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<LAC×WhO>地域社会と共創ができる実験場。広がった壁紙の可能性

場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約にしばられることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす。そんな生き方をともに実践することを目的としたコミュニティ「LivingAnywhere Commons(以下LAC)」は、個人利用はもちろん、法人会員での利用もできます。今回は法人会員でもある、野原ホールディングスが展開する壁紙ブランド「WhO」のマネージャーである近藤さんと、野原ホールディングス 経営企画部の福岡雅さんに話を伺いました。

ユーザーの自由な発想に寄り添う壁紙ブランド「WhO」

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壁紙ブランド「WhO」は、建設資材の販売、道路交通標識の製造・販売・施工などを手掛ける建材系商社、野原ホールディングスの事業会社の1つです。2015年7月にクリエイティブ活動を展開する「graf」プロデュースのもと立ち上がりました。

近藤さん「ちょうど7年前ぐらいに、大量生産・大量消費だった壁紙の作り方が、欧米を中心に技術が進み、オンデマンド型の受注生産を進めるメーカーが増えてきました。野原ホールディングスは製品を流通させる立場であり、メーカー機能を持っていませんでした。メーカーという立場でブランドの立ち上げにチャレンジしたいという想いから、「WhO」を立ち上げました」

「WhO」は、住まいや暮らしに合わせた多様で豊富なデザインの壁紙を提供しており、2016年にはグッドデザイン賞を受賞、現在では2,000点を超えるラインナップを取り揃えています。

また、近年はSDGsの観点から、環境にやさしい次世代型インクの使用、完全受注生産方式とカタログの廃止などにより、過剰在庫、過剰生産を行わないサスティナブルなビジネスモデルを展開しています。

近藤さん「壁紙自体は単価が高くないため、従来は大量生産、大量販売が基本で廃棄される端材も多いんですね。その点、WhOはサイズに合わせて適切な数量を生産するため端材が出ません。また、通常2年ほどで更新されて不要になるカタログ見本帳も、弊社では廃止し、Webサイトからサンプル請求できる仕組みにしています」

多様な人との関わりが、自由な発想を生む

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福岡さんが知人をきっかけにLACを知り、「テレワークお試し体験」を使って拠点を訪れたところ、そのコンセプトに共感を抱き、法人会員になりました。

福岡さん「その頃、LACで『テレワークお試し体験』をしていたので、実際にいくつかの拠点に足を運んでみました。そうしたら、コンセプトも興味深く共感を持てる内容でした。実はLAC八ヶ岳拠点も、もともと野原ホールディングスの研修所だったんです。以前から研修所の活用を検討していて、早速LAC拠点での活用をお願いしました」

野原ホールディングスでは、2018年以降大きく体制を変えて、積極的に新規事業推進を行っています。しかし、同じ社内メンバーで会議室にこもっていても新しい発想やアイデアは生まれにくいでしょう。その起爆剤として社員にもLACを利用して欲しいと福岡さんは語ります。

福岡さん「LACでの体験では、異業種の人や地元の人たちと交流する機会がありました。そういったことを通じて、自身のQOLを上げたり、何か仕事の新しい発見に繋がったりすることになれば良いなと思っています。」

「壁紙×滞在施設」異色のコラボで化学反応を起こす

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2020年8月には、街歩きや住民との触れ合いを通じてその土地ならではの壁紙デザインを作るイベント「LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP」を開催しました。

近藤さん「特にホテルや商業施設を担当する設計者さんから『その地域をモチーフにした壁紙はありますか?』という要望をいただくことがあります。社内でも『47都道府県のご当地壁紙なんておもしろいのではないか?」という話があがっていました。そんなタイミングで、野原ホールディングスの研修所がLACの拠点になったと聞いたんです。その地域の文化やコミュニティを感じられるLACで、体験や交流を通してクリエイターさんがデザインすれば、地元の方々も納得できる壁紙を作れると感じました。まずは海や山があって季節性を表現しやすい下田拠点で第1弾を開催しました」

特に「LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP」で重視したのは”地元の人にとって良いか”どうか。デザインの最終審査では、下田拠点のコミュニティマネージャー、地元の方々にも審査員として参加してもらったそうです。


近藤さん「われわれが選ぶと、地元にとって本当に良いデザインなのかわかりません。ヨソモノの視点では、海を表現する波や船といったシンプルなモチーフに引っ張られてしまいます。地域の魅力を表現するために、”下田っぽさ”にはこだわりました」

「LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP」のイベント期間は、わずか2泊3日。その短期間で、その拠点の空気感や情報を知り、デザインに落とし込まないといけません。

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コミュニティを通して、”壁紙”の可能性が広がった

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「LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP」が魅力的なイベントになったのには、LACのコミュニティマネージャーの影響が大きいと近藤さんは語ります。

近藤さん「今回のイベントではエリアの魅力をインプットするため、1日目に下田の街を散策するアクティビティを設けていました。そこに関しては下田拠点のマネージャーさんにコーディネートを任せました。有名な観光地やスポットではなく、下田の歴史や成り立ち、文化、人柄など下田の魅力を知れて、一段と深いデザインワークになったと思います。実際に滞在して肌身で感じることが、いかにデザインが重要か痛感しました。これもひとえに、LACが地域と滞在者のハブ的な存在だからこそなし得たことだと思います」

「LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP」の開催を通じて、野原ホールディングスはどのような効果や気付きを得られたのでしょうか。

近藤さん「建築業界は保守的で、新しいことや変化を避ける傾向にあります。だからこそ『LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP』は、インテリア業界でも壁紙ブランドでも画期的なイベントだったと思います。業界内に変化の波を起こせたかなと思います。実際に『LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP』で生まれた伊豆下田と八ヶ岳北杜の壁紙も、すでにいくつかの空間で採用いただいています」」

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[LAC伊豆下田]

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[一般住宅]

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[愛知県の店舗]

また、コミュニティを巻き込んだ『LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP』に対して、近藤さんは予想外の広がりと期待を感じたそうです。

近藤さん「みんなで寝食をともにしながら地域の想いや魅力が反映された壁紙をデザインしたことで、作った人は忘れられない思い出になるし、地元の人にとっても愛着の持てる壁紙になりますよね。壁紙やインテリアを通して、思いがけない広がりや可能性を感じられたのは大きな収穫となりました」

野原ホールディングスとして、今後LACをどのように活用していきたいと考えているのでしょうか。福岡さんと近藤さんに聞いてみました。

福岡さん「まずは、LACをワーケーションの場として、外部との接点を持ち自分のアイデアを活性化する場所として使ってもらいたいです。また、LACとのコラボだけでなく、LAC会員さんとのコラボもできたらおもしろいですね」

近藤さん「今後は、WhOだけでなく他の事業部もLACで新しいプロダクトや製品を作れるとおもしろいですね。LACは、クリエイター、経営者、行政、アカデミックとユニークな人が集まる多様性が魅力です。野原ホールディングスの人たちにも、もっとLACを知ってもらいたいし、使って欲しいです。また、『LOCAL WALLPAPER DESIGN CAMP』を皮切りに、地域をモチーフにした壁紙を増やし、それに関わる人を増やしていきたいです。できれば、47都道府県分すべての壁紙を作りたいですね(笑)そうすれば、いろいろなエリアの人が想いをもってインテリアを選べるようになります。その壁紙が地域に根付いて継続的に使われたり、関わった人が下田や八ヶ岳に訪れたりすることが続けばうれしいですね。選んだ人が説明できるストーリーを持つ製品を、今後もLACさんと一緒に作っていきたいです」

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