネージャーであり、その宿泊施設「Tinys Yokohama Hinodecho」のマネージャーである松倉和可(まつくら・かずか)さんにお話を伺いました。

「生活に本当に必要なものは何なのか」を再発見できる「LAC横浜日ノ出町」

▲マネージャーの松倉さん「ここでしか出会えない人との交流を楽しんでもらいたいです」

ーー本日はお時間を作ってくださり、ありがとうございます。まず、松倉さんが宿泊施設「Tinys Yokohama Hinodecho」のマネージャーをすることになった経緯を教えてください。

「Tinys Yokohama Hinodecho」は2018年にオープンしており、私が加入する前は大学の同期がマネージャーをしていました。私はその同期の紹介がきっかけで「Tinys Yokohama Hinodecho」を運営している「YADOKARI株式会社」に入りました。

「YADOKARI株式会社」は、「ミニマルライフ」「タイニーハウス」「多拠点居住」を通じて、暮らし方の選択を増やし、新たな豊かさを定義しようとする会社です。

私は新人研修のような形で、「Tinys Yokohama Hinodecho」の運営に携わるようになりました。結果、途中で会社全体の方針が変わって、私がマネージャーをすることになりましたね(笑)。

ーーライフスタイルや暮らし方に、もともと関心はあったのでしょうか。

大学や社会人生活で都会に出てきてから、既存のライフスタイルに対して疑問を抱くようになりましたね。

私は長野県出身で、常日頃から地域のつながりを身近に感じていました。振り返ると、その長野で生活していたときは、自分という存在を受け入れてくれる雰囲気が自然とあったように思います。「自分の存在をしっかり知ってもらえている」と実感できて、生き生きと生活してましたね。

また、私の育ったところが観光地ということもあるのですが、地域の人たちは生まれ育ったこの場所を本当に愛しています。「少しでも知ってもらおう」「少しでも好きになってもらおう」という前向きな姿勢に溢れています。それは、力強さすら感じます。

一方で、都会は便利で洗練されており人がたくさんいるのですが、地域のような「人とのつながり」が薄いように思います。

長野での生活と都会での生活のギャップが、自然と私の中に「暮らし方とは?」という考えを持たせたのだと思います。

ーー「Tinys Yokohama Hinodecho」が、LACに参加する経緯はどのような流れだったのでしょうか。

「Tinys Yokohama Hinodecho」は新型コロナ感染拡大の影響で、ドミトリーも一棟貸しをせざるを得なくなるなど稼働が落ちていました。また「中長期の宿泊をしてくださるお客さまが少ない」という課題もありました。

加えて、弊社はもともとホテル運営をしてきた会社ではないので、宿泊施設の運営のノウハウが少なかったのです。

そんな中、私の上司である荒島とLACの拠点開発担当の宮部さんがつながり、ブラッシュアップされた考えが入ってきた感じですかね。

これまで私たちは、「安いホテル」「駅に近いホテル」「4人で宿泊できるホステル」を軸に運営してきました。

これからは「Tinys Yokohama Hinodecho」だからできる価値をきちんと見つめ直し、それをお客さまに提供する方針となりました。

ーー「Tinys Yokohama Hinodecho」ならではの価値を生み出す取り組みについて、教えていただいても良いでしょうか。

弊社が目指しているのは、いろんな選択肢を増やして「場所」「時間」「お金」に縛られないライフスタイルを実現して、人生の満足度や幸福度を向上させることです。

その弊社の考えに基づいて「Tinys Yokohama Hinodecho」を、宿泊を含めていろんな選択肢があることに出会ってもらう場所にしたいんです。タイニーハウスに泊まることが、持続可能な暮らし方や暮らしに本当に必要なものは何かを考えるきっかけになると思っています。

▲都会では体験できない、ダウンサイジングした住まいになっている

タイニーハウスは、住まいをダウンサイジングし、とてもシンプルにした施設です。必要最低限の施設での生活をすることは、都会では感じたことのないような刺激があると考えています。ちなみに、持続可能な暮らし方を目指すためにアメニティはエコなものに一新しました。

実は「Tinys Yokohama Hinodecho」は宿泊施設の横に、カフェやイベントができるスペースを併設しています。

カフェの食事には力を入れているんですよ。オーガニックの野菜を使った料理を提供しています。味にもこだわっていて、結構評判がいいんです。

イベントスペースでは、定期的に環境は健康に配慮した買い物を楽しむことのできる「グリーン・マルシェ」を開いています。一切ゴミが出ないように配慮しており、そこで地域の方とのつながりを持つことができます。

▲宿泊施設横にあるカフェの料理はどれもオイシイ!

ーーLAC横浜日ノ出町として利用できる宿泊施設はドミトリーなんですよね。

そうですね。新型コロナ感染対策しながら一緒のスペースで、そこでしか出会えない人との交流を楽しんでもらえるとうれしいですね。一緒に宿泊した人と横浜日ノ出町を散歩して、一緒に魅力を発見してもらえたらなぁと思っています。

ーー松倉さんにお願いすれば、街を案内してもらえたりしますか。

もちろんです!私が思う「横浜日ノ出町の面白さ」をどんどんご案内します。今までも、利用していただいたお客さまを連れ回していましたよ(笑)。

私としては「Tinys Yokohama Hinodecho」を通して、少しでも多くの人に横浜日ノ出町のことを知ってもらって、楽しんでもらいたいですから。

カオスの街「横浜日ノ出町」。ぐちゃぐちゃな感じが、イイ味を出しているんです!

▲Tinys Yokohama Hinodecho前の通り。マルシェを開いた時には大変賑わう

ーー松倉さんが思う横浜日ノ出町の面白いところは、どんなところでしょうか。

横浜は、港が近くて海外とのつながりが深いところです。欧米の文化を感じるところもあれば、有名な横浜中華街もあります。そしてオシャレなデートスポットもあります。その一方で、少し坂を上って奥に入っていくと下町のような雰囲気もあるんです。

日ノ出町は、横浜赤レンガ倉庫から大岡川に沿って、少し陸の方に歩いたところにあります。一言で言えば「カオスな街」。横浜の中でも、いろんなものがごちゃ混ぜになっている場所です。

ごちゃ混ぜになっている理由は、その歴史にあります。第二次世界大戦前、大岡川沿いは問屋街として栄えた地域でした。それが第二次世界大戦後、たくさんのバラック小屋の住居が集まって、次第に飲食店や風俗店ができて関東で有名な「青線地帯」となりました。こうした歴史もあって、治安が悪く違法建築物もたくさんありました。

そのため「日ノ出町駅は降りると危険」と思われる時期もあったそうです。

そんな中「この地域を良くしていこう」という人も集まってきました。地域住民と行政、そして警察も協力して、安全で安心な街にしようという動きが活発になりました。2004年から2005年にかけては、警察が違法風俗店舗を一斉摘発しました。

今では、この周辺はアートな街として生まれ変わりました。狭いスペースを利用したアートインレジデンス(※注1)などができて、50組ほどのアーティストが創作活動をしています。私の友人も、そこで活動してますね。

「この地域を良くしていこう」という雰囲気は今も残っていて、まだまだ変化する地域なんです。なので、治安が悪かったときの歴史が染み出しているところもあります。私としては、良い意味でタイムスリップしたような感覚になりますね。

あと、面白いと思うのは「もっと街をよくしたい」とか「より良いコミュニティを作りたい」という人がすごく集まってくるところですね。「類は友を呼ぶ」ではないですが、自然と「Tinys Yokohama Hinodecho」の近くで活動を始める人が多いように感じます。

これも、日ノ出町の独特のリズムが生み出したものなんですかね。

※注1:アーティストがある場所に滞在し一定期間、異なる文化環境で作品制作を行うこと。またはアーティストの滞在しながらの作品制作を支援する事業のこと

新陳代謝中の独特のリズムのある街の中で、あなたの「好き」を発見してほしい。

▲とても小さな家という意味のタイニーハウス。自分の”本当の豊かさ”を感じられる場所になっている

ーー最後に、LACの会員の方やLACに関心のある方にメッセージをお願いします。

まずは、1度遊びに来てほしいですね。来てみないとわからない横浜日ノ出町ならではの魅力を、直接感じ取ってもらいたいです。

一般的なイメージとして、横浜といえば港町でオシャレな街並みを想像する方もいるかもしれません。横浜日ノ出町は、その横浜から奥に入ったところにあり、歴史的・文化的にも奥行きのある場所です。

元々、横浜日ノ出町は立ち入り禁止の区域もあるような場所でした。そこを魅力的な街にしようという気概に溢れています。まさに新陳代謝中の街です。そんな変化に富んだ街で独特のリズムがあり、凸凹した街の雰囲気を感じてもらえればと思います。きっと今まで味わうことのなかった刺激があるはずです。

その中で「この街の空気感が好きだなぁ」とか「あの店主は素敵だなぁ」とか、何でもいいので好きなところを見つけてくれればいいなぁと思います。

その「好き」が、人と人、人と地域をつなぐきっかけになると思うんです。

ーー今日は色々と話してくださり、ありがとうございました。

《ライター:松崎邦彦

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