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山のはじまりの場所で自由な働き方の入り口を体験してほしい | LAC高尾コミュニティマネージャー・壽榮松さんインタビュー

東京都八王子市にある高尾山は、東京都心から電車で約1時間と好アクセスで、小学生でも日帰り登山が気軽に楽しめるスポットとして有名です。

世界一登山者数が多い駅として知られる京王線・高尾山口駅から徒歩1分にある複合型施設「タカオネ」が、2021年7月LivingAnywhereCommonsの連携拠点「LivingAnywhereCommons高尾」(以下、LAC高尾)になりました。

タカオネは「日帰り登山以上の非日常体験」をコンセプトに、多様な過ごし方ができる施設です。

今回はコミュニティマネージャーを務める壽榮松孝介(すえまつこうすけ)さんに、タカオネがLAC高尾になった経緯や取り組み、コミュニティマネージャー自らが提案する理想のワーケーションについてお話を伺いました。

大学の山岳部で山に魅せられ、一度は離れた山に関わる仕事に

――まず壽榮松さんの自己紹介をお願いします。

出身は京都です。大学で山岳部に入り、山にめちゃくちゃはまりました。

卒業後は東京で不動産開発の会社に就職し、大手町などの再開発を3年間していました。しかし、やっぱり山に行きたいなと思って、富士山の麓にある「ホールアース自然学校」に転職しました。
そこでは3年間、山のガイドやジビエの解体施設で鹿をさばいたり、林業をやったりしていました。

――LAC高尾は今年の夏にオープンしたそうですね。開業の経緯を教えてください。

タカオネは元々使われていない施設でしたが、京王電鉄がこの素晴らしい立地にある場所を何とか有効利用したいと購入したんです。

そのタイミングで、この辺の山を走っていたうちの社長が「あの施設で何かやりたいな」と、京王電鉄に連絡したら「買ったけど、運営をどうしようか迷っている」と返事があり、賃貸借でうちが運営することになりました。

――壽榮松さんがマネージャーになられたのはどのようなきっかけだったのでしょうか。

静岡で仕事をしていたときに、開業予定のタカオネの企画とデザインの担当をしている僕の山仲間に「山のプロジェクトだから、一緒にやろうよ」と誘われたんですね。

最初は、副業として泊まるだけのホテルではなく地域資源を使ったり、いろいろな人と絡みながら企画したりできるポテンシャルがあることを、企画会社やオーナーの京王電鉄に提案していました。

そのうちに「じゃあ壽榮松君、運営してみたらどう?」となり、タカオネを運営している株式会社R.projectに転職し、タカオネのマネージャーをすることになりました。

「山に登るだけじゃない、山での過ごし方」をテーマに共創する場所作り

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――マネージャーとして、具体的にどのようなお仕事をされていますか。楽しいことや、やりがいなどを聞かせてください。

僕らは「山に登るだけじゃない、山での過ごし方」をうたっています。一方的に発信するだけではなく、いろいろな人々と話をして企画を作り上げています。

例えば、今うちで作っているオリジナルビールは、もともと近隣で1人で作っていたクラフトビールのメーカーとタッグを組んで、一緒に仕込みをやっています。

この前もLAC経由でうちにジビエのキッチンカーを出したい方がいて、この辺のジビエを使ったり、うちでやっている焚き火のサービスと連動したりして何かしたいと企画していました。

サービスを提供する側と受ける側という関係ではない、場や時間を一緒に共創できるのはすごくやりがいを感じますし、楽しいところだなと思います。

――最近も「野市(のいち)」などのイベントを開催されてますよね。それも皆さんで作り上げていったのですか。

そうですね。これはLACというよりは地域の方々が中心ですけど、高尾に住んでいる作家さんや本屋さんなどと組んで開催したイベントです。

――そういう意味では地方創生も、テーマの中に含まれてるんですね。

個人的にはあんまり地方創生を意識しているわけではないんですけど(笑)。
でも近くの仲間と一緒にやった方が楽しいし、そういう意味ではテーマのひとつにはあるかもしれないですね。

コミュニティマネージャーが考えるタカオネでの理想の過ごし方とは

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――タカオネのセールスポイントに焚き火があるかと思うのですが、LACの拠点として利用する場合も焚き火はできますか。

はい。すべての宿泊プランに無料で薪が一束つきます。部屋に歯ブラシがついている感覚で薪を使ってもらって大丈夫です(笑)。

――これまでにはない楽しいアメニティですね!ではワーケーションでタカオネを訪れた方に、壽榮松さんが理想とする過ごし方はどんなプランでしょうか。

宿泊の方には、スイスのシューズメーカー「On」の靴を無料で貸し出しているので、午前中はもう働かずに、山を走ったり歩いたりして、自然を感じてもらいたいですね。
また、タカオネはカフェも併設してるので、八王子の野菜を使った美味しいランチを食べられますのでぜひ味わっていただきたいです。

午後は駅や電車、山の風景が眺められるラウンジで働いていただくのもいいですね。
山あいなので16時頃には日が落ち始めますが、屋上は西側が開けているので、夕日がすごく綺麗に見えるんです。

夕日を眺めながら、うちのオリジナルビールを飲んでもらってのんびり過ごすのもおすすめですよ。

夜は、山に来たときぐらいはヘルシーに過ごしてもらいたいので、早めに寝て翌日早起きして、徒歩2、30分にある朝日が綺麗に見える裏山でぜひ朝日を見てもらいたいです。

――タカオネに来て早起きをすれば、まだ夜の東京の街の向こうから朝日が昇る、素晴らしい風景が見られるということですね。

そうですね。毎朝、朝日は上がっているので、見に行くだけです。高尾は「東京の終わりであって山の始まりの場所」なので。

そういう場所で、境界が曖昧な過ごし方をしてもらえると楽しいなと思います。

つかず離れずで1人を楽しむワーケーション

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――ワーケーションでLAC高尾を利用する場合は1人で来られる方が多いんですか。

まちまちですが、客室は4名が定員なので少人数の方が多いです。1人か2人で来られる方がほとんどですね。
タカオネは百何十名も泊まれるほど施設規模が大きく、良くも悪くも匿名感が強い傾向にあります。

僕たちフロントスタッフも、求めてこられたらいろいろお伝えはしますが、1人でじっくり過ごしたい方が多い印象なので、こちらから距離を詰めて積極的に仕掛けを作ろうとは思っていません。

――1人でゆっくりと過ごして山を楽しむもよし、集中して仕事するために来るもよし、いう雰囲気ですね。「おひとりさま」を楽しまれる方が多いということですか。

そうですね。割とそういうイメージですね。
高尾山は少し賑わいがあって、1人でも安心して登れる山です。

1人で行ってもその賑わいに囲まれる楽しさは享受できるけれど、じっくり向き合いたいときはちょっとルート外れてもいい。
多分、高尾山は「1人で楽しむ」ことに結構マッチしていると思っています。

――東京都内だけど、非日常を過ごせる、気軽にワーケーションが叶う場所ですね。

やはりふらっと1人で来られる方は多いですね。
1週間ぐらい滞在する方もおられます。長野などの遠方には「リトリート合宿」のように、日常から離れて行かれる方も多いと思うんですけど、ここは少し日常から物理的にも環境的にも距離を置きたいというときに、ピッタリの場所なのかなと思います。

ワーケーションも山も「入り口」として利用してもらえる場所でありたい

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――では最後に、LAC高尾を利用したい方に、メッセージをお願いします。

LACにはいろんな拠点がありますが、ここは都心部に住んでいる方の利用が多いと思っています。LACやコミュニティ形成に興味があるけど、「初めてなので緊張する」という方に、LACを利用する最初の一歩を踏み出すきっかけや他の拠点への架け橋になったら良いなと思います。

高尾山が登山の入り口であるように、LAC高尾を自由な働き方や生き方への入り口として使ってもらって、そこからさらにディープな場所に足を運んでもらえるとうれしいですね。

ふらっと訪れたらそこに何かの入り口がある

「高尾山は東京の終わりであって山の始まりの場所」という言葉が非常に印象に残りました。

登山だけではない過ごし方ができるタカオネは、都心からアクセスしやすい、さまざまなきっかけ作りに適した場です。

LAC拠点の利用が初めての方も、ワーケーションが初めての方も、ぜひ一度ふらっと利用してみてはいかがでしょうか。

《ライター:マユナ


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