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その59)ベーシックインカム前のブルー

2024年2月27日にブルームバーグが「政府は、デジタル化に伴い職務を失う事務職従事者(ホワイトカラー)が、非ホワイトカラーに移って活躍できるよう支援することを検討する。「新しい資本主義実現会議」が27日、物価上昇を上回る持続的な賃上げに向けた施策の論点案を公表した」という報道をしました。

要は、「ホワイトカラー職は今後なくなるから、人員が不足しているブルーカラーへ転職して活躍することを支援します」という内容です。定年などについても見直されるようです。肉体をあまり酷使しない仕事は長く続けられますが、肉体的にきつい仕事はそう長くはできません。業種ごとの実態に合わせた検討になっていくようです。

私はベーシックインカム社会になるには多くの仕事がAIやロボットに代替され、通貨も含めデジタル化社会が進んでいることが必要と考えていますが、今の状況から見て、ベーシックインカム社会が到来する前にブルーカラー職の雇用が増えると予想しています。

機械が人間の仕事を奪うには、機械が人間よりも低コストで働く必要があります。AIはホワイトカラーの仕事を奪えるほどの効率化を果たしたということになるのでしょう。一方、ブルーカラーはまだまだ人の能力のほうが安い職が多いようです。ホワイトカラーの職がなくなれば、体を動かすブルーカラーの職に人が集まることになります。

人材不足の業界に人が足りてくれば、需要と供給の法則的には賃金は上がらない可能性は高いでしょう。ただ、人が足りてくるのであれば、きつい労働はシェアワークになって、「短時間労働✕人数」みたいなシフトになる可能性は高いと思います。例えば、ものを運ぶ仕事はとても体力を使い、長時間はきつくなります。交代がある健康を壊さない仕事量や働き方だと身体は楽になり長く働けます。

三菱総合研究所の2018年発表によると、2030年にはブルーカラーの人員不足業界は一転して人材余剰になると予測しています。

ただ、例えば運送業などは荷主が運賃を下げようとしますし、運送会社がその負荷をドライバーにかけてしまうなどの現状もあるので、賃金が上がりにくい構造が多いのも確かです。解決するべき課題が山積みなのです。

AIはホワイトカラーかかっていた人件費を無くしていますが、様々な機械の自動化や効率化にもどんどん入ってきます。自動運転など新しい技術は少しずつブルーカラーの仕事も無くしたり、楽にしたりするでしょう。実際、ファミリーレストランなどは、注文の取り方や配膳、清掃、調理などがものすごく変化してきています。スーパーのセルフレジも人員削減装置です。車の修理はだんだんとアタッチメント式に部品や装置を取り替えるだけになってきています。

そうして、ブルーカラーの仕事も少しずつロボットが効率よくこなしていくようになると、人員余剰となり、いよいよ雇用がなくなるので、ベーシックインカムが必要になってくると考えます。

最後まで残るブルーカラーの雇用は、介護など人が人をお世話するソーシャルな仕事と、スーパーの品出しのようなロボットよりも人間のほうが効率的な作業になってくるようですが・・・実際はどうなるのでしょう。

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