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その25)ワークシェアとタイムリッチ

テクノロジーによって技術的失業が進み、できる仕事が無くなってきた場合、スムーズにベーシックインカムに移行するために、支給額は少額から始まるかもしれません。

少額になる理由は、大きな金額よりもソフトランディングを目指せること、必要な時期が来たら始めやすいこと、少額からなら税制で配りすぎたお金を回収したり調整したりしやすい・・・などがあげられます。

2024年現在の物価で3人家族で考えていくと、ベーシックインカムの額が1人月3万円なら9万円で食費光熱費が出ます。8万円なら21万円で家賃も含めたギリギリの生活費になります。1人12万円を超えると、ベーシックインカムのみでの1人暮らしがギリギリ可能な額になります。

支給金額が多すぎると、生活費以外の目的にベーシックインカムを使う人が増え、なおかつ、テクノロジーで代替が終わっていないエッセンシャルワークの仕事に就く人が減る可能性が高まります。そのため、就業状況とのバランスをとって金額が決められていく可能性があります。

この世に雇用がある限り、ベーシックインカムがあっても仕事を辞める人は少ないだろうと考えられています。社会実験(期限付きのベーシックインカム)でもそのような結果が出ています。お金はいくらあっても困らないし、何もしないでいる方がキツイので、稼げる能力があるうちは稼ぐ方に向かうだろうというのがあるようです。

エッセンシャルワークは報酬が少なく責任は重くなりがちなので、常に人員が不足しやすい宿命にあります。やりがいを感じている人も多い職種でもあるため、最後まで残っていくでしょう。それでも仕事が無くなって働ける人が余剰してくると、この分野にワークシェアが入ってくるかもしれません。

生活費に余裕が出てくると、「無理に稼ぐよりも、必要な分だけのお金を稼ぐ方が生活の質が良くなる」という考え方が出てきます。多くの雇用は時間給で、自分の人生の時間と能力を提供して、それをお金に変えています。仕方なく働いているという意識の人は「健康に暮らしていけるなら可処分時間を増やした方が豊かな人生になる」と考えるのは自然だと思います。

雇用がなくなっていく中、ベーシックインカムによって生活費の負担が減ってくると、エッセンシャルワークを多くの人で分担するワークシェアが盛んになり、可処分時間を増やしていく「タイムリッチ」を目指す人が増えるのではないでしょうか。

かつて、タイムリッチはお金持ちと、赤ちゃんと、引退した人だけのものでした。
自由にできる時間が増えたら、人は何をするのでしょう。
さらに考えていこうと思います。

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